お客様事例紹介

乾 達様・裕様〈静電装置付ハイクロブームスプレーヤBSK-3040AES〉

乾 達様・裕様

  • 地域 : 鳥取県西伯郡伯耆町
  • 作物・作業 : ねぎ

ネギの防除作業が変わる!静電ブームで薬剤付着率が上がる

ネギの防除は天候などの気象条件によって、何度も行わなければなりません。毎回時間と体力が必要な夏場の作業は、年を重ねるにつれ難しくなってきます。

そんなネギ農家の負担を減らそうと、有光工業株式会社は静電装置付のハイクロブームスプレーヤを製造しています。
この商品は、大幅に防除の労力・時間を削減できることはもちろん、静電装置を搭載することで薬剤のネギへの付着率をアップさせ、それによって薬剤のコストダウンも期待できます。

今回は、鳥取県で元気に農業を続けている乾さん親子に、有光工業のハイクロブームを導入して、いかに夏場の防除作業が改善されたかについてお話をうかがいました。

ネギの防除作業の労力軽減!「ハイクロブームスプレーヤ(静電装置付)BSK-3040AES」

  • 作業はついて歩くだけの散歩感覚。
  • 9000Vの静電でドリフトを軽減!付着率アップ!
  • カンタン操作。
  • 作物・うね幅に合わせて トレッドの調節が可能。
  • 最高圧力:3.0MPa(31kgf/cm2)
  • 吸水量:36.3L/分
  • タンク容量:300L

夏場の防除作業を改善! 有光工業の静電ハイクロブーム

鳥取県は、西日本一のネギ産地です。
同県のネギ栽培の発祥地となる米子市で、70aのネギと50aの小玉スイカをつくっておられるのが、乾さんご一家。「夏扇パワー」などの品種を段ボールに箱詰めして、年間4000~5000ケースを地元のJAへ出荷されています。

防除の辛さで足を痛め、一時は休養。ハイクロブームで現役復活!

乾さんがハイクロブームBSK-3040AESを導入したのは、労力軽減が決め手となった。
達(さとし)さんは、15年も前からネギを栽培されていた。ところがネギは、土寄せなどの管理作業に手間がかかるうえ、防除は天候などの気象条件によって、何度も行わなければならない。

これまで達さんは、トラクターの後ろにPTOで巻き取るホースリールを装着。その後ろに1500Lのタンクを着けて防除を行っていた。奥様がスイッチを入れてホースを巻く。

ところが、たとえ巻き取り作業は機械がやってくれても、夏の暑い時期に、100mもある重いホースを1人で引っ張って、100本を超えるネギのうね間を歩き、1~2日かけて防除を行うのは75歳の達さんには重労働だ。

結局、それが原因で足を悪くされ、作業をご子息の裕(ゆたか)さんご夫妻に任せて1年間休養してしまわれたのだ。

しかし生涯現役を旨としてこられた達さん、そう簡単に諦めることはできない。たまたま奥様と訪れたヤンマーの展示会ですすめられたのが、有光工業株式会社(本社/大阪市)の静電ハイクロブームだ。

達さんはカタログを見て「これなら楽に防除ができるのでは…」との思いから、ヤンマーに実演を依頼。有光工業の実演協力を経て2014年8月に静電ハイクロブームBSK-3040AESを導入した。
その後、農業の傍ら町会議員をされている裕さんの活動が忙しくなってきたこともあるが、休養しておられた達さんが、農作業に復帰されたのだ。

以前から使っていた防除システムは、独自につくられたPTO駆動式のホースリールと、運搬車に積んだ1500Lのタンク。なかなかの重装備だ。
以前から使っていた防除システムは、独自につくられたPTO駆動式のホースリールと、運搬車に積んだ1500Lのタンク。なかなかの重装備だ。

防除のトータル時間が1/4~1/8に。労力軽減以外のメリットも検証したい

ハイクロブームを導入してから、乾さんの防除作業はすっかり変わった。 これまで2人で1~2日かかっていた防除作業が「今なら1人で半日もあれば、すんでしまう」と、達さんの顔がほころぶ。
仮に半日を4時間とした場合、2人で2日かけるとトータル時間は32時間なので、1/8に減り、2人で1日としても16時間となり、1/4に減る。 もちろんホースを引っ張らなくていいので、労力も大幅に軽減されるのだ。なにしろ防除は時間との戦いだ。 一気にやらなければ病気にやられてしまう。それにはこのハイクロブームがもってこいなのだ。 しかし同機の魅力はそれだけではない。

ハイクロブームでは、タンクに薬剤を入れて、作業は歩くだけ。労力が大幅に軽減した。
ハイクロブームでは、タンクに薬剤を入れて、作業は歩くだけ。労力が大幅に軽減した。

もうひとつのメリットは、静電ブームによる付着率のアップと、それによって期待できる薬剤のコストダウンだ(図1)。

ネギの防除は難しい。ネギの葉の部分が水をはじくからだ。
そのため通常、ネギの防除には、薬剤のほかに展着剤という薬剤を使う。しかし静電ブームを使えば、展着剤がなくてもムラなく薬剤が付くという(ただし、より確実に付着させるには、展着剤を使ったほうが良い場合もある/メーカー談)。

①ノズルの電極部でマイナスに帯電した粒子が噴霧される。
②マイナスの噴霧粒子が葉の中のプラス電荷と引き合う。
③噴霧粒子が葉の裏表にしっかり付着。

展着剤を使わなくても問題がないのか?付着率が良いから薬剤が少なくてすむのか?
「実は、機械を時期途中から導入して、まだ結果が出ていないから何とも言えないんですよね。これからいろいろ試してみたい」と、今後の検証に意欲を見せる。

(図1)静電ノズルのしくみ
(図1)静電ノズルのしくみ

機械化だけでなく、作業全体で創意工夫。メーカーと二人三脚で機械のカスタマイズも

そもそも乾さんは、機械化だけでなく、栽培のさまざまな場面で創意工夫をしておられる。
例えば、ほ場の中に広いスペースを確保して機械が稼働・旋回しやすくしている。通常は、収量を上げるために、ほ場の端まで作物を栽培することが多いが、乾さんは違う。

「少しぐらい収量が減っても、機械の通り道を空けておくほうが、作業がしやすいし機械も使いやすい。このほうが断然効率的だよ」と笑う。
またこのスペースは、収穫や出荷時にも作業スペースや機械の置き場としても便利だ。

乾さんは、ラクに効率良く作業をするための工夫にかける時間や手間を惜しまない。これがお2人の基本姿勢だ。
実はハイクロブームも、有光工業の協力を得ながら、ネギの根元に薬剤等を散布する逆U字形の散布機構や給水ホース受け、補助輪の追加など、乾さんが使いやすいようにカスタマイズされている。

裕さんは「防除だけでなく、かん水にも使えるのがうれしいね。導入して半年ほどですが、もう300時間も使ってますよ」と笑う。

まずは、導入後はじめてとなる、今年のネギの出来が楽しみだが、これからもお2人で、元気にネギ栽培を続けてほしい。

オリジナルの逆U字形の散布機構。 ネギの根元に薬剤を散布できる。
オリジナルの逆U字形の散布機構。 ネギの根元に薬剤を散布できる。