2018.04.11

【世界の中のヤンマー イタリア篇 vol.2】イタリアでのワークライフバランス

海外で働くヤンマー駐在員の⽣活に密着する企画「世界の中のヤンマーイタリア篇 vol.2」。今回はワークライフバランスをテーマに、イタリアならではの働き⽅と時間の使い⽅をお届けします。そこには、平松さん⾃⾝も実感した、イタリアと⽇本での認識に⼤きな違いがありました。

平松 敏史
YANMAR R&D Europe S.R.L 所属

2017年4⽉より赴任。赴任前は、ヤンマー研究開発ユニット中央研究所基盤技術研究部にて農業ロボット開発を担当。 YANMAR R&D Europeでも⼩型機械のロボット研究に従事。

※取材者の所属会社・部門・肩書等は取材当時のものです。

記事の⽬次
1.仕事よりプライベート!イタリアの⼈々は、家族がイチバン⼤切。
2.週末はプチ旅⾏とイベントを満喫。オリーブの収穫も経験!
3.イタリア欧州研究所所⻑の後藤さんと、本⾳トーク。

仕事よりプライベート!イタリアの⼈々は、家族がイチバン⼤切

こっちに来て実感したのは、イタリアの⼈って、私⽣活をすごく楽しんでるんですよ。 話をしていても、プライベートや週末にお出かけをする話題が本当に多くて。 ⽇本⼈はそこまで話さないじゃないですか?それは⾒習いつつありますね。イタリアの⼈たちの優先順位は、まず友だちや家族なんです。

単⾝赴任で来ているので、⼀⼈暮らしをしていると、改めて家族や友だちは⼤切だなと⾝にしみて感じています。⽇本にいると、ついつい仕事優先になっていましたから…。

イタリアでは定時になると、みんなスパッと帰ります。家族とご飯を⾷べるためなど、理由はそれぞれですが、やはりプライベートをとても⼤事にしている印象です。

真冬でもジェラートが⼤好きなイタリア⼈。

⽇本とイタリアでの働き⽅の違いについて、実感したことは?

受付には⽇本⼈駐在員が持ち帰ったお守りも。

イタリア⼈からは、「⽇本⼈の働き⽅は信じられない!」と⾔われたこともあります。 実際、私もイタリアで働いてみると、確かに⽇本のワークライフバランスは仕事に偏りがちだなと実感しました。もちろん、イタリア⼈も余程のことがあれば残業しますけど、何時間も残業することはありません。

私も⽇本にいる頃は仕事が第⼀でしたので、海外での働き⽅に対する価値観に触れて、考え⽅が変わりつつあります。 今は、家族の⼤切さをつくづくと感じていますね。

単⾝で来ているため、妻には⼦育ても任せっきりになっているので、そこは本当に頭が上がらないです。 わが家は今、2歳と4歳の⼥の⼦がいるんですけど、毎週⼟曜⽇の朝にビデオ通話をしています。⼦どもが⽇本の部屋を⾊々と映してくれるんですが、途中で飽きてテーブルに置いてしまうので天井しか⾒えなくなって、最後はいつも⾳声のみで楽しませてもらっています(笑)

(左)広くて開放的な、気持ちいい受付前ホール。
(右)休憩室には、いつもみんなが持ち寄ったお菓⼦やお⼟産がたくさん!

週末はプチ旅⾏を満喫。オリーブの収穫も経験!

レプッブリカ広場

イタリアは、世界で最も多くの世界遺産が存在する国なんです。
もともと旅⾏が好きなので、⾞や電⾞で世界遺産の街を訪ね、欧州の⽂化に実際に触れることが、イタリアに来てからの毎週末のルーティーン。
それこそ、観光ブックに載ってるようなメジャーな場所から名もなき⼩さい街まで、現地の⽅々のリアルな⽣活を覗いてみるのも、すごく楽しいですね。⼩さな街では基本的にイタリア語しか通⽤しなくて、コミュニケーションをとるのも困難ですが、そんな時はボディーランゲージ!意外と、⾝振り⼿振りでも談笑できてしまいましたから。

観光以外では、現地の同僚と一緒にオリーブの収穫体験に出かけたりするなど、街中では体験できないようなことにも挑戦しています。
人力でのオリーブ収穫はなかなか重労働ですが、同僚のロレンツォとその友人のイタリア人と歌いながら、 時にはワインを飲みながら作業を行うのはとても気持ち良くて。
その土地ならではの昔からの営みも知ることができ、本当に貴重な経験ができています。

イベント⼤国イタリア!お祭り好きは⾎が騒ぐ?!

