生産の拡大と工場の変遷
岡山県南の干拓地・興除村で誕生した岡山工場。
農機機械の発展と共に規模を拡大し、江並の現工場へ移転。
独自の管理システムで高品質で効率の良いものづくりを展開しています。
レイアウトの再編成や生産ラインの移管を繰り返しながら、
現在までに様々な種類の農業機械を混流生産してきました。
- 1961年
- 耕うん機の生産主力工場として、
江並の現工場へ移転 - 1969年
- バインダー生産のための組立工場を増築
- 1975年
- コンバイン生産のための組立工場を増築
- 1980年
- 創業60周年となり、現事務所を新築
- 1987年
- 整備センターを開所
- 1989年
- 子会社セイレイトータルサービス(株)を立上げ
- 1991年
- 開発の拠点となるテクニカルセンターを開設
- 2003年
- 田植機生産のための全面的な
工場レイアウト再編成 - 2013年
- トラクター生産のための
全面的な工場レイアウト再編成
工場MAP岡山工場って
こんなところ
目指せ!
「AI」「ロボット」を駆使した
万能な工場
溶接や塗装・組立・検査など、全ての作業がロボットに置き換えられた未来の工場。高品質な製品を、計画通りに出荷できる仕組みを整えています。
お客様のご要望からAIが最適な製品を自働で導き出し、工場へのオーダーや部品の調達などを最適化して、最短納期でお客様に製品をお届けすることを目指します。
受入れは1日数千、世界一周する部品も!
効率の良い調達・管理システム
部品は、東南アジア・中国・韓国・インド・アメリカ・ヨーロッパと世界各地から調達しています。中国・インドなどにある海外現地法人にも部品の供給を行うため、世界一周をする部品もあるほどです。
このように世界中で数多くの部品を管理する方法も、ヤンマーならでは。
まず、海外現地法人用に調達する部品は、仕向け地別に部品番号に区分コードを付与。一目で供給先が判断できるようにしています。
また、岡山工場での1日の部品受入れ件数は、なんと4000~5000件程度。数多くの部品を指定場所に運搬するために、自動検収装置による「受け入れ検収」と「納品場所別の仕分け作業」を同時に行い、効率化につなげています。
必要な時に、必要な部品を、必要な量だけ供給する
「きっぷ方式」
ヤンマーの生産現場では、後工程が「きっぷ」を使って欲しいタイミングで部品の供給指示を出す方式を採用しています。
以前は、設備トラブルやラインストップなどが発生して生産が遅れても、計画通りに部品が供給されていました。このため置場から部品が溢れることが発生していたのですが、「必要な時に必要なものが必要な量」だけ供給できる「きっぷ」方式の導入によって解消できました。
「溶接ロボット」導入で
安全・均一なものづくりに
昔は人の手による溶接加工を行っていましたが、溶接工程の効率向上や溶接品質の安定化のため、昭和50年頃から溶接ロボットを導入。トラクター・コンバイン・田植機の足回り部品から外観部品までの溶接加工を、ロボットで行っています。
強みは「絆」と「信頼」
製品の完成までに必要な部品や作業工程は、多岐に亘ります。たくさんの部門で異なる工程を担当しているため、工場全体を取りまとめる業務部門においては苦慮する場面も多くありました。
しかし、大きなプロジェクトを通じて部門間のやり取りが行われ、絆と信頼が育まれていきました。例えば伊吹工場(当時)からのトラクター移管。場内スペースの確保から、新ライン設計、効率的な物流形態の確立など課題はたくさんありましたが、工場一丸となって成し遂げることができました。このように部門の垣根を超え協力し合えることがYAG岡山工場の強みです。
締付作業をカウントする
「トルクカウントシステム」の導入
農業機械は、多数の部品をボルトやナットで締め付けて組み立てます。ボルトが緩むと機械の性能が発揮できないばかりか、事故に繋がることもあります。
そこで2012年8月から、締付確認箇所の指示と適正なトルクで締め付けられているか合否判定が行える「トルクカウントシステム」を導入。発信機のついた無線式トルクレンチを使い、工具の取り間違いや締付忘れを作業者に知らせるほか、記録が残るようになっています。現在では、製品の回転部を潤滑にするグリスや接着剤の塗布忘れ防止にもこの方法を展開し、製品の品質確保に貢献しています。
複数品種を同ラインで生産する「混流生産」
セイレイ工業時代から、主力のコンバイン・耕うん機・バインダー・林業機械など、大小様々な製品を生産してきました。現在では田植機・トラクターを追加し、3本の生産ラインにて生産機種を適正配分。複数品種を同一ラインで生産する「混流生産」を実施している独自の組立ラインになっています。
安全第一を最優先とし、品質面でも「製品機能・性能」のような「あたりまえ品質」から「お客様が喜ぶデザイン」のような「魅力的品質」へ向上を目指しました。このために管理のシステムも完成品の「出来ばえ管理」から、作業者の作業や行動習慣を基準として管理する「プロセス管理」にチェンジ。不具合の発生メカニズムを見つけて予防することにつながります。
「3種類の塗装方法の使い分け」でより品質の高い製品を目指す
部品や製品に応じて、異なる特徴を持った塗装方法を採用しています。
粉体塗料
耐食性・対候性に優れ、外観部品に使用しています
- 1ブース1色のみの塗装なので多品種少量生産向き
- 比較的簡単に塗装できる
- 回収塗料が再利用できる
- 乾燥温度が高い(180℃)
溶剤塗装
種類が豊富で、広範囲の被塗物に使用しています
- 多色塗装ができる
- 塗装技術が必要
- コストを抑えられる
- 乾燥温度が低い(130℃)
カチオン塗装
耐食性・耐湿性・防錆性に優れ、田植え機やトラクターの下塗りに使用しています
- 処理物の形状に左右されず、均一な膜厚で塗装出来る
- 白・黒の単色での塗装のみ
- 塗料の管理・調整に固有の専門知識が必要
豆知識
マスキング忘れ防止
マスキングは商品規格に基づいて実施。部品をかけるハンガ―についたマスキングを用いたり、シリコンゴムを使って行っています。シリコンゴムを使用する場合、定数管理箱に各機種・仕様に使用する数を入れ、作業後余ってないことを確認することでマスキング忘れを防止しています。