お客様事例紹介

マグロ一本釣り漁船 海佑丸 様〈ジャイロユニット GU175〉

マグロ一本釣り漁船 海佑丸様

住所 : 和歌山県西牟婁郡白浜町

一本釣り漁船「海佑丸」横揺れ減揺装置 GUシリーズ

主機間:6KHA-ET
ジャイロユニット:GU175
発電機:5MDKBH-5238H(5kWオナン製)

安心・安全・快適な航海のマストアイテム ジャイロユニットが拓く漁業の未来

「あっ、ヤバい。そう思った次の瞬間、全身が床に叩きつけられる。あの恐怖は思い出したくもありません」
苦笑いを浮かべながら話すのは、一本釣り漁船の漁師、北野海さん。和歌山県西牟婁郡白浜町の見草漁港を拠点に北野博文さんが営む父親の船「海佑丸」に乗る。向かう先は伊豆諸島の八丈島周辺海域。狙うは黒いダイヤモンド、クロマグロだ。
海さんが漁を始めたのは、今から約5年前。高校を卒業と同時に、父親のもとへ就職した。名前が海さんということもあり、さぞかし漁業が好きだろうと思いきや……。
「よく聞かれるんですが、じつは海も釣りも、それほど好きではありません。魚もあんまり食べませんね。それでもこの仕事を続けているのは、収入面で魅力があるから。稼働日数のわりに稼げますし、当たれば一攫千金ですからね」
目当ての漁場まで約20時間。今回の釣行では、どんな大物に出会えるか。海さんは移動時間もワクワクしているに違いない―。そんな予想も見事に外れた。
「操船は父親の役割なので、私はほとんどの時間を船内キャビンで過ごしています。キツイだろうと覚悟はしていましたが、現実は想像をはるかに超えました」。
待機中はスマホにインストールしてきた電子書籍や映画を眺めているという。しかし、つねに波に揺られている環境では、ゆっくり鑑賞できるはずがない。なかでも海さんを悩ませているのは、前述した突然襲い掛かってくる衝撃である。原因は大きな波とぶつかったことで生じる船体の横揺れにある。
その勢いは凄まじく、簡単に体が宙を舞い、落下と同時に激痛が走る。これが何度も続くと、どんなにタフな漁師も音を上げてしまうという。20年以上も漁を営んできた父親・博文さんも例外ではなかった。

年間約100日の洋上生活 少しでも心地よく過ごしたい

一本釣り漁業の前は、遊漁船を営んでいた博文さん。本格的なアングラーから親子連れまで、いろんなお客さんの笑顔を見るのが楽しみだった。しかし、しばらくすると心境に変化が生じたという。
「やっぱり釣りは、他人がするのを見るより自分でやる方が面白い。できれば釣りで生計を立てたい。どうせなら大物を狙いたい。それで15年ほど前、マグロの一本釣りに転向したんです」。
夢を叶えた博文さんだが、年間100日あまり、寝ても覚めても海の上というのは過酷である。現地で思うような釣果が無いと、一週間以上も滞在することも。一方、いざという時に備え、できるだけ体力を温存しておきたい。それに息子が漁に加わった今、船内環境をできるだけ良くしてやりたい。思案していた矢先、出会ったのがジャイロユニット(以下ジャイロと略)である。
「私の友人が馴染みの遊漁船に乗った時、船体の揺れがそれまでとは大きく違っていたそうです。船長いわく、最近ジャイロを積んだという。他のお客さんにも評判が良いそうで、それならウチも付けてみようかと。さっそく有限会社福原マリンディーゼル 福原健一社長に相談したんです。

それまで漁船にはジャイロの搭載事例がほとんどなかったようで、しかも後付けとなるとスペースの確保が難しい。ああでもない、こうでもないと試行錯誤の末、なんとか積み込んでくれました」。

海上は大荒れなのに体感は…… 日を追うごとに効果を実感

念願かなってジャイロを搭載したのは、2022年2月。実際の揺れ具合がどの程度変化し、乗り心地がどう変わったのか。再び海さんに話を伺った。
「私はジャイロを搭載する4年ほど前から、この海佑丸に乗船しています。当然ながら波の穏やかな日もあれば、荒れる日もありました。そんな中で私は海上のコンディションを自分なりに4つのパターンに分類していたんです。それは『1:ベタ凪』『2:波が立っている』『3:荒れている』『4:大荒れ』です」。
このうち、何かに掴まらないと危ないのは3と4だとか。しかしジャイロを搭載してからは、身の危険を感じることがなくなったという。
「実際には海面が荒れていても、船体はほとんど揺れない。目で見て3の状態でも、体感では2なんです。同様に、海面が4の状態でも3で収まっています。見た目と肌感覚に大きなギャップがあり、最初は不思議な気分でした」。
これに伴い、長時間の乗船による疲労度もかなり軽減されたという。日中の作業も楽に行え、夜はぐっすり眠れるように。肝心な時に集中力を発揮できるので、狙った獲物を確実に仕留めることができる。
「魚は鮮度が命。釣り上げた獲物は、どんなに海が荒れていようと、その場で捌いて冷凍庫に収めるのが鉄則です。一方、大荒れの日に200~300キロ級のマグロを捌くのは、大げさではなく命がけ。海面の浮き沈みに合わせて、黒い岩のような肉の塊が目の前で跳ね上がってはドスンと落下を繰り返す。下敷きになれば大きな事故につながります。それに魚自体が傷つくことで、値打ちも価格も下がってしまうのです」。
ジャイロを搭載してからは、解体中のマグロが宙に浮くことは無くなったとか。どんな天候でも安心して大物が狙えるというわけだ。

ジャイロ搭載を前提に建造 漁船の新しいスタンダードに

博文さんは現在の海佑丸に代わる船の新造を計画中。2023年4月から建造開始予定である。ジャイロ搭載を前提に設計されており、キャビンの居心地もさらに良くなる見込みだ。
「いま日本では全国的に漁獲量が減少傾向にあります。水産資源そのものが減っているとも言われており、漁師は各自の技術や工夫で漁獲を確保しなければいけません。そのためには、ある程度の投資も必要です。現代を生きる漁師は、現代の機械を用いて、現代的な操業を行うのがベストではないでしょうか」
北野水産では長男・佑さんも家業に取り組んでおり、海佑丸より一回り大きな船を操船。この船にもジャイロ搭載を検討中だ。親子3人が揺れに強い船に乗り、最高のパフォーマンスを発揮することで、これまで以上に大きな漁獲が安定して得られるに違いない。

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