異常を感じたら

カテゴリ:自分でできる建機メンテナンス

うちのショベル、故障かな?と思ったら・・ 油圧ショベル・ミニショベルの故障や不具合について、判別がつかない症状も含め、故障時の対応についてまとめました。是非参考にしてください。

こんな異常現象のときは (参考例:SV08-1A)

  • 型式によって異なります。詳しくは取扱い説明書をご覧ください

油圧ショベル・ミニショベル(バックホー/ミニバックホー)の故障には様々な症状があります。下記の表を参考に対策をとってください。

● ()付の処置については、必ず最寄りのヤンマー販売会社へ連絡してください。
● 下記に示す以外に異常または原因不明な症状があるときは、最寄りのヤンマー販売会社に修理を依頼してください。

●エンジン関係

異常現象 考えられる主な原因 処置方法
エンジンオイル圧力
ランプの点灯
エンジンオイルの油量不足 エンジンオイルの給油
エンジンオイルの油量過剰 エンジンオイルレベルの点検
エンジンオイルフィルターの目詰まり エンジンオイルフィルターの交換
エンジンオイル圧力スイッチまたは配線の故障 (点検・修理)
エンジン冷却水温異常表示 冷却水不足 点検・冷却水補給
ラジエーターフィンの目詰まり、またはフィンの倒れ 掃除または修理
冷却水漏れ (点検・修理)
ファンベルトのゆるみ・切断 ファンベルト張りの調整・交換
冷却水系統中にごみや水あかの蓄積 冷却水の交換、冷却系統内部洗浄
冷却水ポンプの故障 (点検・修理)
バッテリー充電ランプの点灯 ファンベルトのゆるみ・切断 ファンベルト張りの調整・交換
バッテリーの不良 バッテリー液の液量点検・補充、バッテリーの再充電・交換
オルタネータの発電不良 ファンベルト張りの調整・交換
セルモーターが回っていてもエンジンが始動しない 燃料不足 燃料補給、エア抜き実施
燃料系統中にエアが混入 エア侵入箇所修理・エア抜き実施
燃料不良 指定燃料に交換
燃料フィルターの目詰まり
燃料噴射の異常 (点検・修理)
圧縮不良 (点検・修理)
セルモーターが回らない、または遅い バッテリーの充電量不足 バッテリー液の液量点検・補充、バッテリーの再充電・交換
配線系統の故障 (点検・修理)
スタータースイッチの故障 (点検・修理)
スローブローヒューズ切れ スローブローヒューズ交換
セルモーターの故障 (点検・修理)
黒煙をはく 作業が過負荷である 作業負荷を軽くする
エアクリーナーエレメントの目詰まり、またはごみなどの蓄積 掃除または交換
燃料不良 指定燃料に交換
燃料噴射バルブの噴射 パターン異常(点検・修理)
圧縮不良 (点検・修理)
EGR バルブの故障 (点検・修理)
排気色が白または青に近い 燃料不良
燃料噴射の異常
オイルパンの油量過剰 規定油量にする
エンジンオイルの燃焼、または異常消費 (点検・修理)

●電装品関係

異常現象 考えられる主な原因 処置方法
スタータースイッチをONにしても、LEDランプが点灯しない 配線系統の故障、またはランプ切れ (点検・修理)
エンジンをフル回転させてもライトが暗い 配線系統の故障 (点検・修理)
ジェネレーターの故障 (点検・修理)

●車体関係

異常現象 考えられる主な原因 処置方法
作動部の力不足、スピード不足 油圧ポンプの故障による機能低下 (油圧ポンプ交換)
コントロールバルブメインリリーフまたはセーフティーバルブの設定圧力低下 コントロールバルブ点検・調整
油圧シリンダーの内部部品の破損 (点検・修理)
作動油量不足 作動油のオイルレベルの点検・補充
フィルターの目詰まり (点検・清掃・交換)
旋回しない、またはスムーズに旋回できない 給脂の不足 点検・給脂
旋回ブレーキバルブの故障 (点検・修理)
旋回モーターの故障 (点検・修理)
旋回ブレーキが解除されていない (点検・修理)
作動油温度が上がり過ぎる 作動油量不足 作動油のオイルレベルの点検・補充
作業が過負荷である 作業負荷を軽くする
車両の直進性が悪い クローラー調整不良または異物のかみ込み 調整・点検
油圧モーターの故障 (点検・修理)
油圧ポンプの故障 (点検・修理)
コントロールバルブの故障 (点検・修理)
スプロケット・アイドラー・トラックローラーの破損 (点検・修理)

異常と思われる場合の処置 (参考例:SV08-1A)

  • 型式によって異なります。詳しくは取扱い説明書をご覧ください

●故障ではない現象

油圧ショベル・ミニショベル(バックホー/ミニバックホー)の次のような現象は、故障ではありませんので注意しましょう。

●バケットのふらつき

バケットでかき込みながらアームを伸ばした後、ただちにブームを上げると、バケットがふらつくことがありますが、故障ではありません。

●アームの息付現象

アームで掘削するとき、アームがほぼ垂直になった位置でアームが一瞬遅くなることがありますが、故障ではありません。
特にエンジン回転が低速時にこの現象が発生します。

●走行操作による上部旋回体のズレ

スピンターンやピボットターンなどの急激な走行操作をすると上部旋回体のズレが生じることがありますが、故障ではありません。

●走行モーターのヒートショック

寒冷時において、エンジン始動後に走行せずに、リリーフ操作などで作動油の油温を外気温より60℃以上に上げた後では、ピボットターンができないことがありますが、故障ではありません。

