2021.01.22

ヤンマーは、外国人にとって働きやすい会社か? 外国籍社員と採用担当者の本音トーク

グローバル化戦略の一つとしてダイバーシティに取り組むヤンマーでは、「国籍・文化・年齢・性別・宗教・キャリア」など、多様なバックグラウンドをもつ人材が働いています。

Y mediaでは、ヤンマーのダイバーシティの取り組みをシリーズでご紹介しています。今回は、さまざまな部門で活躍している外国籍の社員3名にお集まりいただき、人事部門にて採用を担当する1名(以下、採用担当者)を交え、「ヤンマーのダイバーシティ」について語っていただきました。

<外国籍社員プロフィール>
KIM DONGYOUNG(キム ドンヨン)
国籍:韓国。ヤンマーパワーテクノロジー株式会社 事業部舶用営業部大阪特販部。2009年に入社、舶用エンジンの販売をはじめ、船の建造に関するサポート業務まで、国内外の舶用関連の仕事に携わる。

JAIYEN CHOMPUNUT(イン チョンプヌット)
国籍:タイ。ヤンマーグローバルCS株式会社 部品推進部販売推進グループ。2012年に入社、国内外のヤンマー製品を購入いただいたお客様のアフターサービスとして、補修用部品の供給をサポート。

IBRAGIMOV SHOHRUHBEK(イブラギモブ ショハルフベック 以下ショーン)
国籍:ウズベキスタン。YANMAR TURKEY MAKINE A.S.。2011年に入社、製品や部品の輸出入の物流サービス、2014年よりマーケティングを担当。

※取材者の所属会社・部門・肩書等は取材当時のものです。

多様な個性の人材が、お互いに認め合い、高め合う仕事環境

―― ヤンマーが求めている人材は?

採用担当者:ヤンマーグループは、ブランドステートメント「A SUSTAINABLE FUTURE -テクノロジーで、新しい豊かさへ-」の理念のもと、豊かな未来の実現へ向けて活動しています。SUSTAINABLE(サスティナブル)とは、「持続可能な」という意味で、具体的には「省エネルギーな暮らしを実現する社会」「安心して仕事・生活ができる社会」「食の恵みを安心して享受できる社会」「ワクワクできる心豊かな体験に満ちた社会」の4つの社会の実現を目指しています。
そのためには、外国籍社員をはじめとする多様な考え方を持つ人たちが、お互いの価値観や個性を尊重しながら、高め合い融合する「ダイバーシティ(多様性)&インクルージョン(融合)」の推進が重要だと考えています。

外国籍社員から見たヤンマーとは

―― ヤンマーに入社した理由を教えてください

キム:私は韓国出身なので兵役を経験しています。大学を2年間、兵役を終えて大学に戻るまでの間、中国で携帯メーカーのインターンに参加しました。その時「メーカーの仕事は、営業が調達から生産、品質管理まで、いろいろな事に携われる」ということに興味を持ち、メーカーであるヤンマーに入社することに決めました。実は、数社から内定を頂いていたのですが、初めて応募した会社がヤンマーでしたので「これも縁かな」という気持ちもありました(笑)。

ヤンマーは、外国人にとって働きやすい会社か? 外国籍社員と採用担当者の本音トーク

イン:就職活動中、グローバルで活躍している会社を中心に見ていました。ヤンマーもグローバルな会社で、私の母国のタイにも支店があります。タイの農業は、お米の輸出が世界一で重要な産業の一つです。ヤンマーの農業機械は、これまで人力や水牛に頼っていた農作業から解放してくれると共に、お米の生産性を上げて、貧しかった農民の生活向上に貢献している、という印象を持っていました。当時「私もヤンマーの一員として、人々をサポートしていきたい」という思いがありました。

