FIPとは?FIT制度との違いを解説

更新日時:2022.03

FIPとは?FIT制度との違いを解説

2012年7月、日本では再生可能エネルギーの普及に向けて、FIT制度(固定価格買取制度)がスタートしました(ノンファーム型接続で広がるFIT制度の可能性)。これにより、再エネ発電事業者の増加および再エネ設備が急速に拡大しました。このFIT制度に加えて、2022年4月から、再エネを電力市場へ統合する段階的な措置として、電力市場の価格と連動した発電をうながすFIP制度が始まります。今回は、FIP制度の概要・特徴をFIT制度との違いとともに解説します。

FIP制度とは

FIP(Feed-in Premium:フィード インプレミアム)制度とは、FIT制度のように市場取引免除・固定価格での買い取りではなく、再エネ発電事業者が卸電力取引市場などで再エネ電気を供給したとき、その売電価格に対して一定のプレミアム(補助額)が交付される制度です。そのため、FIP制度のもとでは、再エネ発電事業者は、蓄電池の活用などで、需要が大きく市場価値が高くなる季節や時間帯に電気を供給することで収益を拡大することができます。

出典:FIP制度とは(経済産業省資源エネルギー庁)
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/dl/fip_2020/fip_document02.pdf

特徴1. プレミアムのしくみ

プレミアムの額は、①基準価格(FIP価格)から②参照価格を控除した額(③プレミアム単価)に、再エネ電力供給量を乗じた額を基礎として1か月ごとに決定されます。
①基準価格(FIP価格):通常必要と想定される費用をベースに、さまざまな事情を考慮してあらかじめ設定されるもの。交付期間(20年)にわたり固定。
②参照価格:市場参照期間毎の市場価格の平均価格を基礎として、一定期間毎に算定。
③プレミアム単価(① - ②):参照価格の変動に応じて、一定期間毎に機械的に算定

出典:FIP制度とは(経済産業省資源エネルギー庁)
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/dl/fip_2020/fip_document02.pdf

また、再エネ発電事業者は、供給する再エネ電気の計画値と実績値を一致させることが求められ、計画値と実績値の差(インバランス)が出た場合には、その差分調整に必要な費用を負担しなければなりません。インバランスにかかる費用を考慮し、プレミアムの一部(バランシングコスト)として交付されます。バランシングコストについては、経過措置として太陽光・風力発電において2022年度の開始当初は1.0円/kWhを交付し、翌年度からは少しずつ金額が低減される予定です。

特徴2. 売電方法

FIT制度では、電力会社が再エネ電気を買い取っていましたが、FIP制度では再エネ事業者自らが卸電力市場や小売電気事業者といった売電先を確保する必要があります。また、小規模再エネや自然変動型再エネなど多様な分散型電源を束ね、市場取引を代行する「アグリゲーション・ビジネス」の拡大が期待されます。アグリゲーターにとっては、FIP制度の導⼊により、①再エネ電気の供給タイミング等の⼯夫により売電収益を向上するインセンティブ、②インバランス発⽣を抑制するインセンティブが出てくることが、ビジネス・チャンスになると考えられます。FIP制度の施行とともにアグリゲーターライセンスも創設される予定です。

出典:FIP制度とは(経済産業省資源エネルギー庁)
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/kaitori/dl/fip_2020/fip_document02.pdf

入札の対象は、風力以外の太陽光や中小水力などの電源では、一定規模以上の新規認定についてはFIP制度のみが認められます。その他、50kW以上、一定規模未満ではFIT制度とFIP制度を選択できます。また、既にFIT認定を受けている事業も、50kW以上であれば、事業者が希望する場合はFIP制度に移行が可能です。

FIP制度は、再エネ電源の電力市場への統合と電力システム全体のコスト低減へのステップとして導入されます。FIP制度のインセンティブにより、再エネ発電事業者だけでなく、アグリゲーターなど新たなビジネスの創出やさらなる再エネ導入が拡大し、わが国が目標とする再エネ電源の主力化を促進することが期待されます。

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