助成先一覧
<研究テーマ>
微生物による水産資源からのレアメタル回収とバイオ燃料生産
- 研究の概要
- 水産資源である褐藻類から、微生物A1株によるレアメタル回収とバイオ燃料生産を目指す。
- 研究者 :
- 京都大学 大学院 農学研究院 橋本 渉 教授
- 助成期間:
- 2018年4月1日~2019年3月31日
- 助成額 :
- 140万円
研究の成果についてうかがいました
- Q1:完了報告書の「今後の予定」に記載された、計画通りの展開はできましたか?
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多糖アルギン酸資化性細菌A1株による褐藻類からのバイオ燃料生産とレアメタル回収に引き続き従事しています。具体的には、バイオ燃料の高収率を目指し、培養条件を検討した結果、本研究では10%の褐藻類からバイオ燃料を生産していましたが、2.5または5%程度の褐藻類を用いるとバイオ燃料の収率を高めることができました。また、アルギン酸走化性を付与したA1株が非走化性株より早くバイオ燃料を生産することを見いだしています。A1株のレアメタル回収に関して、レアメタル結合能を示すタンパク質の立体構造を決定しています。一方、アルギン酸の他に褐藻類に含まれる多糖ラミナランの利用についても着手し、海洋からラミナラン資化性細菌を分離しました。
- Q2:助成研究で得られた成果は、現在の研究活動にどういった形で活かされていますか?
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本研究助成のお陰様で、助成課題を発展させることができています。具体的には、Q1にも一部記載していますが、走化性の向上(原料基質のセンシングと接近能強化)の観点から有用物質生産を目指してい、アルギン酸のみならず、植物細胞壁多糖ペクチンに対する走化性の研究を展開しています。既に、A1株の走化性に関わるペクチン認識タンパク質を同定し、その立体構造を解明することにより、ペクチンの認識様式を原子レベルで明らかにしています。ペクチンは果物の果皮に多く含まれていますが、果皮は廃棄されるため、再生可能資源と捉えることができます。A1株はペクチンを資化するため、果皮にいち早く接近し有用物質(バイオ燃料)を生産する可能性を秘めています。したがって、海洋資源(褐藻類)のみならず陸上資源(果皮)の高度利用に繫がる基盤成果を得ています。
(2023年2月ヒアリング)
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