サッカーの先祖とも⾔われているフィレンツェの古代サッカーゲーム“calcio storico fiorentino”(カルチョ・ストーリコ・フィオレンティーノ)。
フィレンツェの4地区が参加し、サンタクローチェ広場で⾏われるんですが、⼿⾜も使って相⼿と戦いながらひたすらゴールを⽬指す光景は、かなりの迫⼒ですよ。
みんなグラディエーターみたいで、まさに選ばれし戦⼠。しかも、殴り合いもOKみたいで…。⽇本⼈の駐在員たちは、暴⼒サッカーって呼んでます。このゲームで、みんなストレスを発散してるのかもしれないですね。

お祭りに参加するのが⼤好きなので、イタリアの祭りにもどんどん参加して全制覇を⽬指しています。

(左上から時計回りに)クラフトビール祭、クリスマスマーケット、キャンティエキスポ、チョコレート祭

イタリア欧州研究所所⻑の後藤さんと、本⾳トーク。

(左)後藤豊博 YANMAR R&D EUROPE S.R.L 社⻑

後藤さんから⾒て、平松さんがイタリアに来て変化したところは?

まずは、フットワークが軽いのでスゴイと思いますね。 僕は⼀⼈でウロウロするのは無理だけど、平松さんは怖いもの知らず。 彼の上司が今、マルタっていうイタリア⼈の⼥性だけど、レディファーストの⽂化も同時に学んでいるので、いい感じにジェントルマンになりつつありますね。
だけど、性格的にちょっと優しすぎるところがあるので、イタリアではその優しさも強化されながら、厳しい⾯が育てば理想的だなと思っています。仕事の技術は、すごくいいものを持っているので。

イタリアで仕事してると、議論になることが多いんですよ。やはり海外では、はっきりと⾃分の意⾒を⾔わないと認められないし、何も始まりません。 ⽇本⼈は波⾵⽴てずに相⼿に気を使って…となりがちですが、そこを海外経験で変えていこうとしています。

イタリアの⼈は間違えててもいいから、⾃分の意⾒をはっきり⾔うよね。そして、⾃分が間違えていると思ったら、「あなたが正しい」とすぐに認める。 研究者には「私はこう思う!」という主張はやっぱり必要だから。
⽇本にいると“ One of them”になりがちで、研究においてもプロジェクト単位で進めるから、ついつい流されてしまうような⼀⾯があると思うんです。⼈間関係の難しさだったり、ある程度のところまでしか踏み込めないもどかしさだったり。イタリアでは個⼈がそれぞれ「俺はこう思うんだ!」「やらせてくれ!」とはっきりしているからこそ、⼈と⼈との距離感が近くて隔たりがない。平松さんは、イタリアでいい経験をしてると思いますよ。

YANMAR R&D EUROPEはズバリ、働きやすい会社ですか?

ファミリー的でアットホームな雰囲気がありますし、いい⼈がすごく多いんですよ。これは⾃慢できるポイントです。ヤンマー全体かもしれないですけど、他の会社から転職して来た⼈たちは「いい⼈が多いですね」と、みんな⾔っていますね。

いい⼈が多いのは社⾵かもしれないね。みんなギスギスしてないんですよ。YANMAR R&D EUROPEではお客様にお渡ししたりするためのイタリアワインがあるんですけど、今のワインも⾃分たちで選んでんでいます。社内でイタリア⼈と⽇本⼈が集まってテイスティング⼤会を⾏い、⼀⼈ずつ⾊合いや⾹りなどに点数をつけて集計したんですね。すると⾒事に、イタリア⼈と⽇本⼈とで選んだワインが分かれた(笑)
「せっかくならイタリア⼈が選んだワインがいい!」となり、そのワインに決定。去年の12⽉にも開催しました。仕事の延⻑線上でも楽しく触れ合うことは、コミュニケーションをさらに深める良い機会になってますね。

僕は味の差が全然分からなくて、ワインの世界は奥が深いなと。「イタリアに住んでいてワインを覚えないのはありえない!」と⾔われたので、⽇々勉強中です。YANMAR R&D EUROPEのあるトスカーナ地⽅は、⾚ワインが美味しいことは分かりましたよ!

