ヤンマーミュージアム
2019年10月5日リニューアルオープン
2019.11.01
10月5日、ヤンマーミュージアムがリニューアルオープンしました。新しいミュージアムでは、未来の主人公となる子どもたちが、さまざまなチャレンジを通して「見て・触れて・体験しながら学ぶこと」ができるコンテンツが盛りだくさん。
今回は、生まれ変わったヤンマーミュージアムが伝えたいメッセージについて、ヤンマー株式会社代表取締役社長・山岡健人と、ヤンマーミュージアムの総合プロデューサーを務めたクリエイティブディレクター佐藤可士和氏に、その思いを語っていただきました。
※取材者の所属会社・部門・肩書等は取材当時のものです。
山岡健人(以下、山岡):ヤンマーにとって、創業者 山岡孫吉生誕の地である長浜市はルーツであり、ヤンマーのアイデンティティーでもあります。私の祖父でもある山岡孫吉が、農家の方の負担を少しでも軽減したいと考え、軽くて使いやすく、燃費の良い小型ディーゼルエンジンの開発に挑戦し、実現できたことが最初の大きなチャレンジでした。
現在、ヤンマーでは「A SUSTAINABLE FUTURE」-テクノロジーで、新しい豊かさへ。-のブランドステートメントのもと、目指すべき豊かな未来を「4つの社会(VISION)」に定義、その実現に向けてチャレンジしています。
ヤンマーミュージアムは、創業者が大切にしてきたチャレンジ精神を子どもたちに伝承し、ヤンマーが目指す未来の社会・文化を醸成させていく活動拠点と位置づけて、リニューアルしました。
佐藤可士和(以下、佐藤):ヤンマーが考えるチャレンジとは、より良い未来を目指して、「自ら動き出す」こと。そして、「あきらめずに工夫する」ことなんですね。そういった流れから生まれたのが「やってみよう!わくわく未来チャレンジ」というヤンマーミュージアムのコンセプトです。「体験型チャレンジミュージアム」をコンセプトに捉えた企業ミュージアムは、日本でははじめてだと思います。
先ずは、やってみよう!失敗してもいい!絶対にあきらめない!子どもたちのチャレンジ精神を、わくわくするような体験を通じて育む、チャレンジミュージアムにしたいと考えました。
体験コンテンツは、目指すべき「4つの社会」と、ヤンマーの3つの事業フィールド「LAND(大地)」「SEA(海)」「CITY(都市)」を掛け合わせたコンセプトで設定し、最新のテクノロジーを使った映像と音、体を動かして「見て・触れて・体験しながら学ぶ」ことができます。
佐藤:最初の体験は「わくわく!チャレンジシアター」です。最新のプロジェクションマッピングシアターと、今回のためにリニューアルしたヤン坊マー坊が楽しく動き回り、みなさんをお迎えします。
山岡:新しいヤン坊マー坊は、少し前にリニューアル公開したのですが、思った以上に反響があって驚きました。
佐藤:チャレンジシアターは、創業者が若くして故郷を離れ、苦労しながらも事業を立ち上げ、何度失敗してもあきらめずにディーゼルエンジンの小型化に成功したチャレンジストーリーです。そのチャレンジ精神は、100年以上たった今でも「A SUSTAINABLE FUTURE」を追求するヤンマーに受け継がれています。
佐藤:チャレンジエリアは「LAND(大地)」「SEA(海)」「CITY(都市)」を舞台に、目指すべき「4つの社会」にチャレンジする仕掛けです。
山岡:ヤンマーは、その時代のお客様の課題に寄り添いながら、建設機械や発電機、船舶などへの展開など、3つのフィールドでさまざまなチャレンジをしながら、成長し、「4つの社会」を実現するために、チャレンジしていきます。
佐藤:「CITY」は、ヤンマーの事業領域である建設機械が活躍する舞台です。ここでは“省エネルギーな暮らしを実現する社会”“安心して仕事・生活ができる社会”“ワクワクできる心豊かな体験に満ちた社会”を子どもたちにチャレンジしてもらいます。「サステナブルエナジークライミング」は、6メートルのボルダリングに挑戦し、そのチャレンジによって生まれたエネルギーで街に光を灯すという、チャレンジの大切さと省エネへの気づきを与えるストーリーになっています。
「SEA」では、やっぱり“食の恵みを安心して享受できる社会”を学んでほしいですね。「マイフィッシュ・マイオーシャン」では、食べる分だけ、自分たちで魚を育てて捕る漁業にチャレンジしてもらいます。ヤンマーは、農業や漁業など“食料生産に関する事業”が出発点なので、食育を大切にしたいです。
「LAND」では、創業者・山岡孫吉は「農作業の重労働を軽減したい!」という熱意を持ってチャレンジし、ディーゼルエンジンの小型化に成功した方なので、ディーゼルエンジンの仕組みを知ることができるコンテンツを用意しています。現在のディーゼルエンジンは、トラクターや船、建設機械など、幅広いフィールドで利用されていることも知ってもらいたいです。
山岡:ヤンマーは、チャレンジの結晶である製品やサービスを届けることで、より豊かな社会の実現に貢献していきたいと考えていますので、コンテンツを通して、ヤンマーのDNAの一つ“チャレンジ精神”を育み、持続可能な社会のあり方について少しでも考える機会にしてもらえればと思っています。
佐藤:来場者には「ヤンマーカード」が発行されます。いろんなチャレンジをする度に、ヤンマーポイントがたまる仕組みです。「マイアース」は、一日のチャレンジを振り返り、ヤンマーポイントのランキングをチェックすることができます。年間ランキングも表示されるので、再来館へのモチベーションも高めます。
山岡:チャレンジの「見える化」で、子どもたちのチャレンジ精神を引き出すきっかけになると思います。
佐藤:ヤンマーミュージアム は、「LAND」「SEA」「CITY」以外にも、いろいろなエリアがあります。乾選手からパスを受けて、ゴールに向かってシュートする「フットボールチャレンジ」や、省エネルギーや食に関する「チャレンジ+」など、多彩なコンテンツにチャレンジすることができます。
他にも屋上の「屋根の上のビオトープ」では、生態系観察ができ、「おにやんまの湯」と名付けた足湯は、ヤンマーのコージュネレーションシステムが実現する省エネルギー体験によるサステナブルな社会を感じてもらえる施設です。
「プレミアムマルシェBIWAKO」では地産地消にこだわった滋賀の美味しい食材を使ったオリジナルメニューが愉しめます。その日に使う分だけ精米し、米とぎや炊飯まで、美味しいご飯ができるまでを知ることができます。
山岡:ヤンマーミュージアムは、創業者 山岡孫吉が“失敗しても、チャレンジし続けた思い”を体験してもらうわくわくするミュージアムです。孫吉の時代の日本はとても貧しかったのですが、その分「何が何でもやってやる!」という気概のある人が多かったように思います。
最近の日本の子どもたちは、外国の子どもたちと比べるとチャレンジ魂が低いといわれていますが、日本の子どもたち、そしてヤンマーの社員にもチャレンジする気持ちをもって頑張ってほしいと思います。孫吉もまた、何度も挫折しながら決して諦めず、最後にはディーゼルエンジンの小型化に成功します。その時の喜びは、きっと最高のものだったと思います。
ヤンマーミュージアムは、チャレンジした時の“達成感”や“高揚感”を子どもたちに味わってもらいたい。そんな思いで創りました。ぜひ!思いきり遊んでください。