ゼロエミッション船の実現に向けて「舶用水素エンジンおよびMHFSの開発」がNEDO「グリーンイノベーション基金事業」に採択
VISION01 省エネルギーな暮らしを実現する社会
目指す姿
エネルギーの可能性を拡大。安価・安全な動力、電力、熱を、いつでも必要なとき必要なだけムダなく使えること。
VISION-01の社会を実現するために貢献できる主な製品・サービス
エネルギーマネジメントシステム
エネルギーの運用状況の把握・分析、適切な省エネ診断により、施設全体でエネルギー使用を最適化し、省エネルギーに貢献します。
産業用ディーゼルエンジン
これまでの産業用小形ディーゼルエンジン事業領域を拡大することを目的に、超低燃費・高出力エンジンを開発。最新の欧州StageⅤ規制にも適合しています。
関連する主なSDGs
VISION-01に関連し解決すべき社会課題
事業活動を通じた貢献
ヤンマーパワーテクノロジー株式会社
顧客の課題
脱炭素化の世界的な機運が高まるなか、国際海運分野でもさらなる温室効果ガス(GHG)の排出削減が喫緊の課題となっています。国際海事機関(IMO)は、当該分野からのGHG排出量を2050年に半減させ、今世紀中の早期にゼロとすることを目指す「GHG削減戦略」を2018年に採択し、2023年までに改定(強化)を予定しています。また、2021年10月、日本政府および日本の海運業界も「2050年までに国際海運からのGHG排出ネットゼロを目指す」ことを発表しています。
- ※参考:国際海運GHGゼロエミッションプロジェクト『国際海運の2050年カーボンニュートラル達成に向けて』
ソリューション
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によるゼロエミッション船の実用化に向けた「次世代船舶の開発」プロジェクトが2022年1月から開始されています。ヤンマーパワーテクノロジー(YPT)は、川崎重工業株式会社(川崎重工)、株式会社ジャパンエンジンコーポレーション(J-ENG)と共に、「舶用水素エンジンおよびMHFS※1の開発」を提案し、本プロジェクトへの参画を果たしています。
舶用水素エンジンは、川崎重工が中速4ストロークエンジン、当社が中・高速4ストロークエンジン、J-ENGが低速2ストロークエンジンの開発を担当し、3社が同時並行で各種の取り組みに着手。さまざまな用途に対応可能なエンジンラインアップを2026年頃※2に完成させるとともに、船社、造船所と協力し、実船での実証運航を行うことで、社会実装につなげる予定です。
MHFSの開発は川崎重工が担当し、各社と共同で水素燃料推進システムの実現を目指すほか、共同出資新会社であるHyEng(ハイエンジ)株式会社を介して、基礎燃焼解析や材料・シール面、船級規則対応などの共通技術要素の開発、共用試験設備の利用で3社が連携を図ります。
- ※1MHFS:Marine Hydrogen Fuel System(舶用水素燃料タンクおよび燃料供給システム)
- ※2この時点でYPTの対象は水素二元燃料中速エンジンであり、順次、水素専焼高速エンジンを開発する計画
下の画像は横にスライドができます。→
- ※出典:川崎重工業(株)、ヤンマーパワーテクノロジー(株)、(株)ジャパンエンジンコーポレーション
提供価値
水素燃料エンジンを通じて、外航船をメーンとして内航船までの幅広い用途におけるGHG排出削減に貢献します。また、船舶において必要な冗長性の確保や機関室内の省スペース化を実現し、NOx、SOx規制も満たすための水素燃料エンジンシステムを提供していきます。一方、国内海事産業の活性化などとも連動させていきます。
ヤンマーエネルギーシステム株式会社
脱炭素社会の実現に貢献するドイツ2G社製100%水素燃料コージェネを2022年度内に日本国内外で販売開始
顧客の課題
脱炭素社会の実現に向けて、温室効果ガスの排出削減には省エネルギーの追求とともに再生可能エネルギーの利活用が欠かせません。日本でも風力発電や太陽光発電などの普及が進んでいますが、自然を相手にする特性上、エネルギー生産の変動が課題となっています。そこで、新たなエネルギー源の一つとして水素への期待が高まっています。水素エネルギーは、再生可能エネルギーなどのさまざまなエネルギー源からつくることができ、利用段階でCO2を排出しない特徴を持っています。カーボンニュートラル達成の中長期的な切り札として、各事業者から注目を集めています。
ソリューション
ヤンマーエネルギーシステムは、ドイツの2G Energietechnik GmbH製100%水素燃料コージェネレーションシステム(CHP)について、日本を含むアジア、中東、アフリカ地域での販売契約を締結し、日本での取り扱いを2022年度内に開始します。取扱機種は、発電量115kWから750kWまでの計5機種※3を予定しています。
2022年11月をめどに、ヤンマーエネルギーシステムの岡山試験センターに本機を設置し、施工やメンテナンス性などの検証を行います。さらに、2023年にはお客様が現物を視察できる環境を整え、さまざまなプロジェクトや環境先進企業に向けて水素供給も含めたソリューションとして本システムを提案します。また、自社製ガスエンジンについても水素燃料に対応できるよう技術開発を進めていきます。
今後も、CHPや水素発生装置を含めたトータルエネルギーソリューションを提案し、お客様のエネルギーにおける課題解決と脱炭素社会の実現に向けた取り組みを強化していきます。
- ※3試験の結果により、取扱機種や実際の数値は変更になる可能性があります
提供価値
水素を燃料として高効率に電気・熱を取り出すコージェネレーションシステムの普及により、事業者の産業プロセスにおける化石燃料や購入電力の利用を抑制し、脱炭素社会に貢献することが期待できます。