女子プロゴルファー
藤田かれんの原動力

プレー中の様子

攻めの気持ちを忘れずに、
私らしいプレーを見てほしい。

藤田かれん
プロフィール)
2000年8月14日生まれ。滋賀県米原市出身。7歳からゴルフをはじめ、高校2年時には日本ジュニアに出場。2021年のプロテストに合格し、昨季はステップ・アップ・ツアーで初の最終日最終組をプレーし優勝を争った。250ヤード超のドライバーの飛距離と正確なアイアン、高いショット力が魅力の22歳。

レギュラーツアーの舞台に立つために。

ルーキーイヤーは、ステップ・アップ・ツアーを主戦場に戦い、3度のトップ10入り。2022年10月に開催された「宍戸ヒルズレディース森ビルカップ」では、優勝争いを演じた藤田かれん。初優勝とはならなかったものの、ポテンシャルの高さをみせ、今季の飛躍が期待されている。

インタビュー中の様子

― ルーキーイヤーは、どんな1年でしたか。

あっという間に終わってしまって、本当に悔しくて苦しい1年でした。シーズン前は「ゴルフを楽しむ」ことをテーマにしていましたが、成績が伴わず楽しむ余裕がありませんでした。アマチュアの試合とは違って、プロのフィールドでは力不足を痛感。まだまだ足りないものがたくさんあることがわかりました。一方で、レギュラーツアーのマンデートーナメントに3度挑戦し2度予選を突破したこと、シーズン終盤に優勝争いができたことは、自信になっています。

― レベルアップするために課題としていることはなんですか。

メンタル的な部分とコースマネジメントです。4試合ですがレギュラーツアーに出場したことでショットは通用する部分があると自信が持てました。一方で、上手くいかなかった時やミスが続いた時に気持ちを切り替えることや、ピンポジションによってティショットからどうやって攻めるのか、いまよりも緻密なコースマネジメント力が必要だと思いました。

― 1シーズン戦ってみて、プロツアーにはどんな印象を持ちましたか。

シーズンを通してプレーするのは、想像以上に大変だというのが分かりました。昨季は、シーズンが始まって夏を迎える前に体重が7キロ減ってしまって、ショットが不調に。私の強みであるドライバーの飛距離が落ちたり、3試合連続で予選落ちしたり、調子を維持することの難しさを知りました。気持ち的にも余裕がなくなっていましたが、「どうにかしなきゃ」って、一番練習を行った時期でもあります。トレーナーと相談しながら徐々に体を戻し、練習の成果もあってショットが復調。終盤の成績につながりました。

すぐに次の目標を持てたのが大きかった。

ツアー中の様子

高校卒業後の2019年に初めてプロテストを受検。琵琶湖カントリー倶楽部の研修生として挑戦を続け、3度目となった2021年に合格をつかみとった。1次、2次、最終と徐々に人数が絞られていくプロテスト。2度目の挑戦では、最終まで進みながら3打足りずに涙をのんでいる。

― プロテスト挑戦中は、どんな時間でしたか。

合格までとても長く感じた3年でした。1度目の挑戦は同い年からも合格者が出て、「私はまだスタートラインに立てていない」と焦る気持ちがありました。ただし今考えると当時の実力では合格するレベルには達していなかったと思っています。2度目の挑戦となった2021年は、最終まで進んだものの、3日目にスコアを崩して3打足りずに不合格。涙をこらえるのが辛かったですね。

― すぐに気持ちは切り替えられましたか。

最初は落ち込みましたが、よく練習を共にする友達が合格したこともあって、「夢は叶うんだ」と思えました。コロナ禍でテストが延期されたことで、3ヶ月後にまた3度目のテストがあったことで気持ちを切らさず、練習を続けられたのも大きかったと思います。

3度目のプロテストでは、最終プロテストの最終日に前半でスコアを落としたものの、後半巻き返し5位で合格。「3度目の正直を心掛けてきたので、有言実行ができてうれしい」と笑顔を見せた。

ギャラリーからの声援は心に響く。
そんな瞬間にまた出会いたい。
それが私の原動力。

ショット中の後ろ姿

若手の台頭が著しい女子ツアー。ランキング上位50人のシード枠は、毎年10人近くが入れ替わる激戦だ。さらなる高みを目指して、皆が努力を重ねている。
最後に、彼女を突き動かす原動力と、将来像を聞いた。

― 今季の目標をお聞かせください。

ステップ・アップ・ツアー初優勝、また出場したすべての試合で予選を突破することを目標にしています。今季はステップ・アップ・ツアーを中心に、スケジュールが調整できればレギュラーツアーのマンデートーナメントにも挑戦したいと思っています。課題はメンタル面。「0」か「1」か、完璧主義なところがあって、ミスを引きずり切り替えられないことがあるんです。長いシーズンを戦っていれば、調子が上がらない時もくるでしょう。そんな時にしっかりと前を向いて、チャレンジし続けられるようにしたいです。

― 「こういう選手になりたい」という将来像はありますか。

プロになる前から、たくさんの方に愛さる選手になりたいと思っていました。プレー面だけじゃなく、人としても応援したいと思われるのが理想です。憧れの存在でもある、宮里藍さんがお手本です。

― 挑戦し続けるために、原動力となっているものは何ですか?

プロとなった今は、ギャラリーからの声援が原動力になっています。
昨季の中盤の試合では、果敢に2オンを狙いグリーンサイドの池に入れたことがありました。グリーンを狙う際に木が邪魔でレイアップするか迷いましたが、シーズン序盤に守り過ぎたことで思うような成績が残せていないと感じていたので、私らしくアグレッシブに攻めたんです。結果は池につかまりましたが、アプローチが寄りパットも入ってパーセーブ。2オンには失敗しましたが、「今できることはすべて出し切れた」と清々しい気持ちになれました。
その時、ギャラリースタンドからは、大きな歓声が上がったんです。ギャラリーからの声援は本当に嬉しく、心に響きました。そんな瞬間にまた出会いたい。それが今の私の原動力になっています。

笑顔で語る藤田選手

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