CSR・環境
  • VISION01 省エネルギーな暮らしを実現する社会

VISION01 省エネルギーな暮らしを実現する社会

目指す姿

エネルギーの可能性を拡大。安価・安全な動力、電力、熱を、いつでも必要なとき必要なだけムダなく使えること。

VISION01の社会を実現するために貢献できる主な製品・サービス

エネルギーマネジメントシステムと産業用ディーゼルエンジン

関連する主なSDGs

SDGs7、9、12、13、17

VISION01に関連し解決すべき社会課題

グローバルイシューと個別テーマ

事業活動を通じた貢献

ヤンマーエネルギーシステム株式会社

エネルギーマネジメントシステムで工場内のエネルギー設備を最適に自動制御しさらなる省エネルギーを実現

顧客の課題

福岡市の食品メーカーである株式会社マルタイ様では、福岡工場に導入しているさまざまな省エネ設備をより効率的に制御することで、さらなる省エネルギーの実現とCO2排出量の削減を検討していました。また、日本国内の「エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)」への対応に向けて、福岡工場や佐賀工場などを含めた工場内で使用するエネルギーの年間使用量を1,500kl未満(原油換算)に抑えることも課題としていました。

ソリューション

エネルギーマネジメントシステムの仕組みとエネルギー使用のグラフとCO2削減量のグラフ

福岡工場では、ヤンマー製のガスコージェネレーションシステムやガス空調設備(GHP)などの省エネ機器に加え、太陽光発電設備、太陽熱利用温水設備などの再生可能エネルギーを活用した設備を導入いただいており、ヤンマーエネルギーシステムはこれらを効率よく制御するエネルギーマネジメントシステム(EMS)を提案することで顧客の課題解決を目指しました。

EMSは、各エネルギー設備をはじめ、ガスコージェネ、GHP、ジェネリンクにセンサーを設けて工場全体の電力およびガス使用量を把握。前日に天気予報や料金情報などで最適な運用計画を自動作成し、当日は各エネルギー設備の負荷状況により自動で補正することができます。エネルギーの利用状況や機器の運転状況はEMSモニターで一元管理でき、遠隔により当社の技術担当者もリアルタイムに情報を共有することで、急なトラブルにも迅速に対応できます。

EMSの導入で2019年度のエネルギー年間使用量を1,500kl未満に抑えるとともに、デマンド値(最大需要電力)の抑制や昼間のピーク時間帯における電力需要の平準化を実現。さらに、これまで管理者の経験に頼っていた各エネルギー設備の設定が自動化されたことでエネルギーロスが少なくなり、よりきめ細やかな制御が可能となりました。日々の管理業務の軽減につながり、蓄積された分析データは長期的な運用計画にも活用できます。

提供価値

高効率な省エネ機器やEMSを当社の顧客に採用いただくとともに、社会全体でエネルギーの分散化が普及拡大していけば、CO2排出量のさらなる抑制につながっていくと考えています。当社は、国内で省エネルギー対策を推進する「エネルギー使用合理化等事業者支援事業」における「エネマネ事業者(エネルギー管理支援サービス事業者)」に登録されました。省エネ機器の提案やEMSの導入などを通じて省エネルギーに取り組む企業を支援し、CO2排出量を削減することで、地球温暖化防止に貢献していきます。

ヤンマーエネルギーシステム株式会社

GHPの導入を通じて学校における熱中症のリスク低減や避難所の環境改善に貢献

顧客の課題

近年、日本の学校などでは夏場の気温上昇による熱中症のリスクが高まっています。2010年代の7月における1日の平均気温の平均と、最高気温の平均は1970年代と比べてともに約2度上昇。猛暑日の日数も2000年代以前の倍以上に増えています※1※2。そのため、教室や体育館などに空調設備を導入することは喫緊の課題になっています。また、体育館は災害時の避難所として使用されることがあるため、避難所の快適な環境整備も求められています。

  • ※1出典:東京における年代別気象データ(気象庁データより当社で作成)
  • ※22010年代は2010年1月~2018年9月時点のデータ

ソリューション

学校には夏休みや冬休み等の長期休暇があり、教室や体育館の1日の稼働時間も短いため、病院や店舗、事務所などと比べて空調設備の使用時間がとても短いという特徴があります。このような学校特有の状況を踏まえ、ヤンマーエネルギーシステムではガス空調設備(GHP)を提案しています。

GHPはガスエンジンでコンプレッサを駆動させるエアコンです。エアコンの消費エネルギーの90%はコンプレッサの駆動源に使われていますが、電気モーターを使う一般的な電気式のエアコン(EHP)に比べ、GHPの消費電力は10分の1となります。そのため、電気の基本料金を10分の1に抑えることができ、ガスは使った分だけ支払えばよいためランニングコストに優れています。

