VISION03 省エネルギーな暮らしを実現する社会

2018年度のCSR・環境活動特集

世界的な食料の不均衡が問題となるなかでハード分野で培ってきた技術やノウハウをソフト事業に活用し、新しい“食の豊かさ”を創出

ヤンマーを取り巻く社会課題とヤンマーの提供できる価値
関連する主なSDGs目標:2、12

ヤンマーは、食に関するさまざまな社会課題を踏まえ、これまで得意としてきた農業機械の開発だけに留まらず、そこで培った技術やノウハウを活用し、食に関するすべての領域においてハード分野からソフト分野へ、生産者から消費者へとビジネスフィールドを広げ、新しい“食の豊かさ”の創出に努めています。

バイオイノベーションセンター倉敷ラボでの研究開発や、他の事業者との共同開発などを進めるとともに、付加価値の高い食品の開発、販売を通じて生産者の支援に取り組んでいます。また、生産者と消費者をつなぐためのさまざまな場を提供し、新たな食文化を提案しています。

ヤンマーの得意分野:トラクターなど農業機械、新しい提供価値:安心・安全な食品の提供/営農・栽培支援

新食品素材「ライスジュレ」で豊かな食生活の提案とお米の用途拡大を実現し生産者を支援

新食品素材「ライスジュレ」

昨今、小麦アレルギーの人でも安心して食べることができるグルテンフリー※1食品や、添加物を使用しない安全な食への関心が高まっています。一方、食文化の変化により国内における米の需要は年々減少しており、米の新たな用途拡大を通じた生産者の経営支援が課題となっています。

このような中、ヤンマーグループは新食品素材「米ゲル」※2に着目し、世界で初めて※3「米ゲル」の連続大量生産を実現しました。パンやお菓子、麺類など、さまざまな食品の原料として、無添加・グルテンフリーを実現することができる全く新しい食品素材として期待され、消費者にも親しみを感じていただくため「Rice gelée(ライスジュレ)」と命名しました。

「ライスジュレ」は、ライステクノロジーかわち(株)が製造し、ヤンマーのグループ会社であるヤンマーアグリイノベーション(株)を通じて販売するとともに、「ライスジュレ」を使った加工食品の開発も行い、ウェブサイト「premiummarche.com」等で販売しています。さらに、お好み焼専門店「千房」を展開する千房ホールディングス(株)や、「白い恋人」で知られる石屋製菓(株)などの事業者と共同で新しい食品の開発、販売にも取り組んでいます。

また、「ライスジュレ」に適している高アミロース米は低コスト栽培が可能な多収量米です。ヤンマーグループは、高アミロース米の契約農家に対し栽培指導から品質管理までを支援することで生産者の経営を支援していきます。

  • ※1 「グルテン」を摂取しない食事方法や食品のこと。「グルテン」とは、穀類特有の網目構造を持ったタンパク質であり、小麦粉と水をこねることで、主な成分である「グリアジン」「グルテニン」が絡み合い、「グルテン」が形成される。
  • ※2 国立研究開発法人農研機構食品総合研究所の研究により開発された新食品素材で、加水した米を炊飯・高速せん断撹拌することで、ゲル状に加工したもの。〈国立研究開発法人農研機構食品総合研究所:特許第5840904号,第6010006号実施許諾済〉
  • ※3 米のダイレクトGEL転換技術を用いた連続大量生産において。2017年11月現在、当社調べ。

「ライスジュレ」の3つの特徴

1.味や硬さ、食感は自由自在

加水量の調整により、物性を制御できるため、やわらかいゼリー状から弾性の高いゴム状のものまで提供可能で、多様な加工食品に応用できます。

幅広い物性

2.保水性が高く、日持ちする

時間が経っても硬くなりにくく、保水性が高いため離水しにくいことが大きな特徴です。もっちり感が持続します。

米粉パンとライスジュレの違い

3.多様な食品に応用可能

新しい米加工技術により、高アミロース米を米粒のままゲル状にすることで、二次加工しやすく、多様な食品への応用が可能となります。

様々な二次加工が可能

生産者と消費者をつなぐ食プロジェクト「プレミアムマルシェ」

「プレミアムマルシェ」は、安心・安全でおいしい食品を求める消費者と、栽培方法や生産物にこだわりを持つ生産者をつなぐ食プロジェクトです。新しい食体験を通じた今までにないライフスタイルや食文化を消費者に提案するとともに、生産者と一緒に新しい食ソリューションビジネスの創出に取り組んでいます。私たちは、「プレミアムマルシェ」を通じて、日本の農業・漁業をはじめとする一次産業を支え、地方活性化の貢献の一助となることを目指しています。

