2022.01.27
ヤンマーグループのサービス発信基地「YANMAR SYNERGY SQUARE」を徹底解剖!
ヤンマー尼崎工場のすぐ隣、かつてヤンマーの福利厚生施設の一部だった敷地に、2020年8月、「YANMAR SYNERGY SQUARE(ヤンマーシナジースクエア)」(以下、YSQ)が誕生しました。電車に乗って大阪から神戸方面に向かっていると、ヤンマーのロゴが際立つ新しいビルの1階に「SYNERGY SQUARE」と描かれた大きな壁画が見えるので、気になっていた方も多いかもしれません。
ここYSQはヤンマーグループにおいて、「グローバルに顧客満足度(CS)を向上させるための拠点」という位置づけがあり、その内部にはヤンマーグループのアフターセールス部門を担う「ヤンマーグローバルCS株式会社」の本社社屋としての機能のほか、ヤンマーエネルギーシステム株式会社コンタクトセンターとの協働運営によりお客様の大切な機械を見守りサポートする「リモートサポートセンター」を有しています。
最先端のテクノロジーを駆使したサービスを提供する施設というだけでなく、社員が働きやすい環境づくりにもこだわっており、2021年8月には、第34回日経ニューオフィス賞において、「近畿ニューオフィス推進賞」を受賞しました。
→「ヤンマーシナジースクエアが第34回日経ニューオフィス賞「近畿ニューオフィス推進賞」を受賞」
(https://www.yanmar.com/jp/news/2021/08/06/96140.html)
普段は見ることができないフロアも含め、ヤンマー社員が誇る魅力たっぷりの施設を徹底取材してきました。ぜひご覧ください。
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JR尼崎駅から線路沿いに徒歩約8分。電車の車内からもよく見えたYSQの建物は、ヤンマーパワーテクノロジー株式会社の尼崎工場の正門を過ぎたちょっとだけ先にあります。
5階建ての建物のうち、1階と2階の一部は展示施設。ヤンマー社員同伴のもと、パートナーさまやお客さまに対してヤンマーの取り組みを紹介するフロアになっています。ヤンマー社員が実際に働いているのは、2階のリモートサポートセンター、3階の執務フロアです。また、4階は会議室と社員食堂になっています。
【1階】ヤンマーの歴史と現在の取り組みをサービスにフォーカスして紹介するフロア
まずは、1階部分から。こちらは、ヤンマーのパートナーさまやお客さまは、申し込みをすることで見学することが可能です。
(※一般の方のご利用・ご見学は実施しておりません。)
1階の中心部分にあるのは、「Service History」のコーナー。現在から過去に遡る形でヤンマーの歴史を知ることができます。
ヤンマーの創業者・山岡孫吉の思いを知り、当時の苦労をご紹介するコーナーもあります。1951年から発売され大ヒットした「Kシリーズディーゼルエンジン」の紹介など、身近に感じられる一角です。
「ヤンマーが目指す近未来のサービス」を紹介するシアターでは、空撮なども交えたインパクトある映像を通して、ヤンマーの企業理念や目指す未来の社会像をご紹介した後、YSQやリモートサポートセンターについて詳しく説明します。
10分程度の映像ですが、大事なところがぎゅっと凝縮されているので、ヤンマーの思いがよく分かります。とてもハイクオリティな映像と音響なので、パビリオンをひとつ見終わったような満足感が得られます。
シアターを出るとふたたびエントランスホールに。階段の下にあるのは、最新モデルの産業用ディーゼルエンジンと排ガス後処理装置です。
続いてのコーナーは、世界中から寄せられたお客さまやビジネスパートナーの声を展示した「Voice of Customer」のコーナー。みなさんとってもいい笑顔で写っていらっしゃいます。この笑顔のために、ヤンマー社員は頑張っているんですよね!