さらに、GHPに使われる都市ガスやLPガスの元となる天然ガスは、石炭や石油より地球温暖化の原因となるCO2排出量が少なく、化石燃料の中では最もクリーンなエネルギーです。

エアコン消費エネルギーの内訳と電気の基本料金比較、GHP月別空調料金

また、停電時に「空調+発電」ができる自立運転対応型のGHPを体育館等へ設置することにより、避難所として使用する場合の環境改善に貢献できます。停電時には発電をしながら空調を使うことができ、携帯端末の充電や照明の電源確保が可能です。

避難所等における停電時のGHP活用場面
避難所等における停電時のGHP活用場面
GHP Lシリーズの環境への影響
Lシリーズ(高効率)とKシリーズ(標準機)のCO2排出量比較と500馬力試算例

提供価値

地球温暖化による気候変動は、近年さまざまな形で私たちの生活に影響を及ぼし始めています。夏場の熱中症問題や、集中豪雨による河川の氾濫、浸水、土砂災害などの被害が全国各地で発生しています。当社はGHPの販売・普及を通じて、社会全体のCO2排出抑制に貢献していきます。また、自立運転対応型のGHPは、災害時の電源確保など避難所の機能を強化するだけでなく、BCPの観点から企業が導入するケースが増えており、教育現場の環境改善や災害に強い社会づくりに努めていきます。

ヤンマーパワーテクノロジー株式会社

排出ガス規制「EU Stage V」に対応する低燃費かつ高出力密度を実現した産業用ディーゼルエンジンを開発

顧客の課題

小型産業用エンジンや大型舶用エンジンの分野では、気候変動にともなうCO2排出量の削減や、各国の厳しい排出ガス規制への対応が求められています。また、高出力エンジンを搭載する作業機のほとんどはプロユースのため、ランニングコストの低減をはじめ、ストレスのない快適な作業、ダウンタイムの抑制、排気後処理装置のコンパクト化などが大きな課題となっています。

ソリューション

4TN107

ヤンマーパワーテクノロジーは2019年から始まった欧州ノンロードエンジン第5次排出ガス規制(EU Stage V)に対応した、最高出力155kWの高出力産業用ディーゼルエンジン「4TN107」を開発しました。

新エンジンは、当社が長年培ってきた直噴ディーゼル燃焼技術、高出力化対応の独自構造、米国EPA Tier4規制対応で開発した排気後処理制御技術を集結したものです。これらの技術により、新エンジンの燃費は同排気量帯の他社エンジンに比べ約10%低減※1し、CO2排出量削減とともに、顧客のランニングコスト低減に貢献します。 排気後処理装置やその制御技術は、米国EPA Tier4規制対応で実績を積んだDPF2システム、尿素水を用いたSCR※3システムを採用することで、高地や低温環境下、軽負荷から重負荷などの作業環境下でも、顧客の作業を止めずに運転を続けることができます。

さらに、環境性能を高めながら、作業機による作業の快適性や居住性も向上させています。「4TN107」にはツーステージターボチャージャ仕様を設定し、クラストップの高出力密度※4となる34kW/Lを実現。ターボチャージャや燃焼技術の最適化により、建設機械や農業機械などに必要とされるトルク性能を実現しました。このほか、作業機の車体設計を考慮したコンパクトなエンジン外形設定や、排気後処理装置のサイズを最小化することで、顧客の作業視認性や居住性の向上に貢献します。

  • ※1当社が実施した試験結果と、同等クラスのエンジンとの比較
  • ※2DPF:Diesel Particulate Filterの略で、ディーゼル排ガス中に含まれるすすなどの浮遊粒子状物質(パティキュレートマター)を除去するフィルター
  • ※3SCR:Selective Catalytic Reductionの略で、ディーゼル排ガス中に含まれるNOxを尿素水から発生するアンモニアを用いて還元・浄化し無害化する技術
  • ※4単位排気量(L)当たりの出力(kW)

EU Stage Vの規制

EU Stage Vでは、Stage Ⅳに対してNOxやPMの排出量削減が強化されています。たとえば19~37kW出力帯エンジンでは、NOxで約37%(7.5→4.7g/kWh)、PMで約97%(0.6→0.015g/kWh)の排出量低減が必要です。また、PM粒子数(PN: Particulate Number)の規制、およびメンテナンス不足や不正改造によるエミッション超過を防止することが新たに義務化されています。

提供価値

当社のEU Stage V認証取得エンジンは、規制値と同等以上の排出ガス削減効果が見込まれています。2019年の規制開始と同時に製品を販売し、徐々に顧客の旧排出ガス規制(Stage Ⅳ)対応機と入れ替わっており、大気汚染の低減に貢献しています。今後は、北米や欧州に加え、中国、インド、その他の地域での規制強化が予定されており、これらの地域における排出ガス規制に対応した製品を開発していきます。また、排出ガス削減とともにエンジンの低燃費技術に磨きをかけ、CO2排出量削減にもさらに貢献していきます。

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