排ガス規制(オフロード法)対応エンジンについて

カテゴリ:建機の基礎知識

油圧ショベル・ミニショベルを安全に取扱い、事故を未然に防ぎましょう!ヤンマーの油圧ショベル・ミニショベルに使われているオイルの種類、その取扱い方法とエンジン始動前の注意事項まで。事故を未然に防ぎ正しく扱うための基礎知識をまとめました。※型式によって異なります。
  • 取扱いや注意事項の一部を紹介します。詳しくは取扱い説明書をごらんください。

ヤンマーの油圧ショベル・ミニショベルの排ガス規制(オフロード法)対応エンジンの取扱いと注意事項

●燃料高圧噴霧時の注意事項とDH-2エンジンオイル

ヤンマーの油圧ショベル・ミニショベルのエンジンには、高圧コモンレールシステム(※1)を使用しています。
特に、高圧部品(例:高圧管)の分解を行う際は、必ず10~15分待ってから分解を行ってください。
エンジン運転中は、ローアイドルであっても決して高圧パイプをゆるめないでください。高圧燃料がふき出して危険です。
上記の注意事項を順守できない場合は、死亡または重傷につながるおそれがあります。異常時は、最寄りのヤンマー販売会社までお問い合わせください。

  • ※1ディーゼルエンジンの燃料噴射装置

またヤンマー製品のうちDPF付コモンレールエンジンが搭載された製品には、DH-2エンジンオイル(※2)が使用されています。
DPFとは、ディーゼルパティキュレートフィルタの略で、排気ガスに含まれる有害物質を酸化触媒にて分解して、スートフィルターにて捕集し、大気に排出されないようにする装置のことです。DH-2エンジンオイル以外の燃料添加剤の使用は、燃料噴射ノズルの目詰まりを引き起こし、エンジン出力低下の原因となりますのではお控えください。

  • ※2ディーゼルエンジン
    DH-1:エンジン洗浄性、摩耗防止性を満たしたクラス
    DH-2 :DH-1の性能に加えて、DPFのつまりの原因となる燃焼残渣物(灰分)と触媒性能を損なう恐れのある成分を低減

●プレフィルターの日常点検

プレフィルターの水は、必ず毎日チェックしてください。コモンレールシステムの燃料系統は非常に高圧になっています。サプライポンプへの供給燃料に水が混ざると、サプライポンプ、インジェクターなどの焼き付きにつながるおそれがあります。

●エンジンオイルの役割

例 ViO45-6Aエンジンオイル給油位置

油圧ショベル・ミニショベルのエンジンオイルはオイルパンに蓄えられており、オイルポンプによりオイルギャラリーという通路を通じて、メインメタル及び弁腕他各部に送られ各部がスムーズに動くように循環します。そして磨耗防止、過熱防止、ガス漏れ防止、汚れ防止、腐食防止の5つの働きでエンジン性能を十分に発揮させます。
エンジンオイルを交換せずに長く使用し続けると、エンジン内部の燃えカスなどの不純物が隙間にたまり、オイルが正常に循環しなくなります。そのため、金属の接触部分が焼付き磨耗などにより傷がつく原因になります。
オイルフィルタは洗浄作用により発生した「スス」や「鉄粉」などを捕集しますので、使用時間と共に目詰まりします。フィルタが目詰まりすると、フィルタを通らない別経路で汚れたオイルを循環させるために、エンジンの故障を招くことになります。

●燃料保管容器に関する注意

ヤンマーのエンジンは、排ガス規制に適合させるため精密な燃料噴射装置を搭載しています。燃料の保管に関しては、亜鉛メッキした容器の使用は避け、プラスチックやステンレス製の容器を使用してください。亜鉛や鉛が燃料に溶解すると、エンジン性能が低下する原因となります。

●ディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)の取り扱いと注意事項

DPF の機能は、排ガス中の有害物質を酸化触媒によって分解し、スートフィルターでそれらを捕集することで、大気中に有害物質が放出されないようにするためのものです。
スートフィルターに捕集された有害物質は、そのままでは目詰まりを起こし、エンジン性能が低下しますので、スートフィルターの再生が必要になります。ヤンマーのエンジンでは連続再生方式を採用しており、作業を継続しながらDPF 内において有害物質を捕集し、同時に再生を行います。
また有害物質に加えスートフィルターにはすすがたまります。これは主にオイルの添加剤の金属成分になります。すすの量は有害物質と比べて非常に少ないため、直ちにスートフィルターを詰まらせることはありません。
しかし、すすは金属成分であるため、有害物質と同じようには、DPF内で燃焼させ、処理することができません。スートフィルターの点検整備は定期的に行ってください。

<警告>

  • リセット再生では、ディーゼルパティキュレートフィルター(DPF)内で直接燃料を燃焼させます。
    この熱にてスートフィルター内の再生を行いますが、この燃焼により排気温度は600℃近くまで上昇します。排気管の周辺には、人や燃えやすいものが無いことを確認してください。
  • DPF再生は、風通しの良い広い屋外で行ってください。排気ガスには無色・無臭の有害な一酸化炭素が含まれているため、吸入すると一酸化炭素中毒を引き起こすおそれがあり危険です。

<重要>
DPFの性能を維持するため、下記の事項は必ずお守りください。

  • スートフィルターは、すすを取り除くために定期的にDPF から取り外して点検整備する必要があります。点検整備を実施する場合は、最寄りの販売会社に相談してください。
  • 燃料に関しては、硫黄分が質量で15ppm以下の軽油(ウルトラローサルファ)を使用してください。
  • 潤滑油に関しては、ローアッシュオイルを使用してください。

詳細は各製品の取り扱い説明書をご確認ください。