ヤンマー取締役の⼭本さんの⾔葉で、とても印象的なものがあったんですよ。”CS=カスタマーサティスファクション(顧客満⾜)。これはヤンマーでは当たり前のこと。そのベースになるのはES(ES=エンプロイーサティスファクション/従業員の満⾜度)だから、そこを上げなさい”と。まさに、顧客満⾜度を上げる⾃分が幸せじゃなければ、その上の欲求は実現できないはずなんですよ。
今、YANMAR R&D EUROPEには16⼈(2018年1⽉取材時)の社員がいますが、そのみんなの満⾜度を上げることが⼤事だなと。ワインのテイスティングもそうですし、社内でも⾊々やっていますね。やっぱり、社員一人ひとりが幸せじゃないとその先にあるお客様の課題を解決しようと本当には思えない。だから、私は平松さんの満⾜度を上げるために頑張るよ(笑)

ははは、ありがとうございます(笑)

イタリアに来て印象に残ってるエピソードはありますか?

赴任した当初、隣に住んでるイタリア⼈が「⽇本⼈が来るらしい」と聞きつけて、引越しの⽇に⽞関前で待ち構えてたんですよ(笑)「ご飯を⾷べに来ないか?」と誘われて、今でもよくご飯を⾷べに⾏ったり、パーティーに参加させてもらったりしています。
イタリアに昔からいる⽇本⼈の先輩たちのお陰かもしれないですけど、みんなすごく親切でアットホームなんですよね。イタリア⼈と⽇本⼈は信頼関係ができているのかなと思います。それと、イタリアは本当に⼦どもに優しい国なんです。⼥の⼦はバンビーナ、男の⼦はバンビーノって⾔うんですが、よく近所の⼈に「バンビーナは元気にしてるか?」と聞かれますね。

うちの⼤家さんが開いた⽂化的なパーティに参加した時に聞いた話だけど、イタリア⼈からしたら⽇本⼈は不思議らしいですね。
歴史的に2度ほど、どん底を経験したのに、「なんですぐに⽴ち上がれるんだ?」「それは何があるからなんだ?」って、すごく興味があるらしくて。歴史と⽂化と宗教の3つは、もう⼀度勉強しないといけないなと思いますね。

考えるキッカケは、やっぱり海外にいる時になりますよね。

これは研究分野だけの話かもしれないですけど、⾯⽩いなと思ったのは、⽇本⼈はゴールから逆算して物事を進めていくじゃないですか?イタリア⼈はゴールはあるけど、無限のやり⽅でトライしようとする。⽇本⼈みたいに「この⽇までにこれができないと、これしかできない」という考え⽅はしない。だから、イタリア⼈は途中経過を報告することがないんですよ。聞くと、逆に怒られるくらい。「まだこの時点で、⾊々なアプローチが無限にあるから。⼤丈夫なようにするが、それが⼤丈夫かは俺には分からない」って⾔うんだよね。そして、このゴールを超えて来る時もある。これは、⽇本のやり⽅ではできないこと。ゴールありきじゃないから、たまにゴールを超えて来る。それがスゴイなと思いますね。

お気に⼊りのレストランZAZAでは、トスカーナ地⽅の伝統的な料理を⾷べることができる。
(左上から時計回りに)
1)パルマ産生ハム、ブッラータチーズ、アーティーチョークの盛り合わせ、黒トリュフと共に
2)アーティーチョークのカルパッチョ、パルミジャーノチーズと黒トリュフ乗せ
3)トスカーナ名物Tボーンステーキ “ビステッカ アッラ フィオレンティーナ”
4)ポルチーニ茸の自家製タリアテッレ

(写真左)レストランZAZA店内。
(写真右)後藤さんの⽇常⾷はやっぱり⽇本⾷。

「実は、イタリアに来て初めて健康診断の数値が全て良くなったんです。
お味噌汁でも鍋でも、何にでもオリーブオイルをかけちゃうから。すると、健康体になってしまって、びっくりしましたよ。これがイタリア流健康法です(笑)」

(左)グラッパとリモンチェッロは消化を促す効果のある食後酒です。
(右)濃厚なティラミス。

トスカーナ地方の伝統的料理が楽しめるレストランはこちら

Trattoria Zà Zà

Mon-Sun : 11:00-23:00
Piazza del Mercato Centrale 26, 50123,
Florence, Italy
TEL : +39 055 215411

Frontpage

家族を第⼀に考え、プライベートをオープンにして、
いろんなコミュニケーションを育んでいるイタリアでの働き方!
ワークライフバランスの充実には、
“新しい経験”の積み重ねが⼤切なんだと分かりました。

 

次回、【世界の中のヤンマー イタリア篇 vol.3】は、
「ヤンマーで働くイタリア人社員のお宅に訪問!」です。

本場の家庭料理や素敵な暮らし⽅を、お見逃しなく!
チャオ!

関連情報

ヤンマー株式会社新卒採用