2023.11.24

ウェルビーイングの意味とは?5つの要素や経営にもたらすメリットを簡単に解説

今、世界中で「ウェルビーイング」という考え方が注目されています。ウェルビーイングを簡単に説明するならば「体も心も元気で社会との繋がりも良好な状態」のことです。

人は誰でも「幸せに暮らしていきたい」「幸せに働きたい」と願っています。しかしその一方で、「幸せとは何だろう?」と考えると、途端にわからなくなってしまう人も多いのではないでしょうか。

何を持って幸せと感じるかは、一人ひとり異なるもの。

ウェルビーイングという言葉がこれほどまでに広く知られるようになった現在も「いまいちその意味がわからない」と感じる人が多いのは、幸せの定義が非常に難しく曖昧なものだからかもしれません。

この記事では、

・ウェルビーイングとは何か?
・なぜウェルビーイングが注目されているのか?
・企業がウェルビーイングを大切にすることでどんなメリットがあるのか?

について、わかりやすくご紹介します。

ウェルビーイングとは?

ウェルビーイングの5つの要素 ウェルビーイングとは? 経営にもたらすメリットをわかりやすく解説

ウェルビーイング(well-being)とは、「well(よい)」と「being(状態)」が合わさった言葉で、身体的にも精神的にも社会的にも満たされた幸福な状態のことを言います。

簡単に言うならば、体も心も元気で、家族や職場、地域の人など、社会との温かい繋がりを感じている状態です。

ウェルビーイングという言葉が初めて登場したのは、1946年に採択された世界保健機関(WHO)憲章でのことです。設立者の1人であったスーミン・スー博士は「健康」の項目において次のように述べています。

Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.

健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが 満たされた状態にあることをいいます。

出典:公益社団法人 日本WHO協会

これまでの健康が、身体の健康にフォーカスしていたのに対し、ウェルビーイングは、身体の健康、心の健康、社会との関係性と、より広い範囲を対象としています。

ここで少し、考えてみてください。

あなたの周りに次のような悩みを抱えている人がいたとします。

果たしてこの人は、ウェルビーイングな状態と言えるでしょうか?

身体は元気だけれど、精神的にすっかり参っている。
近くに頼れる人がいないから、誰にも相談できない。

身体は元気なので、病気ではないでしょう。しかし、精神的に辛い状況にいること、社会的な繋がりを持てないでいることを考えると、世界保健機関(WHO)憲章で述べられたウェルビーイングな状態とは異なることがわかります。

心と身体、社会との関係のすべてが良い状態であってこそ、人間は初めて幸せを感じることができます。

 つまり、ウェルビーイングとは「身体的な健康」「精神的な健康」「社会との繋がり」の3つの項目が、バランスよく満たされた状態のこと。不確実な現代社会を生きる私たちの新しい幸せの形とも言えるでしょう。

ウェルビーイングの5つの要素

ウェルビーイングの5つの要素 ウェルビーイングとは? 経営にもたらすメリットをわかりやすく解説

ここまで、ウェルビーイングとは、身体的にも精神的にも社会的にも満たされた状態のことだとお伝えしてきました。しかし、冒頭でも述べたように、幸せの定義は曖昧で、人によって大きく異なるものです。

ウェルビーイングな状態を目指したいと思っても、

「精神的に満たされているってどんな状態?」
「社会的な繋がりってどう作ればいいの?」

など、たくさんの疑問が浮かんでくるかもしれません。

ウェルビーイングが注目されるようになった現在、世界中で幸福に関する多くの研究や調査が行われています。

ウェルビーイングの分野に関する研究は多岐に渡りますが、ここでは特に有名なものを2つご紹介します。

PERMA

ウェルビーイングの5つの要素 ウェルビーイングとは? 経営にもたらすメリットをわかりやすく解説

PERMAは、ポジティブ心理学の創始者である米・ペンシルベニア大学心理学部教授のマーティン・セリグマン博士によって提唱されたウェルビーイングを高めるための5つの要素です。

・P=Positive Emotion(ポジティブな感情)
・E=Engagement(物事への没頭)
・R=Relationship(人間関係)
・M=Meaning(生きる意味)
・A=Achievement/ Accomplishment(達成感)

セリグマン博士は、PERMAの5つの要素を満たしている人こそがウェルビーイングな状態(幸せな状態)だと述べました。

5つの要素を順番に確認してみましょう。

①Positive Emotion(ポジティブな感情)

