産業エンジン - ニュースリリース
産業用ガスエンジン2機種を開発
2019年01月29日
ヤンマー株式会社
ヤンマー株式会社(本社:大阪市、社長:山岡健人)は、米国排出ガス規制 EPA※1 Tier2、CARB※2 オフロードLSI※3 エンジン規制、欧州ノンロードエンジン第5次排出ガス規制(通称:EU StageⅤ)に対応した、LPG (液化石油ガス)燃料で駆動する産業用ガスエンジン2機種「4TN88G(最高出力 45.0kW※4)」、「4TN98G(最高出力 63.0kW※4)」を新たに開発しました。また、今後LPG燃料とガソリン燃料の切替使用可能なBi-fuel仕様※5 についても追加を予定しています。
ガスエンジンは、PM※6 といった有害な排出ガス物質が少なく、ディーゼルエンジンと比較して低騒音であることから、特に周辺環境への影響が大きい室内などの作業環境で使用されています。 当社は、30年以上のガスエンジンの経験と、産業用ディーゼルエンジンでの知見を織り込みながら、独自のガス燃焼システムを採用することで、高出力、低燃費、コンパクトを追求し、且つ、産業用機械に求められる耐久性、信頼性を実現しました。 また同製品は、自社製のディーゼルエンジンとの互換性を最大化することで、お客様の同一車体でディーゼル燃料、ガス燃料どちらも当社で対応できるワン・ストップ・ソリューションを提供します。
当社は、従来から好評を頂いている産業用エンジンラインナップにクリーンで低騒音なガスエンジンを加え、お客様のご要望に適した産業機械用動力源を提供してまいります。
製品概要
機種名 :4TN88G/4TN98G 量産開始時期:4TN88G 2020年 (LPG仕様) 4TN98G 2021年 (LPG 仕様) 主要諸元 :
項目 | 4TN88G | 4TN98G |
---|---|---|
適合規制 | EPA Tier2 / CARB オフロードLSIエンジン規制 / EU Stage V |
|
エンジン仕様 | 立形水冷 4サイクル機関 | |
給気方式 | 自然吸気 | |
燃焼方式 | 火花点火/予混合/理論空燃比燃焼 | |
燃料 | LPG(液化石油ガス) | |
排出ガス後処理装置 | 三元触媒 | |
気筒数 | 4 | 4 |
ボア径 x ストローク[mm] | 88 x 90 | 98 x 110 |
排気量[L] | 2.2 | 3.3 |
定格出力[kW/min-1] WOT※/SAE J1995) | 45.0 / 2,600 | 63.0 / 2,500 |
最大トルク[Nm/min-1] (WOT※/SAE J1995) | 175 / 1,800 | 264 / 1,200 |
全長 x 全幅 x 全高[mm] | 659 x 535 x 701 | 725 x 577 x 796 |
乾燥重量[kg] (排出ガス後処理装置無し) | 175 | 240 |
- ※WOT:Wide Open Throttle の略
主な特長
(1)ディーゼルエンジン同等以上の高出力・高トルク
ストイキ燃焼方式※7 とマルチポイントインジェクションシステム※8 を採用し、独自の制御システムにより吸入空気量を最適化することで、当社のディーゼルエンジン製品と同等以上の出力、トルクを達成しました。これにより、お客様の作業機性能を維持しながら、ガス燃料への燃料代替が可能となります。
(2)クラストップの低燃費
ガスエンジンの長年に渡る経験を基に、高圧縮比化や吸気システムにおけるポンプ損失の低減に加え、燃焼システムをLPG燃料に最適化することで、従来のミキサー方式※9と比較し約10%燃料消費量を低減しました※10。これにより同量のLPG燃料タンク使用における稼働時間の延長とお客様のライフサイクルコスト低減に貢献します。
(3)ディーゼルエンジンを母体とした高い耐久性・信頼性
耐久性に優れたヤンマーの産業用ディーゼルエンジンを母体とし、ストイキガスエンジン特有の高温燃焼下において耐熱性が求められるシリンダヘッド、吸排気バルブ、ピストンなどの燃焼室構成部品に対して冷却システムや材質を最適化することにより、産業用機械に要求される高い耐久性と信頼性を達成しました。
(4)コンパクトなエンジン設計
独自のコンパクトな吸気及び燃料の混合システムを採用することで、ミキサー方式に比べてコンパクトなサイズ(9%低減)を達成しました。また、当社の産業用ディーゼルエンジンでの様々な作業機への搭載経験に基づきレイアウト設計を最適化することで、フォークリフト、建設機械、農業機械、マテリアルハンドリング作業機※11などの様々な作業機への搭載を容易にします。
(5)ディーゼルエンジンとの親和性
母体となる当社のディーゼルエンジンと共通のアプリケーション部品を採用し、作業機本体との制御通信仕様、さらに市場でのサービスツールについても互換性を持たせることで、作業機のガス燃料バリエーション開発における変更点を最小限に抑制しました。
- ※1EPA:米国環境保護局
- ※2CARB:カルフォルニア大気資源局
- ※3LSI:Large Spark-ignitionの略で大型火花点火式
- ※4ガスエンジン出力値は、WOT(Wide Open Throttle)/SAE J1955に基づくGross値
- ※5Bi-fuel仕様:同一エンジンでLPGガスとガソリンの2種類の燃料切替が可能な仕様
- ※6PM:パティキュレートマターの略で、ディーゼル排気中の粒子状物質
- ※7ストイキ燃焼方式:供給された燃料を完全燃焼させるために理論上必要な最少空気と燃料の混合気による燃焼方式のこと
- ※8マルチポイントインジェクションシステム:各気筒の吸気ポートにガス燃料を噴射するシステム
- ※9ミキサー方式:ベンチュリ効果を利用して吸入空気と燃料ガスの混合気形成を行う方式
- ※10 当社のミキサー仕様で実施した試験結果と、当製品エンジン試験結果との比較による
- ※11 マテリアルハンドリング作業機:フォークリフトやテレスコピックハンドラなどの運搬を主とする作業機
<ヤンマーについて>
1912年に大阪で創業したヤンマーは、1933年に世界で初めてディーゼルエンジンの小型実用化に成功しました。以来、産業用ディーゼルエンジンを事業の柱とし、さまざまな市場へ商品・サービス・ノウハウを融合したトータルソリューションを提供する総合産業機械メーカーです。小型エンジン、大型エンジン、農業機械・農業施設、建設機械、エネルギーシステム、マリン、工作機械・コンポーネントの7事業を有し、グローバルにビジネスを展開しています。 「わたしたちは自然と共生し、生命の根幹を担う食料生産とエネルギー変換の分野でお客様の課題を解決し、未来につながる社会とより豊かな暮らしを実現します」をミッションステートメントに掲げ、世界の「都市」「大地」「海」の事業フィールドで、資源循環型社会"A SUSTAINABLE FUTURE"実現への貢献を目指しています。
- ※ニュースリリースに記載されている内容は、記者発表時点のものです。最新の情報とは内容が異なっている場合がありますのでご了承願います。
【報道関係者お問合せ先】
ヤンマーホールディングス株式会社
ブランド部コミュニケーション部 広報担当
E-mail: koho@yanmar.com