●車両のけん引方法

油圧ショベル・ミニショベル(バックホー/ミニバックホー)の車両が泥地にはまり、自力脱出が不可能になったとき、またそれぞれのけん引力を利用して重量物をけん引する場合は、図のようにスリングベルトを掛けてください。

<警告>
油圧ショベル・ミニショベル(バックホー/ミニバックホー)をけん引する時は正しい方法で行い、適正な工具を使用しましょう。
誤った方法でけん引を行うと重大な人身事故の原因になる場合があります。
<重要>

  • 使用するワイヤロープ、スプリングベルト、シャックルは十分な強度があるものか、また亀裂や切断などがないかを確認してください。
  • フックのみにワイヤロープを掛けた状態で、車両のけん引はしないでください。フックは輸送時の車両固定用です。

●バッテリーが放電したときは・・

バッテリーの点検・取り扱いは、エンジンの停止後にスタータースイッチキーを「OFF」の状態で行ってください。また扱う時は特に以下の項目に注意しましょう。

<警告>

  • バッテリーは可燃性の水素ガスを発生しますので、引火の危険があります。タバコなどの火気を近づけたり、スパークを起こすような行為は絶対にしないでください。
  • バッテリー液には希硫酸が含まれており、強酸性で危険です。衣類に付着すると損傷させたり、目や皮膚に付着すると重大な傷害になります。万一、バッテリー液が衣類や皮膚に付着したら、至急、多量の清水で洗い流してください。目に入ったときは、すぐに多量の清水で洗い流し、至急、医師の治療を受けてください。
  • バッテリーを取り扱うときは、必ず保護メガネを着用してください。
  • 取り外しは、マイナス端子側(通常はアース側)から行い、取り付けはプラス端子から行ってください。
    プラス端子と車両の間に工具などが触れると、スパークが発生して危険です。
  • 端子がゆるんでいると、接触不良によりスパークが発生し引火、爆発の危険があります。端子を取り付けるときは、確実に取り付けてください。

●ブースターケーブルの接続、取り外しの注意点

<警告>

  • ブースターケーブルを使用してエンジンを始動させる場合は、保護メガネを着用してください。
  • 他の車両を使用してエンジンを始動させる場合は、正常車両と異常車両が接触しないようにしてください。
  • ブースターケーブルの取り付けは、プラス端子から行い、取り外しはマイナス端子(アース側)から行ってください。
  • プラス端子と車両の間に工具が触れると、スパークを起こし危険ですので注意してください。
  • ブースターケーブルの接続を間違えないでください。プラス端子側にマイナス端子を絶対に接続しないでください。
  • 最後の接続は、上部旋回体フレームに接続しますが、このときスパークが発生しますので、バッテリーから可能な限り離れている場所に接続してください。

<重要>

  • ブースターケーブルやクリップの大きさは、バッテリーの大きさに適したものを使用してください。
  • 正常車両のバッテリーは、異常車両のバッテリーと同じ容量のものを使用してください。
  • ブースターケーブルとクリップに、損傷、亀裂、腐食がないか点検してください。
  • クリップは確実に接続してください。

●バッテリーを車両に搭載した状態で充電する場合の注意点

  • ジェネレーターに異常電圧が加わり破損するおそれがありますので、バッテリーケーブルを外して充電してください。
  • 充電中はすべての液栓を外し、発生するガスを逃がしてください。
  • バッテリーの液温が過熱(45 ℃を越える)した場合は、充電を一時中止してください。
  • 充電完了後は、すぐに充電を止めてください。充電完了後にさらに充電すると、バッテリーの過熱、バッテリー液量の減少、バッテリーの不具合などの原因となります。
  • バッテリーに接続するときに、プラスとマイナスを逆に接続しないでください。ジェネレーターなどの破損の原因となりますので注意してください。
  • バッテリーの液量点検、比重測定以外でバッテリーを取り扱うときは、バッテリーに接続しているケーブルを外してから実施してください。

●ブースターケーブルの接続

ブースターケーブルを使用してエンジンを始動させる場合は、つぎの手順で接続してください。

  1. 正常車両と異常車両のスタータースイッチをOFFにします。
  2. 異常車両のプラス端子に、ブースターケーブル(赤色)A のクリップを接続します。
  3. 正常車両のプラス端子に、ブースターケーブル(赤色)A のもう一方のクリップを接続します。
  4. 正常車両のマイナス端子に、ブースターケーブル(黒色)B クリップを接続します。
  5. 異常車両の上部旋回体フレームに、ブースターケーブル(黒色)B のもう一方のクリップを接続します。

●エンジンの始動

クリップがバッテリーの端子に確実に接続しているか確認し、つぎの手順でエンジンを始動させてください。

  1. 正常車両のエンジンを始動させ、フル回転にします。
  2. 異常車両のスタータースイッチをSTARTにし、エンジンを始動させます。
    エンジンが始動しないときは、2 分以上休止してから再度実施します。(その際は正常車両のエンジンは停止させずに、フル回転を保持します。)

●ブースターケーブルの取り外し

異常車両のエンジンが始動したら、ブースターケーブルを接続とは逆の手順で取り外してください。

  1. 異常車両の上部旋回体フレームに接続してあるブースターケーブルB のクリップを外します。
  2. 正常車両のマイナス端子に接続してあるブースターケーブルB のクリップを外します。
  3. 正常車両のプラス端子に接続してあるブースターケーブルA のクリップを外します。
  4. 異常車両のプラス端子に接続してあるブースターケーブルA のクリップを外します。