PERMAの「P」は、物事に対するポジティブな感情です。「嬉しい」「楽しい」「ワクワクする」「おもしろい」「感謝する」など、前向きな気持ちになっている時、人は幸せを感じています。ポジティブな感情を感じる瞬間が増えるほど、幸せを感じやすくなります。

②Engagement(物事への没頭)

PERMAの「E」は、物事への没頭です。子どもの頃、時間を忘れて友達と遊んだ記憶はありませんか? 趣味でも仕事でも時間を忘れるほど夢中になれるものがあることは、幸せなことです。反対に物事に没頭できていない時は「退屈」「つまらない」などネガティブな感情が湧いてくるものです。ウェルビーイングな状態からは遠ざかってしまうでしょう。

③Relationship(人間関係)

PERMAの「R」は、人間関係です。他者との関わりが少ない人ほど、孤独を感じやすくなります。家族や友人と過ごす時間を増やす、仕事で仲間や社会に貢献するなど、周囲と温かな人間関係を築くことが大切です。

④Meaning(生きる意味)

PERMAの「M」は、生きる意味です。自分の人生の主役は自分です。限られた時間を、どう使うのか、生き方の決定権は自分にあります。「子どもの成長を見守りたい」「昔から憧れていた仕事に転職したい」など、自分の人生で大切にしたいことを明確にし、それに従って生きることができれば、人生の幸福度は高まるはずです。

⑤Achievement/ Accomplishment(達成感)

PERMAの「A」は、達成感です。何かを達成した瞬間はもちろんですが、目標に向かってコツコツと努力をしている時間も人間は幸福を感じています。目標は大きなものでなくても大丈夫です。「いつもより30分早く起きられた」「ずっと行きたいと思っていたカフェに行けた」など、些細なことでもかまいません。1日の終わりに、今日達成できたことを振り返る習慣をつけるのも良いでしょう。

ビジネス観点でのウェルビーイング

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社会人にとって仕事は1日のうちの大半を占めるものです。仕事でウェルビーイングを感じられるかどうかは、人生の充実度を大きく左右します。事実、幸せを感じている人は活力に満ち、仕事における生産性も高いと言われています。

ビジネスパーソンが仕事をする上でウェルビーイングを感じるためには、どのような条件が必要なのでしょうか?

ビジネス観点でのウェルビーイングを考える時には、米国で世論調査などを手掛けるギャラップ社による5つの分類が役立ちます。

・Career Well-being(キャリアの健全性)
・Social Well-being(人間関係の質)
・Financial Well-being(経済的な充足感)
・Physical well-being(心身の健康)
・Community well-being(地域社会との繋がり)

①Career Well-being(キャリアの健全性)

自分のキャリアに納得感を持てているでしょうか。キャリアには、仕事のほかに、結婚や育児、趣味、ボランティア活動なども含まれます。自分が選んだ道であれば、仕事や家庭で少々辛いことがあっても乗り越えられるものです。反対に「自分で選んだ」という感覚が持てないと、仕事に対するモチベーションを維持できなくなります。

②Social Well-being(人間関係の質 

職場の上司や部下、同僚、取引先と良い関係を築けているでしょうか。仕事における人間関係の悩みはつきものですが、仲間と協力して物事を成し遂げる喜びは、一人では決して味わえないほど素晴らしいものです。

③Financial Well-being(経済的な充足感)

経済的な安定も重要です。どれほど好きな仕事であっても、十分な収入が得られなければ生活が成り立ちません。気持ちも不安定になりやすいです。とはいえ、お金がたくさんあれば幸せかというと、そうとも限りません。お金をたくさん稼ぐ人は、仕事が忙しくなる傾向にあります。「お金があっても使う時間がない」「仕事が忙しくて家族との時間を確保できない」このような状態はウェルビーイングとは言えません。まずは、毎月の収入や支出をきちんと管理し、経済的に満足できる状態を目指しましょう。

④Physical well-being(心身の健康)

仕事における幸せは、心身の健康があってこそ成り立つもの。仕事で成果が出ると、嬉しくなって、つい無理をして頑張ってしまう人は多いでしょう。しかし、どれほど一生懸命働いても、心身の健康を壊してしまっては元も子もありません。業務時間内は集中して仕事に打ち込み、休日はしっかりと身体を休める。仕事で幸せを感じるためにも、仕事とプライベートの時間にメリハリをつけることも大切です。

