世界最古の国際スポーツトロフィーを賭けて戦うアメリカズカップの起源は、1851年まで遡ることができます。今から165年前のこの年、ロンドンで開催された第1回万国博覧会を記念して、イギリス南部にあるワイト島一周レースが開催されました。優勝杯として用意されたのは、イギリス王室御用達のギャラード社で製作された純銀製のカップです。
参加者を広く募ったこのレースで優勝したのが、当時新興国だったアメリカから、ただ一隻だけ参加したアメリカ号でした。優勝杯はアメリカへと渡り、後にアメリカ号の偉業を称えるために「アメリカズ号のカップ=アメリカズカップ」と呼ばれるようになりました。
大英帝国のメンツが丸つぶれとなったイギリスは、なんとかしてカップを取り戻そうとします。そうして始まったのが、一対一のマッチレース方式で争うアメリカズカップというヨットレースで、現在このカップを保持しているのが、ヤンマーが「オフィシャルテクニカルパートナー」としてサポートする「オラクルチームUSA」なのです。
ちなみに、近代五輪が始まったのは1896年。日本がまだ江戸時代だった頃から続いているアメリカズカップは、その長い歴史の中で数々の名勝負を生み出してきました。最近では何と言っても前回、2013年にアメリカのサンフランシスコ湾で行われた第34回大会で、ディフェンディングチャンピオンであるオラクルチームUSAが、もう1敗もできない崖っぷちの窮地から防衛を果たすという、スポーツ史に残る大逆転劇を成し遂げています。