2024.09.09

ヤンマーの無人農薬自動散布ロボットでブドウ畑での仕事をより安全で持続可能なものに

シャンパンは世界で最も有名なスパークリングワインの一つです。お祝い事やパーティなどで楽しまれるという華やかなイメージの裏には、生産者のさまざま努力や苦労があります。

ブドウ農家が抱える課題と「YV01」の特徴

美味しいワインやシャンパンの命とも言える「ブドウ」。そのブドウ作りには、理想的な環境や条件があり、その中の1つが傾斜のある畑と言われています。水はけが良く、たっぷりの日光が当たる傾斜地ですが、そこに生えるブドウの木を手入れするのは労力がかかります。

例えば、シャンパーニュ地方のブドウ畑の平均斜度は12%。場所によっては60%近くに達する急斜面もあります。この急斜面を作業のために行ったり来たりするのは、かなりの重労働です。また、人の手による農薬散布の場合、散布時に乗る車両の速度が変化することで散布量や散布箇所にバラつきが出ることもあります。

「YV01(ワイブイゼロワン)」は、急な斜面のブドウ畑で、ワイン農家の負担軽減に寄与する無人の農薬自動散布ロボットです。自動化・無人化により、深刻な労働力不足解消や生産者の安全などに大きく貢献することができます。

社員ボトムアップ型の新規プロジェクト

YV01は、2016年にヤンマーグループの中央研究所に所属していた山﨑亮輔さんが発案。元々、お酒が好きで、新しい市場で新商品を作りたいという思いがありました。

ワイン農家が抱える人材不足と農薬散布などの重労働からの解放を目標に研究開発を重ね、2023年3月に販売がスタートしました。

開発チームが取り組んだのは、完全無人のロボットがブドウ畑での噴霧作業を行うという、業界初の取り組みでした。設計・開発段階では、ヤンマーのアグリ事業におけるトラクター技術なども活用。モエ・エ・シャンドンやフランスでシャンパンの生産・販売を管理するCIVCなどと密に協力し、200回以上の試験を行いました。

そして2022年、革新的な技術を持つ新会社「Yanmar Vineyard Solutions (ヤンマーヴィンヤードソリューションズ)」をワインの本場であるフランスに設立し、急傾斜の農園での作業負荷、労働力不足、環境や人への負担など様々な課題解決に貢献すべく、未来を変革する取り組みを続けています。

ヤンマーの無人農薬自動散布ロボット

「YV01」のテクノロジー

YV01には以下のような特徴があります。

1.  最大45%の勾配を移動することが可能:
YV01を導入することで、斜面で危険作業が減り、生産者の負担を大幅に軽減することができています。

2. リモコンでの簡単な遠隔操作:
YV01では、無人操作を可能にしたことで、農薬から生産者を守ることができます。

3. 規定量を自動で散布:
自動化により、同じ速度で散布することで散布量を均一化することができ、環境への影響も最小限に抑えることができます。

4. GPSによる完全自律走行が可能:
最新ナビゲーションテクノロジーを採用し、無人での稼働が可能です。生産者は遠隔地からリモコン操作や作業の監視ができます。

5. 効率的な噴霧を実現:
表面や裏側に関係なく、葉や枝など、あらゆる部位にまんべんなく効率的に噴霧が可能で、水や化学薬品の使用量が最適化されます。

6. 軽量化により、土壌への負担が少ない:
良質なブドウを生産するために、土壌の圧縮は極力避けながら栽培を進める必要があります。YV01は軽量車両で、クローラによる土壌への負担を軽減できます。

実際に使っているお客様からは、「ロボットのおかげで仕事が楽になりました。危険な地形でも人が作業する必要がなくなったことに感謝しています」といった声をいただいています。

YV01は、ヤンマーが開発したソリューションの1つ(※)。これからも、農業従事者の皆さまがより効率的で安全に行える商品を提供していきます。

※YV01はフランス限定で販売中です。