ヤンマーが取り組む騒音対策
カテゴリ:建機の環境改善
私たちを悩ます騒音とは
●騒音の元となる音
生活する上で不必要なやかましい音、存在することが好ましくない音、妨げや害になる音を騒音といいますが、人の好みやその時々の気分によっても感じ方が違い、「これが騒音」とはっきりした定義はありません。
一般的には、以下のような音が「騒音」とされます。
- 70db以上の大きな音
- 会話や通信状態の妨害となる音
- 音色の不快な音(のこぎりの目立、ブレーキのきしみなど)
- 勉学・思考・睡眠など日常生活の妨げになる音
- 情緒的に不快な感じをもたせる音
騒音は、周辺地域からの「騒音苦情」の原因となったり、人体へ「騒音障害」などの悪影響を及ぼすおそれがあります。
●さまざまな騒音障害
以下の症状が代表的な騒音障害と言われています。あてはまった場合は注意しましょう。
- 騒音が55~60dBを超えると、尿中ホルモン量や血液成分の変化など、生理的影響がでます。
- 騒音が長時間続くと、血圧が上がり、食欲がなくなります。さらに耳が疲労し、目まいや吐き気をもよおします。
- あまりにも大きすぎる音が続くと、平衡障害を起こし、まっすぐ歩けなくなり、階段の昇降も不可能になります。
- 一般的に、80dB以上の音は耳に障害を起こし、100dB以上では危険だといわれています。
- 騒音によって起きた耳の障害は、回復の見込みが少ないとされています。
●騒音レベルと音響パワーレベルの単位
- デシベル(dB)
- 音や振動の強さ(エネルギー)を対数的に示した単位。
※ 音の強さには、音圧レベルと音響パワーレベルがあり、ともにdBで表されます。音圧レベルは音を出している機械から遠ざかるにつれて小さくなり、音響パワーレベルは機械が発する音の強さなので変化しません。どちらも騒音規正法で規制されています。 - ホン(phon)
- 騒音などの聞こえる大きさを示す単位。耳の感度が音の強さと音の周波数により違うことを考慮して決められた単位です。
●騒音値の例
騒音値のレベルは、以下の例のように分類されます。
dB | 内容 | dB | 内容 |
---|---|---|---|
120 | 飛行機のエンジンの近く | 60 | 静かな乗用車、普通の会話 |
110 | 自動車の警笛(前方2m) | 50 | 静かな事務所 |
100 | 電車の通るときのガード下 | 40 | 深夜の市内、図書館、静かな住宅地の昼 |
90 | 騒々しい工場内、大声による独唱、ピアノ | 30 | 郊外の深夜、ささやき声 |
80 | 地下鉄の車内(窓を開けたとき) | 20 | 木の葉のふれあう音、置き時計の秒針の音(前方1m) |
70 | 騒々しい事務所、騒々しい街頭、掃除機、電車のベル | 10 | やっと聞こえる程度の音 |
騒音に対する現状の規制
●国土交通省による規制
騒音公害は、人間の感覚を直接刺激し、住民の日常生活への影響が大きいため各地で問題となり、対策として「騒音規正法」(昭和43年)が制定されています。特に①指定工場 ②特定建設作業 ③自動車騒音を規制対象にしています。
この法に基づいて各都道府県で細かい条例を定めていますので、実際に工事にかかるときには、県庁などによく確認をすることが大切です。
油圧ショベル・ミニショベル(バックホー/ミニバックホー)、 キャリア、ローダー、高所作業車は特定建設作業に入っていませんが、住環境の保護と人間生活の基本ですから、いつでも・どこでも・どんな現場でもできるだけ静かな作業を心がけねばなりません。
また、周辺地域への配慮はもちろん、建設機械の扱いに従事するオペレーターへの「健康上の対策」も大変重要な課題です。
●騒音による健康上の対策
①騒音に2時間さらされて作業したら、15分以上の休憩をとりましょう。
②必要なら、耳栓をするなどの防御をしてください。
③年に1回以上は聴力検査を受けましょう。
●防音防振対策
ヤンマー建機の製品には、多くの防音防振対策が施されています。
●低騒音型・超低騒音型・低振動型建設機械について
平成9年10月1日より、それまでの基準が改定され、下表音響パワーレベルの基準値を満たすものが、低騒音型機械、超低騒音型機械及び低振動型機械として、国土交通省より指定されました。
- 環境計量証明事業者による測定結果証明書に基づき、国土交通省へ申請により指定通知書が発行されます。
(四半期毎)
●音響パワーレベルとその測定方法
「音」は音源に対し近いと大きくなり、遠いと小さくなります(距離減衰)。さらに、測定対象の構造によっては「音」が大きなポイントであったり小さなポイントがあったりします。(音源に指向性がある)音響パワーレベル測定では、測定対象の「音源が放射する音の全エネルギー量」を測定できますので、距離減衰や音源の指向性によらない評価が行えます。このようにヤンマーでは、騒音測定テストを正確に行うことを心がけています。