⑤Community well-being(地域社会との繋がり)

 地域社会やコミュニティでの幸福度です。自分が住んでいる地域、家族、職場、子どもの学校との関係性もウェルビーイングに深く関わっています。地域のゴミ拾いや被災地の復旧活動に参加する、社外講師として地域の人に専門知識をレクチャーするなど、近年はこうした企業の地域貢献にも注目が集まっています。

ウェルビーイングが今注目される背景

ウェルビーイングの5つの要素 ウェルビーイングとは? 経営にもたらすメリットをわかりやすく解説

人々は昔から「幸せに生きていきたい」「幸せに働きたい」と願ってきました。しかしウェルビーイングという言葉が知られるようになったのは、ずっと後になってからのことです。一体なぜ、今これほどまでにウェルビーイングの考え方が注目されているのでしょうか。

ウェルビーイングが注目される背景|①SDGsの目標

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ウェルビーイングが注目される背景の1つにSDGsがあります。SDGsとは、Sustainable Development Goalsの頭文字をとったもので、地球上のさまざまな問題を解決するために、世界中の国々が力を合わせて2030年までに達成しようと決めた17の目標のことです。

この17の目標の中に、ウェルビーイングという言葉が用いられたことで、広く知られるようになりました。ウェルビーイングという言葉が登場するのは、17のうち3つ目の目標です。

Good Health and Well-Being (すべての人に健康と福祉を)

17の目標の中で「Well-Being 」は「福祉」と訳されています。詳細な目標は「あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進すること」。言葉のニュアンスは少々異なりますが、この出来事がウェルビーイングの認知を広めるきっかけになったことは間違いないでしょう。

SDGsとは?17の目標と私たちにできることを簡単わかりやすく解説!

ウェルビーイングが注目される背景|②ダイバーシティ&インクルージョン

ウェルビーイングの5つの要素 ウェルビーイングとは? 経営にもたらすメリットをわかりやすく解説

ウェルビーイングを語る時に欠かせないのが、ダイバーシティ&インクルージョンの存在です。ダイバーシティ&インクルージョンとは、多様な人材がお互いの考え方や個性を尊重し合える状態のことを言います。

多様な人材がいる職場は、さまざまな角度から新しいアイデアが生まれます。ダイバーシティ&インクルージョンを推進している職場は、多様な価値観をもつ社員が活発に意見を出し合い、それらを融合できる環境が整っている職場でもあるからです。

これはまさに、先ほどお伝えした「Social Well-being(人間関係の質)」が満たされている状態です。多様な価値観に触れられる環境は、好奇心を刺激します。「楽しい」「ワクワクする」「おもしろい」といった「Positive Emotion(ポジティブな感情)」も自ずと生まれやすくなります。

実際にウェルビーイング、幸福学の研究の第一人者である前野隆司氏、前野 マドカ氏の著書『ウェルビーイング』(日経文庫)では、著者が行った研究で幸せな人は多様な友人を持っているという結果が得られたと述べています。

また別の研究では、多様なチームは均一なチームよりも、創造性が高いという結果も得られたそうです。

ウェルビーイングとダイバーシティ&インクルージョンは、一見つながりがないように感じられるかもしれませんが、実は深く関わりあっていることがわかりますね。

ダイバーシティ&インクルージョンとは?違いやメリット・課題・取り組み事例を紹介
参考:前野 隆司・前野 マドカ(2022)『ウェルビーイング』(日経文庫)

ウェルビーイングが注目される背景|③コロナウイルス(COVID-19)の流行

新型コロナウイルス(COVID-19)の流行は、身体的な健康だけでなく、精神的な健康にも大きな影響を与えました。感染への不安、社会的孤立、不確実性が高まり、広い意味での健康やウェルビーイングに対する関心が高まったと言われています。

企業は、在宅勤務や時差通勤など柔軟な働き方を導入し、社員は通勤によるストレスの軽減、家族と過ごす時間の確保などワーク・ライフ・バランスの重要性を経験しました。在宅勤務が浸透すると、今度は社員同士がコミュニケーションをとる機会が減り、職場の人間関係が希薄になるという新たな課題も浮上しました。

新型コロナウイルス(COVID-19)によって先が読めなくなったことを発端に、さまざまな角度から社員の幸せを追求するウェルビーイングに注目が集まっているのです。

国・内閣府としてウェルビーイングを実現するための指標

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日本政府はウェルビーイングにどう向き合っているのでしょうか。