その隣はヤンマーが2019年から新たに開始した「Service Award」の紹介コーナー。これはアフターセールスを支えている最前線のサービススタッフを讃えるためのアワード(賞)で、今まで155名のサービススタッフが選ばれ、その名前が施設内のプレートに刻まれています。
ちなみにトロフィーにデザインされている「S」のようなロゴは、お客さまとの「握手」や作業で使う「レンチ」をモチーフにしたもの。「形のない財」を表現しています。
次はヤンマーの「Global Service Network」の紹介コーナー。世界地図と日本地図が表示されており、世界地図では、プロジェクションマッピングで神戸の辺りから水紋のように世界に輪が広がっていく様子が見られます。これはヤンマーのグローバル部品供給拠点である「ヤンマー神戸流通センター」から、世界中のディーラーに部品を供給している様子をビジュアルで表現したものです。
ここから先は実際に触れたり、体験したりすることができる「Synergy Experience」のコーナーです。
こちらは純正部品を紹介するコーナー。純正のオイルなどの展示を行っているほか、イミテーションパーツ、つまり「偽物」「互換品」と呼ばれるものと純正部品とのクオリティの違いを比較するという、興味をそそられる展示もありました。
このほかにも、スマートアシストを活用したメンテナンス時期のお知らせアプリや、製品に搭載しているGPSを使った見守りシステムの紹介、MR※ゴーグルを活用した部品交換作業の体験など、カスタマーサポートに関する先進的な取り組みを紹介しています。
※複合現実
ヤンマーのオリジナルグッズを販売するコーナーもあります。
そんな一角に置かれていたのは、「近畿ニューオフィス賞」で入賞した時の表彰状。この建物全体が、地域の特色を生かした新世代のオフィスとして表彰されました。
グッズコーナーのすぐ横が、電車から見えたあの壁画。「SYNERGY SQUARE」の文字をよく見ると、実はネジ、歯車、シャフト、チェーン、レンチなどのエンジン構成部品や工具のイラストで構成されています。
「この文字の中に3匹だけトンボがいるんですよ」と教えられて探してみると…ありました!!このトンボは、ヤンマーの社名の由来である「オニヤンマ」をモチーフにしています。
【2階】24時間365日お客様の機械を見守るリモートサポートセンター
2階へ向かうとリモートサポートセンターがあります。リモートサポートセンターでは、24時間365日、遠隔で農業機械や発電機などのお客さまの機械の稼働状況を集中監視しており、「お客様の手を止めないサービス」の実現に取り組んでいます。
正面モニターに地図が表示され、そこには稼働中のヤンマー製品が光って示されています。異常を検知するとアラート発信や、サービススタッフの派遣手配を行っています。「お客様の手を止めない」というポリシーのもと、24時間365日体制で見守りサポートをしており、ヤンマーの自社製品に対する責任感の強さを感じます。
2階に上がってすぐの場所にあるこのモニターでは、YSQ館内のエネルギー使用状況を常時表示しています。YSQでは太陽光発電や、自社製品のハイブリッドガスヒートポンプエアコンを活用しながらエネルギーを効率よく最適に運用しています。
【3階】自分に合った様々なスタイルで仕事ができる、社員が働きやすい環境を実現した執務フロア
続いては、3階にあるヤンマーグローバルCS本社の執務フロアをご紹介します。
執務室に入ると目に飛び込んでくるのは広いワンフロアに広がっているオフィス風景。入ってすぐの場所には自由に利用できるフリースペースがあり、螺旋状の階段が目を引きます。
この執務フロアは、YSQ設立に向けて立ち上がったプロジェクトメンバーが、社員全員が働きやすいオフィスを目指して、YSQに入居予定だった社員にアンケートを実施。従来のオフィスへの不満点を洗い出したうえで、ブラッシュアップを重ね、社員目線のオフィスをつくりあげました。
入口を入ってすぐ左手側のカフェカウンターは、社員が仕事中のひと休みに使うスペース。ドリンクの自動販売機もあり、リラックスできそうです。
