所属機関:名古屋大学大学院 生命農学研究科教授 農学博士
森林・環境資源科学専攻 森林化学研究室
専門分野:木材化学、バイオマス科学
それは修士課程の時なので結構早い段階で取り組んだ研究です。木材の細胞壁には細胞と細胞の接着部位である複合細胞間層と複合細胞間層の内側に堆積する二次壁があります。当時、複合細胞間層にあるリグニンと二次壁のリグニンは構造が違うのではないかという論争が世界で活発に行われていました。
我々はラジオアイソトープでリグニンの特定の構造を標識する技術を有していましたので、その所在をミクロオートラジオグラフィーという手法を用いて可視化することができれば、そういった論争に終止符が打てるのではと夢を持ってワクワクしながら毎日研究に没頭していました。
その研究の結果、複合細胞間層のリグニンと二次壁のリグニンとでかなり構造が違うということが判明しました。この研究は指導教官の寺島典二教授(現名誉教授)との共同研究でしたが、その成果は世界的に評価されリグニン研究者としての道を進む足がかりとなりました。