中国・四国地方は小規模ほ場が多く見られる地域です。愛媛県農林水産研究所 農業研究部作物育種栽培室では、小規模ほ場における水稲作業に関する実証試験を実施。初心者と熟練者が田植機の直進アシスト機能を使用する場合としない場合での作業時間や作業能率、疲労度がどのような結果になるかを試験されました。
直進アシスト機能により身体的な負担の軽減や作業精度の向上、能率アップが見られるのであれば、熟練者にとっては省力化につながり、また、初心者が即戦力になれば、人手不足の解消につながります。今回の密苗試験レポートでは、密苗と慣行苗の比較を含む実証試験の結果をご紹介します。
試験場所 | 愛媛県農林水産研究所内ほ場(愛媛県松山市) |
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実施期間 | 2022年度~2023年度 |
使用機械 | YR6DA直進アシスト仕様(補正情報にはD-GNSSを利用) |
品種名 | ひめの凜 |
作業歴4時間の30代男性(初心者)と、作業歴11年の50代男性(熟練者)で、小規模ほ場での直進アシスト機能付き田植機の直進自動および手動走行における作業時間・作業能率を調査。また、作業者の血圧・心拍数(血圧計:作業直前・直後で座位で測定)、疲労度(唾液アミラーゼモニター)を調査。
作業時間:
自動走行の場合、初心者A氏は直進において約20%作業時間を短縮。手動と比較して、熟練者B氏に近い結果になりました。
作業能率:
自動走行であれば、初心者A氏が熟練者B氏と同等の能率で作業ができるという結果になりました。
※新稲作研究会令和5年度委託試験成績の利用
血圧・心拍数の作業前・作業後の変化には、はっきりとした傾向はみられませんでした。疲労度は、有意差は見られないものの、自動走行の方が低い傾向になりました。
※新稲作研究会令和5年度委託試験成績の利用
使用苗箱数は密苗で慣行苗比約54%減、育苗費は約44%減に。合計額は慣行と比較して、密苗を行った4区で9~12%低減しました。(1haあたり)
本内容は営農情報誌トンボクロス9号へ掲載されております。