CSR・環境
  • 特集2 「農」の変革 資源循環型農業の実現を目指し“農”の新たな価値を提供していく:ヤンマーグループのミッションステートメントで掲げる「食料生産」の事業分野において、当社グループは世界で最もお客様満足度の高い「資源循環型農業ソリューション企業」に変革することを目指しています。国内では、お客様の農業経営全般をサポートする「ヤンマーアグリソリューションセンター」を熊本、北海道に、また、海外では、農業の近代化や農業者の生活の質向上に貢献するため、ベトナムとインドネシアに研究所、インドとベトナムとフィリピンに新会社を設立するなど、“農”の新たな価値提供に向けた組織体制を整備しています。

2015年度のCSR・環境活動特集

[in Vietnam]
「農業者の生活の質向上」を最優先に掲げベトナムにおける農業改革をサポート

農業大国ベトナムの暮らしを豊かにするソリューションの提供へ

米の輸出、コーヒーの生産がともに世界第2位のベトナムは、GDP成長率が年5%強と高い経済成長を続けており、今後さらなる農作物の収穫量アップに向けて農業の機械化が見込まれています。ヤンマーグループでは、2013年3月、ベトナムに農業研究所YANMAR AGRICULTURAL RESEARCH INSTITUTE, VIETNAM(YARIV)を開設し、農業とそれを取り巻く社会環境の実態調査を実施してきました。

YARIVでは、「農業者の生活の質向上」を基本方針の最優先に掲げています。農業の機械化ありきではなく、ベトナム農業者の生活の質向上につながる製品やサービスを提供し、安全性を含めた品質向上、生産性向上に寄与することで、ベトナム農業全体の発展につながると考えています。

ベトナム各地での調査結果を基に、農業の未来を予見し、食料生産に関わる人々のより豊かな暮らしに向けたソリューションを提供するため、お客様の課題解決につながる商品企画や、地域の発展に貢献する農業指導、産官学連携事業への参画などに取り組んでいきます。

2014年4月には、現地法人YANMAR AGRICULTURAL MACHINERY VIETNAMを設立し、研究所と連携しながら、現地での市場開拓や課題解決に向けた取り組みをスピードアップしていきます。

ベトナムでのヤンマーの拠点「農業研究所YANMAR AGRICULTURAL RESEARCH INSTITUTE, VIETNAM」と「現地法人YANMAR AGRICULTURAL MACHINERY VIETNAM」

地域ごとに最適な栽培方法を見つけ機械化を提案

2013年度の調査では、農家、農村、米の流通などの基本調査のほか、米の移植栽培と直播(じかま)きの比較検証にも重点を置いて調査しました。ベトナム南部に位置するメコンデルタでの米の栽培だけを見てもさまざまな栽培方式があり、イネとエビが共存する栽培をはじめ、塩分の多い土壌、強酸性土壌、長い苗を使うもち米など、日本では考えられない農法や栽培環境が見られました。

ヤンマーグループが、ベトナムでの機械化を進めるうえで大切なことは、地域ごとに最適な栽培方法を見つけ出し、それに合った機械化を提案していくことだと考えています。たとえば、田植えの機械化の場合、湿地のエビが共存するエリアでは、軽量の歩行型田植機による伝統的な手植えからの機械化が最適です。また、間隔を空けてイネを植えていく疎植に抵抗がある地域も多く、YARIVでは合計20パターン以上の比較検証を実施してきました。

農業者や地元農業局にそうしたデータを提供し、どの地域にどのような栽培方法が適しているのか、納得していただいたうえで最適な機械化や栽培方法を提案していきます。

ベトナム農業改善の拠り所となる研究機関を目指して

2014年度の調査では、一般農家、農業法人の傘下で生産する農家、チャンチャイ農家(認定大規模農家)、農場へ直接投資する法人など、多様化する農家の実態を詳細に調査するとともに、調査エリアを中部、北部へと広げました。さらに、米の移植栽培と直播きの比較検証も、農業局と連携した実証試験やデモンストレーションを行い、より信頼性の高いデータを作成し、田植機の販売につなげる活動を行いました。

また、農薬・土壌研究や、農業データベースの基盤づくり、ベトナム政府の戦略に沿ったバイオマス原料調査と産業化モデルF/S、農業食品加工クラスター研究の検討などの諸活動に参加しました。このほか、JICA(国際協力機構)や日本・ベトナム両国政府間の活動で農業分野のアクションプラン検討などに参画しました。

YARIVでは、引き続き、ハード面、ソフト面の両面を推進し、ベトナムにおける農業改善の拠り所となる研究機関を目指していきます。

社員の声
2つの強みで農家に新しい技術を導入し収益向上に貢献します

Planning Manager YANMAR AGRICULTURAL RESEARCH INSTITUTE, VIETNAM The Representative Office of Yanmar Co., Ltd., in Can Tho City Ms. Pham Thuy Mai Phuong

Planning Manager
YANMAR AGRICULTURAL RESEARCH INSTITUTE, VIETNAM
The Representative Office of Yanmar Co., Ltd.,
in Can Tho City
Pham Thuy Mai Phuong

近年、ベトナムの農業には色々な課題があります。高品質ベトナム米の開発、米から他の高収益作物への転作、農産廃棄物の有効利用などです。YARIVは、政府の方針とも連携しつつその課題解決の一翼を担っています。YARIVは、メコンデルタの中心に位置するカントー大学の中にあり、農家へのアクセスも容易で、彼らの要望を聞きそれらを解決するのに最適です。特にYARIVは、農業の機械化分野でその機能が生きること、地域の強いネットワークを持ち組織と人々を効果的につなぐ機能があること―この2つの強みで農家に新しい技術を導入し、収益を高めることに貢献しています。YARIVの一員としてYARIVのミッションである「農民を支援しベトナムの農業分野の改革をサポートする」仕事に誇りを持っています。特に私の出身であるメコンデルタでの貢献をうれしく思います。

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