19世紀半ばの英国では、肥料として利用する家畜ふん尿に硫酸を散布し、アンモニアの揮散を防止していました。
硫酸の散布によりできた硫酸アンモニウムが、雨水で地下へ流亡することを懸念した王立農学会のトンプソンは、薬剤師のスペンスにその検証を依頼しました(図8)。その結果、アンモニア成分が土壌に保持されることがわかりました。
その後、同学会の化学者ウェイは、土壌がアンモニア以外にもカリウム(K+)、マグネシウム(Mg2+)などの陽イオンも吸着すること、さらにこの機能は砂やシルトにはなく、粘土だけが持つことを明らかにしました。
この機能を「陽イオン交換反応」といい、粘土が陰イオンを帯びることに由来しています。