Product Development ⅡDepartment
YANMAR S.P. CO., LTD.
ヤンマーテクニカルレビュー
YSPの取組み
1.はじめに
Yanmar S.P. Co. Ltd (以降、YSP)は、旧ヤンマーディーゼル(株)の下での東南アジアにおける横水エンジン生産拠点として、現地資本(S.P International社)との合弁により現在の所在地にて1978年7月に創業し、来年40周年を迎えます。横水エンジン生産会社として長らく活動をしておりましたが、2011年、アグリ事業系のタイ現地法人YAMT社との統合を実施し新生YSPとして再スタートしました。同時にトラクタ生産専用の第2工場を隣接地に増設し、トラクタの生産を開始しました。その後、2014年には建機部を立上げ、5tクラスバックホーのタイ国内販売を開始し、エンジン、農機、建機と多角経営を行なっております。(Fig 1)
また、昨今のアグリ事業の東南アジア展開に合わせ、タイとその周辺国向け(カンボジア、ラオス、ミャンマー)の耕耘機ST-A1の生産、販売を2014年より開始し、2015年からはYNC製乗用田植え機、普通型コンバインのタイ国内販売を始め、水田用機械のラインアップ充実を行ないました。
2017年からは、ヤンマーブランドさとうきび収穫機の生産、販売を全世界に先駆けてスタート、また同年よりインドITL製トラクタをSolisブランドにて販売を開始しました。
2015年より東南アジア諸国向けトラクタの供給拠点として、アグリ事業アジア展開における重要度が増してきています。
<会社概要>
- 生産品目
- 第1工場:横水エンジン、耕耘機、ロータリ
第2工場:トラクタ(EF393T,EF514T,EF725T) - 輸入商品
- コンバイン、田植え機、ITL製Solisトラクタ(26,95,110PS)、バックホー、産業用エンジン
- 所在地
- バンコク東部にあるラッカバン工業団地に有り、タイ王国の玄関口であるスワンナプーム国際空港から北東へ約17km、バンコク中心部から約30kmのところにある。
- 敷地面積
- 82,000m2,(第1工場:10,080m2,第2工場:12,800m2)
- 従業員数
- 約650名
Small Engine
Power Tiller
Tractor
Implement
Rice Transplanter
Combine Harvester
Sugarcane Harvester
Construction
Industrial Engine
Fig 1. YSP Products
2.タイ市場概要
タイ王国は大きく4つのエリアに大別されます。(Fig 2)やはり米が基幹作物でありますが地域の圃場条件や気候特性に応じて、キャッサバ、さとうきび、とうもろこし等の畑作が奨励され、昨今それらの作付面積が拡大してきています。(Table 1)
また工業化の進展による農業従事者の減少と所得の向上により、販売主体も耕耘機からトラクタへシフトし、近年ではトラクタが主流となっています。(Table 2)
Table 1. Cultivation calendar of major crop in Thailand
Table 2. Index of Thailand
3.YSP R&Dの取組み
YSP R&Dは、YSPの中期経営計画に基づき、新商品開発並びに量産管理を行なうとともに、日本側開発支援業務としてタイ国内の関連法令・規定・規格の調査を行ないます。また、タイ国内の大学、国家機関との関係強化をすすめ、新市場の開拓も進めています。
商品開発部と試験部に大別されますが、R&Dとしての主な業務は、以下の通りです。
(1)YSP生産品目の品質確証、評価と量産管理。(YJ開発部からの業務委託)
(2)タイ国内メーカ製インプルメントの技術評価
(3)輸入商品の現地適応性確認試験と評価
(4)技術ドキュメント類のタイ語文へのチェック、アドバイス
(5)開発業務に必要となるタイ国内関連法令・規定・規格の調査
4.おわりに
タイ王国では”THAILAND 4.0”への取組みが進められており、タイが得意とする第1次産業産品の高価値化により所得向上に取組んでいます。これは機械化だけではなく、情報化を進めることで、付加価値を向上させることを目指しております。YSPとしても、畑作用機械のラインナップ拡大、タイ及び周辺国のお客様の所得向上に貢献できるよう、取り組んでいきます。