2024.01.17
米作りにも山岡孫吉にも興味津々の小学生。ヤンマー米ギャラリーで触れて、学んで、感じた体験型社会科見学
東京都八重洲にある体験型ギャラリー「ヤンマー米ギャラリー」に、東京都中央区立城東小学校の5年生が社会科見学にやってきました。今回は「工夫と努力」というテーマで、米ギャラリーの自由見学とヤンマーミュージアム三上さんによる講義の2部構成プログラムを体験。これまで、農家さんやヤンマーが米作りにおいてどんな工夫と努力を重ねてきたのか、社会科見学を通して学んだ様子をご紹介します。
お米づくりの歴史と今を学び、未来のカタチについて考えるきっかけを提供する施設「ヤンマー米ギャラリー」
今回小学生が訪れたのは、東京都・八重洲にある複合施設「YANMAR TOKYO」の中にある「ヤンマー米ギャラリー」です。
「YANMAR TOKYO」の核にあるのは、ヤンマーの創業以来受け継がれてきた「HANASAKA(ハナサカ)」という価値観です。その中で育まれてきた「人の可能性を信じる」「挑戦を後押しする」という文化のもと、ヤンマーは事業活動以外に、次世代育成や文化醸成活動にも取り組んできました。
2023年にオープンした「YANMAR TOKYO」は、この「HANASAKA」の輪を広げる拠点としての役割を担っており、地下1階の「HANASAKA STAND(ハナサカ スタンド)」では、「HANASAKA」を体現する人や活動を、映像や展示で体感できるようになっています。他にも、お米の魅力を発信するショップやレストランも併設しています。
その1階に、お米の魅力に触れて、学んで、考えることができる体験型の展示施設「ヤンマー米ギャラリー」があります。さまざまな楽しいコンテンツを通して、「お米」と「農業」のサステナブルな未来について考えるきっかけを提供しています。ヤンマーロゴのオブジェや各種展示の什器はお米を作るときに出る「稲藁」を使用しており、食糧としてだけでなく、人々の生活を守る素材にもなるお米について、楽しみながら学ぶことができます。
まずは、ギャラリー内を自由に見学。創意工夫で「学び」を楽しい「ゲーム」に変える子供たち!
社会科見学に訪れた生徒たちの小学校は、実は米ギャラリーのすぐ近く。徒歩でやって来てくれました。最初に米粒型のディスプレイに映し出される映像コンテンツ「お米のチカラ」を見て学んだあと、自由に場内のコンテンツを体験しました。
場内には「お米のチカラ」を含め、「お米の性格診断」「お米作りの知恵」「お米作りの発展」「お米の料理MAP」という5つのコンテンツが用意されています。最初に子どもたちが夢中になったのは「お⽶作りの知恵」。次々と現れる米作りでの問題に対し、サイコロを使って解決策を答えるゲームコンテンツです。
最初は「こうすれば解決じゃない?」と、友だちと相談しながらすすめます。でも、一度コツを覚えると、友だち同士でどちらが早く答えられるか競うゲームに早変わり!「面白い!」とすっかり夢中。
施設の一番奥にある「お米の料理MAP」では、何やらマイクに向かってしゃべっている子どもたち。これは、世界のお米料理を音声で注文するというコンテンツです。注文すると次々と出てくるレシピに「こんな食べ物初めて見た!」「美味しそう」「飲み物もあるのかな」と興味深そうにチャレンジしていました。
「お⽶作りの知恵」と「お⽶の料理MAP」の間には、米作りの技術の進化を迫力の5面ビジョンで紹介している「お⽶作りの発展」が設置されています。その前には、興味深そうに足を止めている子の姿も。実は6月に学校の屋上でバケツを使った米作りを体験したという生徒たち。その体験があったからこそ、昔の大変さがより深く伝わったのかも知れませんね。
また、質問に答えていくだけで性格に合ったお米の品種を教えてくれる「お⽶の性格診断」も多くの子どもが体験!入れ代わり立ち代わり、画面に映る問いに答えていきます。「コシヒカリがよかったのに、新之助になった」と話していたと思えば、いつの間にか、「新之助を目指す」と、好みの米品種を出す遊び方を考案して楽しんでいました。
