所属機関:福井県立大学 海洋生物資源学部 海洋生物資源学科
養魚育成管理分野(2021年3月31日まで)
(2021年4月1日より)同大学部 先端増養殖科学科 教授 農学博士
専門分野:養殖飼料の開発
学部4年時の卒論の研究テーマが、『飼料となる魚粉に含まれる亜鉛やマンガンといった微量元素の利用性を虹鱒で明らかにする』というもので、最初は重箱の隅をつつく、そんな印象を抱くようなつまらない課題だなぁと思いました。それでも、0.3gほどの50尾の虹鱒を入れた水槽を7つ、計350尾で育成しその影響を観察しました。ところが10週間が過ぎても何の兆候も見られず、結局卒論のための成果が出ず終いで、急遽別のテーマで卒論を仕上げざるを得ませんでした。
卒論には間に合いませんでしたが、諦めきれずに93週間(卵を持つまで)虹鱒の観察を継続しました。そうすると、20週目を経過した頃に微量元素欠乏の症状が表われ始め、徐々に兆候が明らかになり、93週目にはその症状としてピラニアのような形態や白内障に侵された魚体が多く出現しました。その原因を追究した結果が私の博士論文となりました。このことが、現在の企業との共同研究成果として魚粉や魚油に頼らない飼料の開発に繋がっていきました。