日本の農業の新しい可能性を拓く
子実とうもろこし栽培
子実とうもろこし栽培は管理が非常に省力的ということもあり、
北海道のみならず都府県でも
水田転作や輪作作物としての取り組み事例が増えています。
また、収穫後の茎や葉をほ場にすき込むため緑肥としても利用可能ということで、
農林水産省が発表している『みどりの食料システム戦略』における、
有機農業の面積拡大に向けた技術としても期待されています。
子実とうもろこしとは、とうもろこしを完熟させ、子実だけを収穫したものです
子実とうもろこしとは、とうもろこしを完熟させ、子実だけを収穫したもので、濃厚飼料のひとつです。
濃厚飼料は高TDN※、低繊維で、より高エネルギーなエサとなります。さまざまな家畜に給与できます。
- 収穫時期:完熟期
- エネルギー含量(乾物):90~94%
- 対象家畜:牛・豚・鶏
- ※TDN(Total Digestible Nutrients):家畜が消化できる養分の総量。カロリーに近い概念(1TDN kg=4.4Mcal)。飼料の栄養価は、飼料中TDN含量(%)で表される。
子実とうもろこしの品種と特徴
子実とうもろこしの専用品種は日本では栽培されていないので、WCS※向けの飼料用とうもろこしを栽培します。飼料用とうもろこしはアメリカで育種改良された「デント」種が主体ですが、国内では中・晩生種を中心にもっと昔日本に渡来した「フリント」種とデント種の一代雑種の優良品種が使われています。
- ※とうもろこしのWCSは、青刈りとうもろこしの全植物体をサイレージ化したものです。約4割が子実で約6割が芯・茎葉です。TDN含量は66%前後です。
デントコーン
粒が成熟するにつれ冠部が収縮して窪みができ、馬歯状(デント)のようになるのが特徴です。デントコーンは主にアメリカで改良されて澱粉用、飼料用として利用されています。
フリントコーン
硬い澱粉層が穀粒の全体に広がり、頂部は丸く光沢があります。日本には江戸時代に伝来し、食用としても改良されて在来種として根付いています。
〈メリット1〉作業時間が他の作物に比べて圧倒的に少ない
10a当たりのほ場内での作業時間は、大豆7時間、小麦5時間、飼料米24時間に比べ、子実とうもろこしは1.1時間と圧倒的に少なくなっています。子実とうもろこしは、耕起・播種作業の後の作業が除草剤散布と追肥程度で、収穫まで手のかかる作業がないためです。
〈メリット2〉輪作における新たな作物として有効
輪作には、土壌病害、雑草の抑制、農地の有効活用などのメリットがあります。
しかし稲作中心のほ場では、排水性が悪く、収量に課題がありました。また、数年経つと大豆や小麦に連作障害が発生し、収量が落ちる場合も出てきました。
病害回避、排水性改善の面からも、子実とうもろこしを輪作の中に加え、収量向上に取り組む事例が増えています。
〈メリット3〉機械を兼用できる
トラクター用播種機や汎用コンバインなど、稲・麦・大豆と機械を兼用でき、償却費を削減できます。
〈メリット4〉有機農業への第一歩として有効
とうもろこしは根がよく伸び、吸肥性が高い作物です。また、子実とうもろこし栽培では、収穫後の茎や葉をほ場にすき込むため、緑肥作物としての土壌の膨軟化、団粒化促進、養分供給など、土壌改良の効果が期待できます。
今、農林水産省が発表している『みどりの食料システム戦略』における、有機農業の面積拡大に向けた取り組みとして注目されている「緑肥作物栽培」のひとつとしても有効です。
〈メリット5〉耕畜連携により環境負荷を軽減できる
耕種農家が収穫した子実とうもろこしを家畜が食べ、家畜が出した排せつ物を堆肥として活用できます。
『みどりの食料システム戦略』における、化学肥料の使用量低減への取り組みとしても、耕畜連携は重要な位置づけになっています。
子実とうもろこし栽培の収穫作業を省力化するヤンマー普通型コンバイン
アタッチメントを装着することで、子実とうもろこし・麦・大豆・そばなどの収穫に対応。
スピードと精度を両立した、子実とうもろこし栽培にピッタリなコンバインです。
普通型コンバインYH700Mをフル活用した子実とうもろこし栽培事例
大規模水稲栽培が盛んな埼玉県加須市で、水稲や小麦、大豆などを栽培する中森農産株式会社。
日本の農業、食料安定供給などの未来を見据えて新たに普通型コンバインYH700Mを導入された中森農産株式会社の代表、中森剛志さんにうかがったお話をご紹介します。
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