ショーン:私が会社を選ぶポイントは3つありました。1つは、サービスではなく物であること。2つ目は、母国ウズベキスタン、もしくは違う途上国に行った時に、その国のために貢献できる仕事であること。3つ目は、ヤンマーが「大地・海・都市」のフィールドで7つの事業を展開していること。「この会社で頑張れば、7つの業界のプロになれる」と思ったからです。

イン:「挑戦したい人にチャンスを与えてくれる」という会社の雰囲気も良かったですね。「将来の自分が見えた」気がしました。

ショーン:就職活動中に口コミサイトを調べていたら「自分が挑戦したかったら、挑戦させてくれる環境が揃っている」ということが書かれていたんです。ヤンマーに入社している先輩の話でも「個性を大事にしてくれる会社」という話があったので、ヤンマーを選びました。

キム:そうですね。実際に働いてみて「いろいろと任せてくれる会社」だと思いますね。

ヤンマーは、外国人にとって働きやすい会社か? 外国籍社員と採用担当者の本音トーク

―― ヤンマーに入社して良かったこと

キム:まずは「12年間無事に勤められている」ことに感謝です。2009年の入社した当時、本当に何をすればいいか分からない。実は、配属先でも「私をどうやって活かすか」ということに悩んでいたらしいんです。修行と言いますか、1年間ぐらい先輩について行くような仕事をしていました。そして、2011年3月11日「東日本大震災」が起きます。震災後は、復興のために地元の皆様のお仕事を手伝いながら、被害にあった漁船の代船建造に携わることができました。この経験が、私の財産になっています。

イン:入社の理由でも言いましたが、実際に働いてみて感じたことは「やる気があるなら、挑戦させてくれる」ということです。私は外国籍の女性ですが、これまで9年間働いてきて差別を感じたことはありません。上司や周りの人からは、「あなたができるならやってみて」とか「挑戦してみたら」という言葉を良く聞くんですよね。もの凄く将来の自分、未来に対するやり甲斐を感じます。

ショーン:そうですね。手を挙げて、何かをやろうと思ったら、やらせてくれる風土があります。実は、私が入社したのは2011年の4月で、東日本大震災の直ぐ後です。2週目の新入社員研修の時、人事担当者に「社員食堂に募金箱を置いてみたらどうですか」と言ったら、翌日には募金箱が置かれていたんです。
「言ったことは、ちゃんと聞いてくれるんだ」と思った時から、食堂のメニューが宗教上の理由で食べられない人たち向けに食べられるメニューの提案など、どんどん提案すると、それをやらせてくれるのが凄いと思います。この会社の良いところは、正直な話、人だと思いますね。

キム・イン:そう思いますね。

ヤンマーは、外国人にとって働きやすい会社か? 外国籍社員と採用担当者の本音トーク

入社して苦労したこと、ヤンマーに求めたいこと

―― ヤンマーに入社して苦労したことは?

キム:やはり言葉の問題ですね。私は外国人採用の第一世代でしたので、制度としての日本語教育がありませんでした。「お世話になっています」の使い方をはじめ、お客様への話し方やメール文書の書き方など、とても大変でした。日本語については、先輩たちが文章を直してくれたり、週末にいろいろと面倒を見てくれたり、親切にサポートしてくれたおかげで徐々に解決していきました。

イン:入社当時、日本語は話せたのですが、勤務地である関西特有の言葉や文化に慣れるまでかなり苦労しました(笑)。語調が強い関西弁に「怒っているのかな?」と悩んだ時期もありました。

ショーン:最初の頃は、日本人の社員の中には「郷に入れば郷に従え」を求める方もいましたね。

採用担当者:現在では、日本語の通信教育のサポートをはじめ、2019年からは外国籍の先輩社員が新人社員に対して業務上やメンタル面などの相談に乗る「メンター制度」を導入するなど、改善の努力を続けています。

―― 働きやすい環境の実現に向けて提案はありますか

キム:私は初期の外国籍社員なので「前例がない」という問題が多くありました。例えば、同じ韓国籍の女性と結婚したのですが、家族も含めたライフスタイルの変化と、会社のルールが上手く合わないことがありました。現在は人事の採用担当者をはじめ、いろいろな方が相談に乗ってくれるので、少しずつ改善していくことを期待しています。

