VISION01 省エネルギーな暮らしを実現する社会

2019年度のCSR・環境活動特集

地域における再生可能エネルギーの創出で資源の有効活用とCO2排出量削減に貢献

顧客の課題とヤンマーグループの提供価値、それによって貢献できる社会課題

<ヤンマーグループの提供価値>廃食油を活用した大型発電システムで地産地消の資源循環サイクルを創出

廃食油を活用したバイオディーゼル燃料は、従来から一部の都市部などにおいてバスやトラック等の燃料として使用されていました。しかし、十分なメンテナンスが行われない場合は運転中に不具合が発生するなどの問題から活用が進んでおらず、自治体や企業は廃棄される食用油の処理、利活用などの課題を抱えています。

そうしたなか、沖縄県の産業廃棄物処理業者である大幸産業様では、沖縄県内の約3分の1にあたる年間約2,500tの廃食油を回収し、FAMEの生成やボイラー用燃料および家畜の飼料としてSVOを出荷していました。

しかし、近年これらの需要が安定を欠き、新たな活用法を模索するなか、これまでは輸出していた廃食油を発電に活用し売電する方向に事業の形を変えることを検討。SVOを燃料とする大型エンジンの国内実績がない未知の領域に、ヤンマーはお客様と共に挑戦しました。

SVOは常温では固形化してしまうため、定常運転時には60℃以上に加温するとともに、始動時・停止時にはA重油と適切に切り替えることが必要でした。そこで当社は、燃料加温装置と燃料切替装置をユニット化することでこの問題を解決しました。

今回、このシステムを完成させたことで、発電した電力を自家用だけでなく新電力会社に余剰売電することを実現。事業収益が安定すると同時に、再生可能エネルギーを沖縄県内で循環させることを実現しました。沖縄電力では火力発電におけるA重油の使用量削減や県内のトラック配送の燃料削減により、年間3,060tのCO2排出量削減といった効果が生まれています。

「SVO」「FAME」とは?

「SVO(ストレートベジタブルオイル)」は、廃食油から不純物を取り除いただけの、生の植物油のこと。生成時の環境負荷は低いが、品質の問題や、常温では粘性が高いこと(軽油の約10倍)が難点です。

一方、「FAME(脂肪酸メチルエステル)」は、植物油にメタノールを添加し、エステル交換反応をさせて生成します。軽油と同じぐらい燃焼性が良いものの、酸化しやすく樹脂やゴムを劣化させることが課題です。

SVO大型発電システムによる新たなビジネスモデル
システム導入後の成果

社員の声
さまざまな不具合を一つひとつ解決することでお客様の信頼を獲得

スタッフ写真

ヤンマーエネルギーシステム株式会社
ソリューション推進室
技術開発部 技術グループ
佐藤 和男

お客様は、FAMEの需要減少に加え、飼料用に添加していたSVO自体にダイオキシン混入の危険性がある欧州での事例を懸念し、新たな活用方法を模索されていました。SVO発電事業は長期の安定運用が課題でしたが、私たちは、まず別機種の中古発電設備で試験運用を繰り返し、さまざまな不具合を一つひとつ解決していきました。その姿勢がお客様の信頼につながり、大型発電設備の導入にいたったと考えます。

運用に際しては、低質油エンジンの識者を含むタスクチームの発足、遠隔監視を用いたデータ確認などヤンマーグループの強みを生かし、課題解決に貢献してきました。

SVO発電は、社会を持続させる取り組みであり、お客様のSVOを地産地消で活用したいという願いの実現が、当社の使命でもあると信じています。

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