ヤンマーテクニカルレビュー

ヤンマーテクニカルシンポジウム2016 (“わいてっく2016”)

2017年1月27日

Abstract

Yanmar Holdings held its 3rd Yanmar Technical Symposium 2016 (Ytec 2016) to recognize the achievements of its excellent engineers during 2015, to share R&D strategy, to facilitate networking, and to expose participants to new ways of thinking.

1.ヤンマーの技術者を集めたテクニカル・シンポジウム

開会の挨拶をされる苅田ヤンマーホールディングス代表取締役
開会の挨拶をされる苅田ヤンマーホールディングス代表取締役

10月20~21日の2日間に渡り、Yanmar Technical symposium 2016(通称:「わいてっく」)を福岡市内で開催いたしました。

このシンポジウムは2014年より始まり、今年で3回目になります。開催の目的は、オールヤンマーグループの技術者が、グループの壁を越えた技術交流・意見交換を行うことにより“知の結集”を図ることにあります。

今回のシンポジウムは、海外のYRE・YKRC・YNC・YSP・YAMINDO・YA・YCEEの7研究・開発部門からの8名の技術者や、国内の各事業部・事業会社から選抜された技術者58名を含む総勢101人が一堂に会して開催されました。A SUSTAINABLE FUTUREや技術戦略の方向性に関する説明、2015年度特に優秀であった発明、技術論文、社内規格等の紹介やビジネスモデルに関する講演、2020年を想定した新規事業創出に関するワークショップなどを行いました。

2.新ブランドステートメント「A SUSTAINABLE FUTURE」の説明

Ytecロゴ
Ytecロゴ

ヤンマーホールディングス(株)(以下YHD)苅田代表取締役からの開会のことばに続き、YHD技術戦略部からは今年新たに作成した“Ytecロゴ”の紹介と、新しいブランドステートメントである「A SUSTAINABLE FUTURE」の説明および、その実現に向けた各事業部のビジョンの説明が行われました。

3.ビジネスモデルイノベーションに関する講演およびワークショップ

廣瀨取締役による講演
廣瀨取締役による講演

初日には、Business Model Innovation ~価値作り、ビジネスモデル革新の課題と策定~と題してYHD廣瀨取締役による講演が行われ、優れた技術や優れたビジネスモデルなどを組み合わせることで、事業全体の仕組みを革新していくことの重要性について説明されました。講演に続いて、ファシリテータに(株)ブルームコンセプト小山龍介さんをお招きして『Business Model Innovation』ワークショップを開催しました。4名1チームの16チームに分かれて、アイデア発想法の講義の後、当社の未来のビジネスについて、未来イメージからのアイデア発想、ビジネスコンセプト作り、ビジネスモデルの構築までを行いました。

(株)ブルームコンセプト小山龍介氏
(株)ブルームコンセプト小山龍介氏

各チームで考えたビジネスアイデアは、シンポジウムに参加した部門長および役員による書類審査を通過した5テーマでビジネスプレゼンを実施。熱いプレゼンと活発な質疑応答の後、部門長および役員による仮想通貨を使った投資を行い、優勝チームを決定しました。短時間で行う密度の濃いワークショップで、従来の考え方とは違う手法に参加者が戸惑うこともありましたが、活気あるワークショップとなりました。

ワークショップの様子
ワークショップの様子
優勝チームのメンバー
優勝チームのメンバー

4.ヤンマーホールディングス技術統括に関する説明

また、2日目にはYHD技術戦略部、オープンイノベーションセンター、市場起因事業開発センターの技術3部門から、各部門の紹介と技術戦略に関する活動内容の説明がありました。技術戦略の方向性について、出席者から質問や意見も頂き、活発な意見交換の場となりました。

YHD技術戦略部 由利ディビジョナルマネージャー
YHD技術戦略部
由利ディビジョナルマネージャー
YHD技術戦略部 中野 主幹研究員
YHD技術戦略部
中野 主幹研究員
ワークショップの様子
オープンイノベーションセンター
鶴ディビジョナルマネージャー
市場起因事業開発センター 塩崎ディビジョナルマネージャー
市場起因事業開発センター
塩崎ディビジョナルマネージャー

5.優秀技術:“ぐってっく”の紹介

今回のシンポジウムでは2015年度特に優秀であった“発明”、“技術論文”、”規格”、“ポスター”、“テクニカルレビュー”の合計5部門において選抜された優れた技術、合計25件が“ぐってっく”(Good Technologyの意)として紹介されました。今回それぞれの部門において「ぐってっく」に選ばれたみなさんには記念品が贈呈されるとともに、それぞれの研究内容についてコメントをいただきました。また、ポスター部門については会場後方に掲示されたポスター前で空き時間を利用したフリーディスカッションが行われ、事業部間の枠を超えて活発な意見交換が行われました。

発明部門
発明部門
規格部門
規格部門
ポスター部門
ポスター部門
技術論文部門
技術論文部門
テクニカルレビュー部門
テクニカルレビュー部門
海外エンジニア・研究者紹介
海外エンジニア・研究者紹介

6.「技術創造賞」受賞者による技術論文内容の発表

前年度に社外発表を行った技術論文の中から、中央研究所によって選出される「技術創造賞」を受賞した3名の方によるプレゼンテーションが行われました。

「逆音響解析を用いた音源モデルの構築と騒音伝達経路解析」
(投稿学会:農業食料工学会)、小形エンジン統括部開発部・明井政博さん
概要:逆音響解析により構築した音源モデルを用いた騒音伝達経路解析手法の提案と、その有効性について
「Development of Low Fuel Consumption Technology for Medium Speed Diesel Engines」
(投稿学会:CIMAC)、特機エンジン統括部開発部・福井義典さん
概要:二段過給システムや電子制御FIE等、各環境規制対応技術のメリットを最大限に活かした超低燃費化について
「完全陰的応力更新による拡張下負荷面モデルに基づく弾塑性解析」
(投稿学会:日本機械学会)、中央研究所基盤技術研究部・安食拓哉さん
概要:大規模・高速FEMソフトに対して実現象に近い金属の変形挙動を再現できるカスタマイズ手法を提案・導入することによる構造解析について

7.技術系新入社員研修「プロジェクトX」の紹介

「プロジェクトX」最優秀賞のみなさん
「プロジェクトX」最優秀賞のみなさん

今年度の技術系新入社員向けの研修の一環として実施された「プロジェクトX」が紹介されました。「プロジェクトX」は、各開発部門選出の「成功した社内独自技術」をキーワードに、パテントを検索・精読し、発明者へのインタビューなどを通じて、成功プロセスを再現することで、今後の業務につなげることを目的とした活動です。今年はヤンマー農機製造(株)所属の5名が最優秀賞に選ばれ、Ytec2016への参加を獲得しました。

8.おわりに

YHD技術戦略部では、今後もYtecの開催を通して、新しい発想法や技術者の方々に必要な情報の提供、全社の技術戦略に関連の説明、技術者同士のディスカッションなどによるグループ全体の技術交流や人材交流の場を提供して参ります。

出席者全員で集合写真
出席者全員で集合写真

著者

ヤンマーホールディングス株式会社 技術戦略部

半田 哲士

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