生産者と消費者をつなぐプレミアムマルシェのイメージ

「プレミアムマルシェ」の取り組み

ウェブ(EC)サイト
Premiummarche.com

こだわりのお米をはじめ、ヤンマーオリジナル食品である「ドレッシングソース」や「ライスジュレ」などが購入できる通販サイトです。食材や生産者にまつわるストーリーの紹介、安心・安全な食品の提案、レシピの公開などを通じ、新たな食文化の提案に取り組んでいます。

Premium Marché OSAKA
(プレマルオーサカ)

ヤンマー本社ビル最上階にある社員食堂「プレマルオーサカ」を週末限定で一般開放し、生産者の思いが詰まったこだわりの食材を一汁三菜プレートとして提供しています。「ライスジュレ」や「オリジナルドレッシングソース」などを使ったメニューも提供しており、ヤンマーの食への思いを感じ取っていただけます。

Premium Marché Shop
(プレマルショップ)

ヤンマー本社ビル1階で毎月第3土・日に開催していた青空市場は、2018年7月からプレマルオーサカ内にて営業しています。レストランでおいしく食べていただいた、その週のこだわり食材をすぐその場で買えるというコンセプトで展開しており、特にお客様からはヤンマーオリジナルの商品が好評です。

生産者の取り組み事例

ヤンマー独自の営農・栽培支援を活用した酒米ソリューションで農家の安定した経営を支援

純米大吟醸酒「X01」

ヤンマーは、日本酒メーカーの沢の鶴(株)と共同で、独自の酒米を使った純米大吟醸酒「X01」を開発、沢の鶴(株)にて製造販売しています。山田錦に代わる新しい酒米を、当社の「バイオイノベーションセンター倉敷ラボ」と名古屋大学とで研究開発し、日本酒の需要に応じた酒米の生産を契約農家と共に実現しました。

品種・面積・価格条件を播種前契約することで農家の安定経営を支えるとともに、日本酒メーカーには安定的な仕入れを確立。事前に販路も確保することで売れ残りなどの課題も解消します。また、契約農家には、主食米から酒米への生産転換も提案することで、水田を無駄なく活用することができ、所得向上にもつなげています。

ヤンマーのグループ会社で育てた野菜をドレッシングソースにして販売

プレマルショップやECで販売されているオリジナルのドレッシングソース

当社が長年関わってきた農業分野の知恵や経験を生かし、ヤンマーのグループ会社で育てた野菜を「ドレッシングソース」にして販売しています。オニオンドレッシングソースの玉ねぎは、滋賀県栗東市にあるヤンマーシンビオシス(株)のヤンマー畑で栽培しています。ここでは、ヤンマーの特例子会社として、障がいのある人が元気に働いています。

また、トマトドレッシングやストロベリーソースに使っているトマトといちごは、岡山県倉敷市で生産したものを使っています。空調制御された特別な温室内で自動栽培装置などを使って栽培しています。ここでは、気候や天候に左右されず、おいしい作物を年中安定して収穫することを目指しています。

社員の声
食の恵みで新しい豊かさを実現します

三木 依子

ヤンマー(株)
社長室
プレミアムマルシェグループ
課長
三木 依子

「プレミアムマルシェ」は、飲食や物販などの事業を通じて、おいしいものを食べたい消費者に、より深く知る・実際に触れる機会を提供し、より豊かな食を体験していただきたい、また、いろいろな課題を抱える生産者に対しては、売れる商品づくり、販路の拡大、後継者育成支援などを通じて、一次産業を「生産者がもうかる産業へ」変えていく一助となりたい、と考えています。

ヤンマーがお客様に提供する価値は何か、プレミアムマルシェ事業に取り組む意義は何か、メンバー全員が常に考えながら、強い使命感とワクワク感をもって頑張っています。

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