たまねぎ <育苗・慣行苗づくり>
セル成型苗での育苗
セル成型苗(セル苗)は、アメリカで開発された技術で、日本へは昭和50年代に花苗生産の分野で導入が始まりました。その後、野菜苗においても利用され、今日では広く普及しています。セルトレイは、意図的に寸法設計されているため、播種作業や移植作業の機械化が可能で、単位面積当たりの生産効率も高くなります。
セル成型苗には、
- 移植後の活着が良好。
- トレイからの抜き出しがとても簡単。
- 誰にでも簡単に育苗できるシステム。
- 苗揃いの良い苗が大量に育成できる。
- 軽いため、持ち運びがラク(約2.5kg)。
- 苗の生育コントロールが可能。
- 全作業の機械化や、生産の分業化が可能。
という、7つのメリットがあります。
また、野菜移植機に適合する苗は、健苗で根張りが良く(根鉢形成が良い)、徒長していない、草丈が揃った均一な苗が理想です。そして、根鉢形成には育苗資材が重要となります。
育苗資材選びのポイント
セルトレイ(ヤンマー野菜トレイ)
ヤンマー野菜トレイは、機械移植に適したトレイ(288穴・200穴・128穴)です。たまねぎ作では「28角-200穴」のトレイを推奨しています。
ヤンマー野菜専用育苗箱(アンダートレイ)
ヤンマー野菜専用育苗箱は、ナプラ野菜トレイにぴったり合った専用育苗箱です。積み重ねができ、従来の育苗箱の1/3のスペースに保管できます。
野菜養土
養土は苗の生育と機械移植を左右する大変重要な要素です。ヤンマーでは、良い育苗土の条件にぴったりの野菜養土をご用意しています。
覆土には、覆土用バーミキュライトを使用します。
良い育苗土の条件
- 水ハケが良く、しかも水持ちの良いこと。
- 酸素が適当で、肥料養分がバランス良く含まれていること。
- 病原菌、害虫、雑草の種子を含んでいないこと。
- 均質で入手しやすいこと。
- 取り扱いやすいこと。
- 病害虫のないこと。
- 物理性が良いこと(通気性・排水性)。
- 肥料成分を過不足なく含んでいること。
- 適正なpHであること(6.0~6.5)。
- つくりやすく、いつも同じものがつくれること。
液肥かん水(追肥)
ヤンマー(ナプラ養土S を使用)の育苗標準は生育途中で追肥を行います。
液肥かん水(追肥)にヤンマーのナプラパワーを使用すると、硝酸態チッ素主体の成分となっているので、野菜の生育に優しく、効果が速くに表れます。
育苗播種機選びのポイント
鎮圧ローラ・鎮圧板・開孔板
一般に理想の播種深さは、種子径の3倍と言われています。健苗づくりのポイントは、養土を詰めたトレイのセル中央に同じ深さで播種することです。
ヤンマーの鎮圧ローラ・鎮圧板は、播種深さ10~12mmで生育に適した播種穴をすばやく開けることができます。
野菜播種板
コート種子がワンタッチでトレイの各穴に1粒ずつ播種できます。
野菜播種機
種子はセル穴の中央にまき、養土量を均一にし、必ず一定の圧力で鎮圧することが、苗の生育を揃えるポイントです。野菜播種機を使うことで、精度の良い播種ができます。
野菜播種機のタイプ
全自動タイプ
トレイの供給→養土充填→かん水→鎮圧穴あけ→播種→覆土→かん水の一連の作業が自動で行うため、大幅な省力化が図れます。
またアタッチメントの交換により、さまざまな種子に対応できます。
半自動タイプ
鎮圧→播種を高精度にスピーディに行うことができます。また、精密な播種のみを行うことができる精密播種装置もあります。
トリマー(剪葉)
セル成型苗の葉先をカットすることで、根の生育が促進され、しっかりとした根鉢が形成されます。また、葉先をカットすることで風などによる苗の倒伏や曲がりを防止し、移植に適した均一な苗づくりができます。
後作業の軽労化はもちろん、病気の発生を防ぐためにも、カットした葉を同時に回収できるタイプのトリマーを選びましょう。
慣行苗づくりのポイント
早播きは大苗になりやすく、とう立ちや分球を起こしやすくなります。逆に遅播きは小苗になり収量低下の原因になるので、品種に合わせて適期に播種することが重要です。
播種機選びのポイント
種子を傷めず、作業能率の良い播種機をお選びください。