ショーン:「外国人として前例がない」という話ですが、それだったら「前例を作って行こう」という人事の前向きな姿勢に期待したいですね。私の経験で言えば、私は海外出張が多かったので、パスポートのスタンプが直ぐに一杯になってしまうのです。そうなると新しいパスポートの申請が必要なのですが、ウズベキスタンの大使館で「3ヶ月以上かかる」と言われたんです。帰国して申請するならば、帰国費用の負担や休暇申請が必要なので、サポートのお願いをすると「前例がない」と断られました。2019年にサポート制度ができたのですが、もう少し柔軟性があっても良いと思います。

イン:メンター制度の取り組みは、とても良いと思います。私も先輩社員として、新人社員の相談に乗っています。ただし、今の制度は「外国籍社員だけの取り組み」に留まっていますので、会社には「日本人社員が理解を深める」ことも考えてもらいたいですね。

ヤンマーは、外国人にとって働きやすい会社か? 外国籍社員と採用担当者の本音トーク

キャリアパスが見えるように

ショーン:キャリアパスがやっぱり見えないですね。自分なりの自分の目標とキャリアパスを立てて定期的に提出していますが、もっと「ヤンマーが求めていること、用意されているオプション」を出して欲しいです。お互いの“思い”をオープンにしてディスカッションすることで、“より良い将来”が見えてくると思います。

キム:私はずっと舶用関連なので、「違う仕事に挑戦してみたいな」ということはあります。会社が求めていること、私に期待していることを話し合う、会話の場があってもいいと思いますね。

イン:私は「自分の将来が見えてきた」と感じています。この記事で書かれるとちょっと恥ずかしいのですが、人事の方も知っている、入社時から変わらない“私の夢”です。周囲の方も応援してくれているので、これからも頑張っていきたいです。

ヤンマーで働きたい、と思っている後輩たちへ

―― 就活中の外国籍の方に、何かメッセージを

キム:外国籍社員に対する差別はないです。実は、外国籍社員の座談会に呼ばれて「初めて外国籍社員の扱いをされているな」と感じました(笑)。ヤンマーという会社は、ちょっと声を上げたら、まずはやらせてくれる。若手が失敗した事ぐらいは、先輩がちゃんとかばってくれるので、一緒にチャレンジして欲しいです。

イン:さらにステップアップして、別の立場として若手育成に携わりたいと思います。これまで学んできた事、教えてもらった事を、新人の外国籍社員の方々に、今度は私が伝えたいです。一緒に世界で活躍していきましょう!

ショーン:私、キムさん、インさんは、約10年ヤンマーに勤めています。その間、外国籍の私の友人たちは最低でも3社ぐらい転職しています。私たちはヤンマーが好きですし、良い面も悪い面も分かっています。将来、意思決定者になって「外国籍の後輩たちに、もっと働きやすい環境を作ること」が私の夢です。

ダイバーシティを推進する、ヤンマーの未来へ

採用担当者:ヤンマーの採用活動は、能力や人柄など、その人の個性を重視していますので、外国籍社員を何人採用するといったことはありません。
しかし、外国籍の方が応募しやすい環境づくりは、就職活動機会の平等性において重要なことだと考えています。具体的には、会社説明や採用の情報発信であったり、インターンシップの活用や9月・10月に卒業する外国籍の方々の入社のタイミング調整であったり、さまざまな課題に取り組んでいきたいです。これからも「ダイバーシティ&インクルージョン」を推進してまいります。

■【第1回】ヤンマーのダイバーシティの取り組みは、「女性が働きやすい企業へ。ヤンマーが推進するダイバーシティとは?」でご覧いただけます。

■ヤンマーが目指すビジョンは「私たちの使命」でご覧いただけます。

 

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