主な執務スペースは入口を入って右手側。固定席とフリーアドレス席がミックスされていて、全て合わせると約150席あります。
基本的に個人の荷物を席には置かず、入り口脇にあるロッカーがひとりひとりに割り当てられています。出社したらロッカーに荷物を入れて、必要なものだけ持って席に着き、退社時にはデスク上をクリアにして帰るのが基本ルールです。
…と、よく見てみると、このフロアにあるのはすべて引き出しの無い「テーブル」。物を置かない、敢えて置けないようにすることで、無駄な場所と時間を排し、スムーズな業務遂行を実現しています。
入口を入って目の前にあったこのスペースはコミュニケーションエリア。ちょっとした打ち合わせはここで済ませてしまったり、部署を超えたコミュニケーションの場としたり、フリーアドレス席のひとつとして使ったり、いろんな形でフランクに使われています。
テーブルをよく見ると何やらいろんなアイコンが。これは社員で話し合って決めたこのスペースのルールで、フロア内のすべてのテーブルに貼られています。こういう細かな自主ルールと高いモラルで、フロア全体の秩序が保たれています。
フロアの左手側にあるのは、数人レベルの簡単な打ち合わせでよく使われるモニター付きのテーブル。その奥には半個室がいくつかあり、こちらにもモニターが備わっています。
さらに奥にはより集中力を高める小さな個室。こちらは予約をして利用します。
差し迫った仕事の場合はさらに集中できる防音の部屋「集中ブース」が用意されています。ここに居れば「集中したい」という意図が明確なので、一段と業務に身を入れることができます。
一段と目を引くこの赤い螺旋階段は、4階へと続いている社員専用の階段。ヤンマー本社にも同じデザインの階段があり、ヤンマーらしさの象徴の一つです。
→「エネルギーと食の未来を映すオフィスビル ヤンマー本社を徹底レポート」(https://www.yanmar.com/jp/about/ymedia/article/flying_building_2017.html)
【4階】人と人をつなぐ「リンク」をコンセプトにした会議室や食堂を設置
そんな階段を上がってすぐのところは会議室エリア。
4階には会議室が大小合わせて7室あります。
会議室の中も凝ったデザインが施されていて、壁のモチーフも部屋ごとに異なっています。お客様への話題提供にもなりそうですね。
続いては会議室の並びにある社員食堂「シナジーカフェ」を訪問しました。こちらは1階、2階を訪問したゲストも社員同伴でご利用いただけます。
シナジーカフェの営業時間は朝の8時半から。まずはここでコーヒーを買って執務フロアへ、という社員も多いそうです。メニューは週替わりメニューと定番メニューのミックスで、日替わりも毎日登場します。
基本的にカフェテリア形式で、置いてあるものを自由に取っていけばOK。食器返却口で自動精算される仕組みです。
リーズナブルな価格とともに、栄養バランスの良さが魅力です。窓際の席が多いので、さわやかなランチタイムを過ごすことができます。
気候の良い時期にはテラス席を利用することもできます。
座席や照明周りにもいろいろなデザインが施されています。
ランチタイム以外はフリーアドレス席として使う社員も多く、コンセントや無線LAN環境も整っています。
シナジーカフェではちょっとしたおやつなども販売しています。
シナジーカフェでひときわ目を引く一角がこちら。よく見ると中央には「YANMAR11」と書かれており、その周りを11のワードが飾っています。これはもちろんヤンマーの行動指針である「ヤンマーイレブン」のこと。全社員が常に心がけている11の言葉を、英語で表現しています。
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ここまでの前編では2020年8月に誕生したヤンマーの新社屋「YANMAR SYNERGY SQUARE」(YSQ)を詳しく紹介しました。後編では、YSQに隣接したヤンマーグループ社員の福利厚生施設「ヤンマーフィールドアマガサキ」を紹介します。
<後編に続く>