内閣府では、

・日本の経済社会の構造をウェルビーイングの観点から把握すること
・その調査結果を元に政策運営に活かしていくこと

を目的に、下記13項目に渡る「満足度・生活の質に関する調査」が実施されています。

【1】家計と資産の満足度
【2】雇用環境と賃金の満足度
【3】住宅の満足度
【4】仕事と生活の満足度
【5】健康状態の満足度
【6】自身の教育水準・教育環境の満足度
【7】社会とのつながりの満足度
【8】政治・行政・裁判所の満足度
【9】自然環境の満足度
【10】身の回りの安全の満足度
【11】子育てのしやすさの満足度
【12】介護のしやすさ・されやすさの満足度
【13】生活の楽しさ・面白さの満足度

出典:満足度・生活の質に関する調査,_内閣府

調査項目に目を通すと、身体的健康、精神的健康、社会との繋がりの分野からまんべんなく問われていることがわかります。

このことからも、ウェルビーイングに対する国の指標は、概ね世界保健機構(WHO)の憲章と相違ないことが予測できます。調査の結果は、内閣府のホームページから確認できますので、気になる方はぜひ目を通してみてください。

ウェルビーイングが企業の経営にもたらすメリット

ウェルビーイングの5つの要素 ウェルビーイングとは? 経営にもたらすメリットをわかりやすく解説

ウェルビーイングを目指す動きは企業にも広がっています。社員の幸せを後押しすることは、回り回って企業にも大きなメリットをもたらすことがわかっています。

ウェルビーイングがもたらすメリット|①社員のパフォーマンスが向上する

アメリカ・イリノイ大学名誉教授のエド・ディーナー博士らが行った研究によると、幸せを感じている人は、そうでない人と比べて、創造性が3倍高く、生産性は31%、売り上げは37%も高いといった研究結果が報告されています。

例えば、寝不足で疲れが溜まっている、あるいは過度なストレスに長期間晒されている状態では、仕事に集中することはできません。注意力が散漫になってミスも起こりやすくなるでしょう。一方、心身ともに健康で、職場の仲間との人間関係も良好な状態であれば、自信を持って仕事に臨むことができます。集中力・注意力が高まり、自分の意見も臆することなく伝えられるでしょう。社員が幸せになることで、創造性が上がり、仕事のパフォーマンスも向上するという好循環が生まれます。

ウェルビーイングがもたらすメリット|②離職率が低下する

ウェルビーイングに取り組むことで、心身の不調や仕事の滞りなど、社員の些細な変化に気づきやすくなります。「最近疲れが溜まっていそうだな」「今後のキャリアに悩んでいるのかな」など、社員が抱える悩みや問題を早めにキャッチできれば、離職防止に向けて働きかけることができるかもしれません。

ウェルビーイングを実践するための考え方と事例

ウェルビーイングの5つの要素 ウェルビーイングとは? 経営にもたらすメリットをわかりやすく解説

記事の中盤でご紹介したPERMAでは、ウェルビーイングの要素を5つに分類してご紹介しました。

・P=Positive Emotion(ポジティブな感情)
・E=Engagement(物事への没頭)
・R=Relationship(人間関係)
・M=Meaning(生きる意味)
・A=Achievement/ Accomplishment(達成感)

ここからは5つの要素を踏まえて、ウェルビーイングを高める具体的な行動に落とし込んでみましょう。

たとえば「Engagement(物事への没頭)」の要素にフォーカスするなら、自分がワクワクするようなイベントを企画したり、積極的に参加してみます。また、仕事で困っている人を助ける、人の相談に乗る、感謝の気持ちを伝えるなどの行動は「Relationship(人間関係)」を良好にします。

「Achievement/ Accomplishment(達成感)」を感じるためには、自分の強みを分析して、達成可能なゴールを目指してみるのも良いでしょう。

「A SUSTAINABLE FUTURE」をブランドステートメントに掲げるヤンマーでは、多様な社員一人ひとりが幸せに自分らしく働ける職場を目指して、社員の一体感を生み出すイベントや挑戦を後押しするプロジェクトを実施しています。

