日常の点検
日常の点検
エンジンのトラブルを未然に防止するためには、出航前、帰港後の点検が大切です。
船長の心得として乗員の生命と安全を守るために励行ください。
なお、点検の一般的な事項を記載していますので詳しくは、取扱説明書で確認ください。
エンジンまわりの目視点検
次の項目を点検して異常があれば速やかに修理ください。
- 燃料系統からの燃料もれ
- 潤滑油系統からの油もれ
- 冷却水系統からの水もれ
- ホース類やVベルトのひび割れ
- 燃料や冷却水ホースのクランプ類のゆるみ
- ボルト類の欠落やゆるみ
燃料油の油量点検
燃料タンク内の油量を点検し、運航に十分な量を補給ください。
指定外の燃料を使用するとエンジン性能が悪化したり、カーボンが 堆積して部品故障のおそれがあります。
潤滑油の油量点検
エンジン潤滑油量の点検と給油の要領
- 検油棒(1)でいっぱいに押し込んだ状態での油面の高さを調べます。
- 油面の高さは、検油棒の上限目盛りと下限目盛りの間が基準です。
- 油量が不足している場合は、指定の潤滑油を給油口(2)より補給します。
- 検油棒で油面の高さを調べながら、上限目盛りまで補給します。
- 検油棒を確実に押し込みます。
クラッチ潤滑油量の点検と給油の要領
- 検油棒(1)でいっぱいに締め込んだ状態での油面の高さを調べます。
- 油面の高さは、検油棒の上限目盛りと下限目盛りの間が基準です。
- 油量が不足している場合は、指定の潤滑油を給油口(2)より補給します。
- 検油棒で油面の高さを調べながら、上限目盛りまで補給します。
- 検油棒を確実に締め込みます。
海水出口の点検
エンジンの始動後、海水が船外へ排出されているか確認します。
海水が排出されていないまたは、吐出量が少ない場合は、直ちにエンジンを停止し、海水経路の詰まり、水漏れ、海水ポンプの作動状態などを確認し、原因をつきとめて処置ください。
冷却水の水量点検
冷却水の日常点検は、サブタンクで行います。
サブタンク内の冷却水の水量がサブタンクの下限目盛りに近い場合は、サブタンクのキャップを開けてきれいな軟水を上限目盛りまで補給します。
- ※運転中にサブタンクの水位が上昇するのは異常ではなく、エンジンが冷えれば冷却水タンクに戻ります。
サブタンク内の水量が下限目盛りより少ない場合、エンジンの冷却水タンクの給水口(1)(フィラーキャップ)を開けて水量を点検し、水量が少ないときは、きれいな軟水を補給します。
エンジンが熱い間は、給水口を開けないでください。また、点検後は給水口を 確実に締めてください。
蒸気や熱湯が噴き出してやけどをするおそれがあります。
警報ランプ・計器類の作動点検
エンジンの始動時、警報装置や計器類が正常に作動しているか確認ください。
エンジンのスタータスイッチのキーを回すと警報装置は下表のように作動します。
Bタイプ計器盤(ランプ表示部 縦)
キーの操作 | OFF→ON | START→ON | |
---|---|---|---|
エンジンの状態 | 始動前 | 運転中 | |
警報ブザー | 作動 | 停止 | |
警報ランプ | チャージ | 点灯 | 消灯 |
清水温度 | 消灯 | 消灯 | |
エンジン潤滑油圧力 | 点灯 | 消灯 | |
燃料フィルタ | 消灯 | 消灯 | |
燃料切れ | 消灯 | 消灯 |
- ※点灯は、エンジンが始動するまで点灯しています。
- ※燃料切れ警報ランプは、オプションです。
Cタイプ計器盤(ランプ表示部 横2段)
キーの操作 | OFF→ON | START→ON | |
---|---|---|---|
エンジンの状態 | 始動前 | 運転中 | |
警報ブザー | 作動 | 停止 | |
警報ランプ | チャージ | 一時点灯 | 消灯 |
冷却水温度 | 一時点灯 | 消灯 | |
エンジン潤滑油圧力 | 一時点灯 | 消灯 | |
燃料フィルタ | 一時点灯 | 消灯 | |
燃料切れ | 一時点灯 | 消灯 |
- ※一時点灯の場合は、約3秒間点灯します。
- ※燃料切れ警報ランプは、オプションです。
運転中にエンジンのセンサーが異常を検出すると警報ランプの点灯とブザーで警報が発せられます。
なお、Bタイプ計器盤とCタイプ計器盤では警報ランプ表示窓に下図の絵が表示されます。
計器盤(NewBタイプ /NewCタイプ)
-
- チャージランプ
- バッテリー充電不足警報
-
- 燃料フィルタ
- 警報ランプ
-
- 清水温度
- 警報ランプ
-
- 燃料切れ
- 警報ランプ
-
- エンジン潤滑油圧力
- 警報ランプ
- ※燃料切れ警報ランプはオプションです。
リモコン装置の作動点検と調整
エンジンの回転速度の変更とクラッチの中立、前進、後進の切換えは、リモコンスタンドとリモコンケーブルとで行っています。ケーブルの伸びや固定部のゆるみによって相互の位相がずれて誤作動する危険がありますので、次の事項を点検し調整ください。
- リモコンケーブルの取付け金具のボルトやナットのゆるみ
- ケーブル接続部やスリーブの錆や腐食
- リモコン装置の作動具合
エンジンコントロールレバーの調整
- リモコンハンドルをH(高速)の位置においたとき、エンジン側のコントロールレバー(1)が、高速側の制限ボルト(2)に当たっているかを確認します。
- リモコンハンドルをL(低速)の位置においたとき、エンジン側のコントロールレバー(1)が、低速側の制限ボルト(3)に当たっているかを確認します。
- 点検確認でコントロールレバーが、高速側の制限ボルト(2)または、低速側の制限ボルト(3)に当たっていない場合には、両方が当たるようにリモコンケーブル(4)の取付金具のねじをゆるめ、固定位置をずらして調整します。
はじめに高速側の制限ボルトの位置をあわせてから低速側のアイドリング回転を調整します。
クラッチシフトレバーの調整
- リモコンハンドルをN(中立)、AHEAD(前進)、ASTERN(後進)の位置においたとき、クラッチのシフトレバーがそれぞれ正しい位置にあるかを確認します。
- 位置がずれている場合には、リモコンケーブルの取付金具のねじをゆるめ、ワイヤの固定位置をずらしてレバーの位置を調整します。