日本では、国内で供給する一次エネルギーのほとんどを中東地域などの化石燃料に依存しています。石炭、石油に加え、東日本大震災以降は火力発電所などに使われるLNG(液化天然ガス)の消費が増えたことにより、化石燃料依存度は一次エネルギー全体の89%を占めています。さらに、一次エネルギーのうち日本国内のエネルギー自給率はわずか8.3%です。
また、深刻化する地球温暖化問題の根本的な解決に向け、持続可能な開発目標(SDGs)やパリ協定など国際的な枠組みのもと、世界各国が温室効果ガスの排出削減目標を定め、取り組みを加速させています。日本も2030年度目標として、2013年度比で26%削減を掲げています。
エネルギー安全保障の確保と温室効果ガス排出削減の課題を同時並行で解決していくため、新たなエネルギー源の一つとして期待されているのが水素です。水素は再生可能エネルギーなどのさまざまなエネルギー源からつくることが可能であり、利用段階でCO2を排出しないという環境特性を有しています。また、エネルギーを貯め、運び、利用するエネルギーキャリアとしての特性を持っています。
ヤンマーは、水素エネルギーの活用に向けた研究開発を推進しており、まずは小型船舶への燃料電池の展開に貢献するため、国や他の事業者と共に安全ガイドライン策定を目的とした実証試験を行っています。