安全のための操船知識

一般的な注意

1. 積荷、漁具、同乗者などをできるだけ下の方に搭載して重心を下げておきましょう。

2. 同乗者が、波のしぶきを避けるなどの理由で一方の側に片寄ることは大変危険ですから気をつけましょう。

よくない積荷の載せ方と正しい載せ方の図

3. 積荷、漁具などを左右に片寄って積付けないようにしましょう。また積荷、漁具などはくずれないようにバランスよくロープなどでしばりつけておきましょう。

4. 船内に水が入らないようにハッチの出入口、窓はしっかり閉めておきましょう。

5. 波長の割に波高の大きい異常な波が発生しやすい海域(河ロ、さんご礁や暗礁の近くなど)は、できるだけ避けて航行するようにしましょう。

6. 横波や斜め追い波などを受けるようなコースは、避けましょう。

7. 航行中、キャビンドアは閉めてください。ドアに手をはさまれ、危険です。

8. 船から離れる場合は、必ずメインスイッチを切り、エンジンキーを抜いて持ち帰ってください。子供などがエンジンを始動させると思わぬ事故が起きるおそれがあります。

9. 計器盤の警報ランプおよびブザーに関してはエンジンの取扱説明書をご確認ください。ご不明な点は、お近くのヤンマー販売店にご相談ください。

10. 前進(または後進)⇔中立の操作は必ずリモコンハンドルで行ってください。

11. 高速航走中でのクラッシュアスターン(前進全速から後進への急激なクラッチ操作)は危険です。また、アウトドライブの故障の原因にもなりますので、緊急時以外は絶対に行わないでください。

12. 高速航走時の急激なハンドルの操作は大変危険ですから絶対にしないでください。

離岸

  1. 船を岸より離し、発進時に舶尾を岸に接触することがないようにしましょう。
  2. 十分に岸より離れた所でエンジン回転が、アイドリングであることを確認してから、すみやかにクラッチを操作してください。

発進

ハンドル操作は岸から十分に離れてから行います。特に急ハンドル操作、急加速は行わないようにしてください。

加速

スロットルを徐々に開いていきます。エンジンの回転数が上がリスピードが増すに従って船首が上がってきます(ハンプ)が、さらにスピードが上がりますと船首は逆に下がります。この時点より水の抵抗が急激に減少すると同時にスピードは増加して滑走状態(プレーニング)に入ります。プレーニング状態になった所でスロットルを少し戻して航走してください。また、船尾に荷を積みすぎるとハンプ状態が長く続くことがあります。このような状態での航走は前方が見にくく、危険ですので、荷物はバランスよく積んでください。

旋回

船は水上を走るため大きくハンドルを切っても陸上の車のような訳にはいきません。また舵が後にあるため船尾は外側に押し出されます。旋回に入る手前でスロットルを戻して減速し、ハンドルを旋回する方向にまわして必要に応じて修正を加えつつ旋回に入ります。船首が進行方向を向いてから徐々にスロットルを開きます。安全な場所で、旋回の特性を十分理解しておきましょう。

後進

前進状態から急激に後進に入れることは非常に危険です。エンジン回転が完全に下ってからニュートラルに戻した後すみやかにシフトします。 また、後進はドライブ保護装置がありませんので海底の状態に注意して低速で進行します。ブレーキ代りや長時間の航行はやめましょう。

パンチング

荒天時に無理な高速航走をすると、船体が海面よりとび出し、強い衝撃がかかります。無理な高速航走は、危険ですのでやめてください。

ヒール

荷物を左右バランスよく積まなかったり、船の針路に対して横方向から風が吹いたとき、船体は横傾斜します。また、過度な横傾斜は、転覆の原因になりますので避けてください。

接岸

  1. 入港後はエンジンの回転速度を下げ、船速をおとしてください。
  2. 接岸時には、他船のアンカーロープや浮きロープに注意しながら慎重に操船してください。
  3. 接岸舷側にフェンダを出し、船体の保護をして接岸してください。

係留

浮きさん橋(ボンツーン)の場合

風上に向けてバウライン(船首係留ロープ)をとり、風下側にスターンライン(舶尾係留ロープ)をとります。

岸壁の場合

一般には、スターン(船尾)から投錨し、バウ(船首)から係留ロープをとります。波や風の強さによってアンカーロープの長さを決め、潮の干満を考えて係留ロープの長さを調整してください。

荒天時

波が高い時や、荒天が予想される時には出航をやめます。万一海上で荒天になった時はスピードをおとし、波に逆らうことなく、慎重に運転し、すみやかに避難してください。

向い波の時

  1. 波を船首のやや斜め前方より受けるようにし、2~3つ先の波までよく見えるようにします。
  2. 波長と船のスピードを合わせ、波頭をかぶらないようスピードをコントロールします。
  3. 船がジャンプした時はスロットルを素早く戻し、着水と同時にスロットルを開けます。

追い波の時

  1. 波の頂上から谷に向うときは船のスピードに波の力が加わり、スピードが出すぎて前の波に突込むのを警戒してください。頂上の手前でスロットルを戻しゆっくりと下がります。
  2. スピードが遅すぎると船尾から波をかぶりますので注意してください。特にエンジンに波がかぶらないよう注意してください。

曳航時

曳航は非常に危険が伴いますので次のことに注意してください。

  1. 船と船の距離は十分にとり、強いロープを使用してください。
  2. 発進時は大きな力がロープにかかりますので注意してゆっくりと発進してください。
  3. 曳航中は自船および引かれる船の状態に気を配り異常に注意してください。また、曳航ロープはいつでも放せるようにしておいてください。
  4. 停止する時には船の惰性により追突するおそれがありますので徐々にスピードをおとしてください。
  5. 係留金具は危険ですので曳航には使用しないでください。万-の事故などにより、やむをえず曳航に使用する場合は、数ケ所の係留金具を使用し、ロープの力が分散するように細心の注意を払ってください。
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