生産部の役割は、開発部が示した製品モデルを実際に形にすることです。具体的には図面をもとに試作~量産の検討や部品の組立や加工に使用する工具の設計・製造を行います。また必要な資材の調達も我々が担っています。ViO20-6は、お客様により高品質な製品をお届けするために従来とは違った新しいプロセスで生産に取り組みました。
2019.01.17
試作時のプロセス改善により、より短期間で安定した品質の生産が可能に
「プロフェッショナル集団として、生・販・開の知恵と思いを結集する」というビジョンのもと、生(生産部門)・開(開発部門)が協同で実現した中心機種ViO20の新型機ができるまでの秘話を公開。
ViO20はヤンマー建機 本社工場の年間生産台数の中で大きな割合を占める中心機種です。新型への生産切替えで問題が発生すると工場全体の生産が影響を受けてしまうほど重要な製品として位置づけられています。そこで新型機ViO20-6は、企画・開発・生産各部門の連携を強化し、各部署が情報共有や意見交換をしながら協働で企画・開発と試作が進められてきました。
この特集記事では、新型機へ量産移行するために、早期共有・合意のプロセス改革がどのように展開されたのかを2部構成のインタビュー形式でご紹介します。
【01】生産部の役割
―― まずは、新製品開発にあたっての生産部の役割について教えてください。
【02】プロセス改革とは
―― ViO20-6について、従来の新製品と異なるプロセスとはどのようなことでしょうか?
私は生産部の中で部品の調達を行う役割を担っています。今回のViO20-6をつくるために、開発部から設計図面ができる前に構想や仕様を共有してもらっていました。
製品開発では量産の前に試作というプロセスがあり、従来では試作に用いる部品は、あくまでも試作専門の会社に発注することが多々ありました。ViO20-6は、試作の段階から量産を見据えて部品メーカーを選定し、試作部品の手配を行っています。
【03】3つのプロセスを部門協働で行う
―― 試作段階から量産を見据えた検討を行うことでどんなメリットがありましたか?
新製品の生産には「企画構想」「試作」「量産」3つのプロセスがありますが、今回は「試作」段階で非常に精度の高い検討を行いました。開発部からは、仕様の検討段階で必要な図面を共有し、それを生産現場のチームで確認して要望や改善提案を行う形で進めました。従来とは違い早い段階で不具合のリスクを解決でき、量産をスムーズに行うための工法についても議論を行いました。
結果としまして量産段階での変更が少なく、短期間での量産移行を達成することができました。
【04】部品の調達も工夫
―― 材料部品の調達先も変わっているのですか?
先ほども触れましたが、Vio20-6で試作に必要な部品は、これまで試作のみをお願いしていたメーカーではなく量産メーカーに当初から依頼しています。
今、建機業界では生産量の増加による部品の供給不足が起きているため、現行製品の部品の確保と並行して試作部品を確保することは大変でした。それでもヤンマーグループと部品メーカーから協力を得られ、細かな変更にも迅速に対応しながら試作を推し進められました。
【05】一丸となって課題を解決する
―― 開発側の要望を受ける側として苦労はなかったのでしょうか。また、課題はどのように解決していきましたか?
開発側は重量やサイズはそのままに最新の機能を実現しようと構造や材料を必死になって見直しているわけですから、我々もそれに応えなければいけません。
具体例には強度を保ちながら軽量化のために、溶接工程でのひずみがViO20-6の課題としてでてきました。開発部に確認することがあればすぐに集まって共有し、それぞれが意見やアイデアを持ち寄ってできる限り設計した仕様を実現するために工法のてこ入れをしてきました。こうした連携は、同一拠点内で製造と開発を行っているヤンマー建機のものづくりならではの強みです。
【06】お客様にもっと品質の高い製品をお届けしたい
―― ViO20-6の立ち上げを通しての生産部の収穫と、今後に向けたメッセージをお願いします。
もちろんすべてがうまくいったわけではありませんが、生産に携わる立場として今回のプロセス改革で一番大切にしているのは、長きにわたって不具合なく活躍する建機を製造することです。
これからも生産・販売・開発が協力してヤンマー建機らしい製品をできるだけ多くのお客様のもとへお届けしたいですね。
>> 後編へ「生産現場の意見を試作時から開発へ取り入れることで、さらなる品質向上を実現」
※取材者の所属会社・部門・肩書等は取材当時のものです。