ニュースリリース
シングルシードカキ養殖方式による地域漁業再生ソリューションの本格提案開始について
2012年07月04日
ヤンマー株式会社
ヤンマー株式会社(以下ヤンマー)は、自社独自の陸上養殖技術を活用した、マガキの人工採苗(シングルシード)養殖方式による地域漁業再生のソリューション提案活動を本格化いたします。
昨年発生した東日本大震災は、国内最大の種ガキ供給を担っていた宮城県をはじめとする三陸地域に深刻な影響を与えました。特に、宮城県は県産マガキ母貝の被害により、母貝集団の早急な復旧が喫緊の課題となっています。このような状況に対してヤンマーは、長年培ってきた独自の「陸上二枚貝種苗生産技術」を活用し、昨年来、現地の震災復興支援を行ってまいりました。
このたびヤンマーが本格展開するシングルシードカキ養殖方式は、ヤンマー独自の高密度人工種苗生産技術と中間育成技術を使用して育てた大型の人工種苗を用いることにより、従来のカキ養殖の課題を解決し、高効率かつ高品質なカキを養殖することを可能としたものです。
今年度の各地での実証試験を元に、今後はロスが少なく環境負荷の少ない養殖方式の一つとして展開して行きます。
1.従来のカキ養殖方法における課題
1)天然採苗方式(カルチ方式)
- 製品化時の品質や生残率が不安定。
- 付着物や育成中のカキの脱落による環境負荷。
- 養殖量(種苗数)の制御が難しく、過密養殖になりやすい。
2)従来のシングルシード人工採苗方式
- 種苗サイズが小さく管理の手間が大きい。
- 生残率を加味した実質的な種苗価格が圧倒的に高く、製品を高価なブランドカキとして販売せざるをえず市場が限られている。
2.課題解決のためのソリューション(詳細は添付【ご参考資料】をご参照ください)
- ヤンマー独自の陸上種苗生産技術により、陸上で小型稚貝を大量生産・安定供給
- 中間育成装置(「FLUPSY(フラプシー)」※)で短期間かつ効率的に大型(マガキ)種苗を育成。
3.期待される効果
- 大型種苗の利用が可能となるため、沖出し後の管理の手間が少なく養殖期間が短縮化できる。
- 養殖時の生残率(商品出荷時の歩留まり)アップ。
- 高い品質安定性と種苗時から明確な生育履歴によるブランド化への訴求力向上。
【ご参考資料】
1.シングルシードカキ養殖ソリューション(イメージ図)
- 独自技術により陸上で小型稚貝を大量生産・安定供給
- 中間育成装置で短期間に効率的に大型種苗を育成
- 防汚カゴを用い、低労力で管理しながら養殖
2.カキの市場動向
3.「FLUPSY(フラプシー)」(イメージ図)
<※フラプシーとは?>
・・・二枚貝の小型種苗を短期間で効率よく大型種苗に育成する装置です。
<特徴>
- 小型種苗を海中に設置した独立した複数個の容器(イラスト中央部)に収め、捕食生物から守ります。
- 容器の底はメッシュになっており、電動ポンプで吸い上げられた周囲の海水が通過します。海水に含まれた天然の植物ブランクトンを餌として小型種苗が成長します。
<注記>
ニュースリリースに記載されている内容は、記者発表時点のものです。最新の情報とは内容が異なっている場合がありますのでご了承願います。
- 本件に関するお問合せ先
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ヤンマー株式会社 総務部・広報グループ
TEL:06-6376-6212 FAX:06-6372-2455 E-MAIL:koho@yanmar.co.jp