まさに、今回のテーマ「工夫と努力」で、大人の予想を上回る遊び方を見つけてコンテンツを楽しみつくした子どもたちでした。
子どもたちのココロを浮き立たせた、大きなトラクター
場内には、外からも目立つ場所に大きなトラクターが置かれています。実際にタイヤの前に座って大きさを確かめるなど、興味津々。初めてトラクターを目にしたという子もいました。
「このクルマは何をするものだと思う?」という問いかけに、トラクターを知っている子は「耕すもの」と回答。大正解!この車体の後ろに器具を取り付けることで、土を耕すだけでなく、草刈りをしたり、ものを運搬したりと様々な作業ができるようになります。
米ギャラリーの体験を終えた感想を聞いたところ「米作りにおける問題の対処法など、楽しく知恵を学べました」「ゲームを通じて楽しく学べました」という声を聞かせてくれました。
教室に戻って授業の後半。山岡孫吉のチャレンジ物語から子どもたちが学んだこと
見学を終えた子どもたちは、小学校に戻って講義の時間。教室では、ヤンマーミュージアムの三上さんが講師として登場し、ヤンマーの事業分野や創業者である山岡孫吉のチャレンジ物語についてなどの紹介が行われました。
授業の中では、世界で誰も成し得なかったディーゼルエンジンの小型化を世界で初めて成功したヤンマーの創業者、山岡孫吉が紹介されました。
今のように交通網が発達していない中、16歳で地元滋賀から大阪へ働きに出たり、ヤンマーの前身である「山岡発動機工作所」を立ち上げたりと、数々の困難に挑んできた山岡孫吉でしたが、世界初の小型ディーゼルエンジン開発という大きな課題にチャレンジした際は、技術者と一緒にどれだけがんばっても、失敗して工場に黒い煙が充満する日々。しかし、くじけそうになっても、先が見えなくても、あきらめることなく開発を続けました。そして、ついに小型ディーゼルエンジンが生まれると、山岡孫吉は一緒に頑張ってきたみんなへの感謝の気持ちでいっぱいとなり、涙を流したそうです。
そんな山岡孫吉のストーリーは、社会科見学のテーマである「工夫と努力」の連続。あきらめることなく、困難に立ち向かう山岡孫吉の半生を、子どもたちは食い入るように聞いていました。
また、先程訪れた施設「YANMAR TOKYO」のコンセプト「HANASAKA」の紹介も行われるなど、時間いっぱい、子どもたちと三上さんの対話が続きました。
最後のアンケートでは、子どもたちならではの発見や感想がいっぱい!
社会科見学を終えた子どもたちからは、お米作りやヤンマー、そして山岡孫吉についてさまざまな感想が寄せられました。
・ゲームをしながら、米のことや農業のことを知れて、とても楽しかった。
・ヤンマーがしていることや山岡孫吉さんの苦労がよくわかった。
・家などで米が食べられるのは当たり前ではないと改めて気づいた。
・あきらめない努力は、ぜったいだれかがその努力を見ているんだなと思いました。
短い時間でしたが、今回の授業をきっかけにお米作りやヤンマーへの興味が深まったことを感じるアンケート結果でした。
今回の見学授業はいかがでしたか? 校長先生と三上さんに感想を聞きました
最後に、この日子どもたちと一緒に社会科見学した平山尚彦校長に授業の感想を聞きました。
「子どもたちは今年、手作業で米作りをどう行うかを体験したうえで、今回の授業に挑み、米作りへの理解が深められたと感じています。実際に資料をみたりお話をきいたり、実物に触れる機会を得ることができましたし、なにより、これだけ近い場所に協力して頂ける方がいたことが有り難かったです」。
また、後半の授業を行った三上さんに子どもたちの反応を聞いたところ、「子どもたちのベースとなる知識量が多く、するどい質問もありました。大人のような質問に対しては、ヤンマーの研究の話をしました。授業中の子どもたちが、私の目を見て真剣に聞いてくれているのを感じましたし、みなさんと一体となって授業を進めることができました」と話していました。