洋馬農機(中国)有限公司
ヤンマーテクニカルレビュー
洋馬農機(中国)有限公司の紹介
1.はじめに
洋馬農機(中国)有限公司(YNC)は、江蘇ヤンマーを前身として、1998年に江蘇省無錫市にて創立し、2018年に創業20周年を迎えます。2005年生産開始の自脱型コンバインAG600、2013年の普通型コンバインAW82・AW70をはじめ、乗用田植機、歩行田植機、トラクターを生産しています。特にコンバインと田植機については中国をはじめ東南アジア諸国、インドへもYNCで生産された製品が展開されており、アジア諸国のマザー工場としての役割を担っています。
また、YNCの強みとしては生産、販売、開発、資材、品質保証のすべてのセクションが一つのサイトに集約している事が挙げられます。これはヤンマーグループの中でも特筆すべき特徴であり、『世界で勝てるスピードで動け』を体現できる構成となっています。2008年に日本の研究所併設の試験棟をモチーフとした施設が完成し、2016年には第3期工場、新事務所棟が新設され、アグリ事業部有数の生産能力を備えた工場となりました。
≪会社概況≫※2017/11月現在
- 生産品目:普通型コンバイン(AWシリーズ,YHシリーズ)、自脱型コンバイン(AG600)、乗用型田植機(YRシリーズ)、歩行型田植機(APシリーズ)、トラクター(YT704)
- 販売、サービス品目:上記生産品目、乾燥機、水田管理機
- 輸出商品:普通型コンバイン、乗用型田植機、歩行型田植機
- 輸出先:インドネシア、ベトナム、タイ、フィリピン、ミャンマー、カンボジア、インド、韓国他
- 所在地:江苏省 无锡市 新吴区 黄山路8号
- 敷地面積:95500m2
- 従業員数:910人(2017年11月1日現在)
取扱機種と販売開始年
2.中国市場概況
近年の中国市場においては農業機械化率が上昇し、小麦・大豆・水稲など伝統食糧作物の生産の機械率にその傾向が顕著に見られます。特に小麦の機械化状況が最も推進されており、その機械化率は播種82%、収穫92%となっており、水稲の機械化率について、移植は45%、収穫は80%を越えています。現在農業産業構成の調整が頻繁に行われており、伝統作物栽培面積が減り、経済作物と野菜・果物などの栽培が拡大されてきています。今後経済作物に関する機械が大幅に増える可能性があります。なお、国が土地の集約と圃場建設を推進しており、各地に合作社が多く作られ、農作業の高機能な機械化がさらに進み、大馬力・高能率の機械の需要が増えています。
3.YNC技術部の取り組み
現在私の所属するYNC技術部は中国の農業に合致した様々な商品の開発および海外のニーズを反映させた仕様の設定を行っており、主要業務は以下のようになります。
1)日本と連携した設計⇒試験評価の実施⇒商品化
2)中国向けのカスタマイズ商品に関する企画⇒開発設計⇒試験評価の遂行
3)中国鑑定に関する推進業務(申請、受検、認証)
4)原価低減活動の提案⇒試験評価⇒量産への織込み
5)技術問題に関する市場品質問題のトラブルシューティング
中国市場の農業機械製品の成熟に伴う要求性能・要求品質の上昇に対して、更なる向上を目指していく成長を期待される部門となっています。
≪圃場試験≫
≪室内試験≫
4.今後に向けて
中国市場の農業機械に対する要求は年々高度化しています。従来の主要作物であった稲以外の商品力拡大、さらにはエンジン環境規制GB4(Tier4相当)の開始も数年の内に予想されています。今後も中国のみならずヤンマーグループに貢献し、世界中のお客様に対してSolutionを提供する主要拠点となるべく、更なる向上を目指していきます。