事例|①社員がワクワクできるウェルビーイングなイベント「YANMAR SUMMER FESTIVAL 2022」を開催

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コロナ禍で在宅勤務が浸透したことによって、社員同士がコミュニケーションをとる機会が減ってしまった昨今。社員同士の交流や「One YANMAR」の一体感を得られる場を取り戻すことを目的に、2022年7月から8月にかけて、海外を含むグループ全社員を対象にしたオンラインイベント「YANMAR SUMMER FESTIVAL」を開催しました。

ウェルビーイングの5つの要素 ウェルビーイングとは? 経営にもたらすメリットをわかりやすく解説

社員がバーチャル上の会場を周遊しながら、会社のビジョンや各グループ会社の役員からのメッセージなどを見られたりし、会社への理解を深めていく本イベント。

Y mediaでは、そんな「YANMAR SUMMER FESTIVAL」の運営を担ったプロジェクトメンバーの5人を取材。社員がワクワクしながら参加できるウェルビーイングなイベントの舞台裏に迫りました。

事例|②社員の挑戦を後押しする「新規プロダクトアイデアコンテスト」を開催

ウェルビーイングの5つの要素 ウェルビーイングとは? 経営にもたらすメリットをわかりやすく解説

「人の可能性を信じ、挑戦を後押しする」、ヤンマーには創業時より受け継がれてきた「HANASAKA」という価値観があります。そんな「HANASAKA」の取り組みのひとつとして、2022年に「新規プロダクトアイデアコンテスト」が実施されました。

国内外のヤンマーグループの社員から、新規事業のアイデアを募り、自社の役員が事業化の可否を審査する本コンテスト。当選したアイデアの提案者は、プロジェクト推進の主体となり、事業化を目指します。

ウェルビーイングの5つの要素 ウェルビーイングとは? 経営にもたらすメリットをわかりやすく解説

本コンテストの応募者である田中さん(写真)は、応募の動機について次のように語ります。

動機は主に3つありました。1つ目は、役員に直接声を届けられること。ヤンマーの現場最前線を担う社員の一人として、日々、顧客と向き合ってきました。販売・サービスを行うなかで培ったアイデアを、組織の枠を超え、多くの人に広く知ってもらいたい。ヤンマーグループの力を集めることができれば事業化の可能性が高まるのではないか。コンテストの開催を知ったとき、そのように考えました。

2つ目は、50代の私が挑戦することで同年代や若年層の社員にエールを送りたいと思ったこと。ミドルエイジパワーを見せたいなと(笑)。

そして3つ目は、何か大きなことを成し遂げたいということ。私が在籍する支店では、地方の支店であるがゆえにどうしても現場の要望を優先します。「社会課題の解決に貢献するような大きな仕事に挑戦したい」。そういった思いは以前からありました。

私の提案は、気候にまつわる地方の課題解決を目指すプロダクトアイデアでした。本コンテストでは受賞は逃してしまいましたが、役員から「来年もう一度チャレンジするなら、技術本部のメンバーがサポートするよ」と嬉しいコメントをいただきました。すでに来年に向けて、さらなるブラッシュアップに取り組んでいます。

田中さんのコメントからは「Positive Emotion(ポジティブな感情)」「Relationship(人間関係)」「Achievement/ Accomplishment(達成感)」などウェルビーイングにとって大切ないくつもの要素が伺えます。

Y mediaではそんな「新規プロダクトアイデアコンテスト」の狙いや成果について取材。事務局メンバー、応募者の発案や発表を支援するサポートメンバー、そして3名の応募者にインタビューしました。

自分だけのウェルビーイングな生き方を見つけよう|まとめ

ウェルビーイングの5つの要素 ウェルビーイングとは? 経営にもたらすメリットをわかりやすく解説

みなさんにとって「幸せ」とはなんでしょうか?

お金持ちになる、いい車に乗る、出世するなど、いわゆる、カネ、モノ、地位のように誰かと比べられる「地位財」を求める人もいれば、健康や家族との時間、社会との繋がりなど、誰かと比べることができない「自分だけの幸せ」を探し始める人もいるでしょう。

こうした他人と比べられない自分だけの財産を「非地位財」と言います。

体も心も元気で社会との関係も良好な状態を表すウェルビーイングの本質は、後者の「非地位財」に近いものがあるように思えます。

今回は、ウェルビーイングの5つの要素や経営にもたらすメリットなど、さまざまな角度からウェルビーイングを考察してきましたが、何を持って幸せと感じるかは一人ひとり異なるものです。

この記事が、あなただけのウェルビーイングな生き方を見つけるヒントになれば幸いです。