ユーザーの負担を軽減し安心して
仕事ができる社会を創る新たな挑戦
ヤンマーの強みのひとつであるマリンプレジャー事業。新たな着眼点から生まれたさまざまな製品やサービスで、洋上で作業をする人々を支え続けてきました。そんなヤンマーは、操船においてある程度のスキルが必要で、ユーザーの大きなストレスとなっていた「着桟※」に着目。煩わしい操作を行うことなく、スムーズかつ安全に着桟するための「自動航行・着桟システム」と、洋上で安全な航路を自動で判断・生成し、航行する「自動航行システム」の開発をスタートさせました。これらのシステムの開発はマリンプレジャー事業のみならず、従事者人口の減少・養殖の需要拡大が進む漁業の市場環境や、危険な作業を伴う海洋事業のフィールドにも大きなメリットとなります。洋上作業の代替・省人化によって漁業や海洋事業従事者などの負担を軽減することも視野に入れながら、2017年から開発を進めてきました。
当初は、世の中でよく使われている1軸1舵の船舶(自動車と同じようにアクセル1軸と操舵1軸の操作軸をもった船舶)をターゲットとして技術開発を目指していました。しかし、風や潮の流れによりその位置を一定に保つことすら難しい船舶にとって、真横方向に力を直接作用させる自由度を持たない1軸1舵船の着桟制御は難しく、技術構築まで多大な開発工数が必要なことがプロジェクトを推進する中で徐々にわかってきました。世の中へいち早く製品を届けたいとの想いから、ターゲットを複数の推進器を搭載した2軸2舵船に切り替え、その開発に向けて開発工数を集約することを決断。船舶をどの方向にも動かせる推力配分機を搭載し、度重なる苦労の末確立した制御システムのノウハウと2015年に実用化した自社技術の定点保持システムを応用することで、2018年には自動航行・着桟システムと自動航行システムの基礎技術を完成させました。※洋上の桟橋や筏、岸などに船を着けること。