1軸式ガスタービンは、出力軸、圧縮機、タービンが1本の軸で機械的に結合されて一体となっているもので、構造が非常に簡単であり、かつ回転慣性モーメントが大きく、負荷変動に対して出力軸回転が常に一定になるように燃料供給量が制御されます。また、低回転域(約50%)以下ではトルクも小さくなり、出力が取り出せず、始動は無負荷が条件となります。このため、クラッチまたは流体継手が必要です。
ポンプ駆動システム(ガスタービン)について
小型・軽量
ガスタービンは同出力のディーゼルエンジンなどと比べ大幅に小形・軽量です。
冷却水設備も不要で、設備面積も小さくてすむため、設備を極力小さくした非常用に適切です。
冷却水が不要
ガスタービンは自己空冷式のため冷却水がいりません。
冷却水系統の保守管理が不要で、凍結・断水・腐蝕によるトラブルの心配もありません。
低振動・低騒音
ガスタービンは連続燃焼の回転機関ですから、振動はほとんどありません。また、ディーゼルエンジンのようなネジリ振動は一切ありません。さらに、運転音は高周波が主体ですから、防音パッケージに収納すれば騒音を小さくすることができます。
確実な起動
ガスタービンはすべてころがり軸受を使用していますので起動が容易です。また、エアアシスト方式の燃料噴射弁を採用していますので、起動時の着火ミスがなく速く確実に起動します。
クリーンな排気
灯油、軽油、A重油などを大量の空気で燃焼させますので、窒素酸化物(NOX)や一酸化炭素(CO)も少なくよりクリーンな排気です。
運転・保守は簡単
構造がシンプルで作動も単純なガスタービンは、運転操作が簡単です。日常の運転前点検項目も少なく、メンテナンスの省力化がはかれます。
ガスタービン 1軸式・2軸式の相違
1軸式ガスタービン
始動トルクが小さいため、ポンプ駆動の場合、流体継手・油圧クラッチなどの装置を介して、定格回転数到達後、負荷と結合することが必要となります。
慣性質量が大きいため、急激な負荷変動に対しても、回転変動なく安定した運転が継続できます。
2軸式ガスタービン
タービンはガス発生機と出力タービンとに分割され、出力タービンはガス発生機から出た高温、高圧ガスにより動力が伝達されます。すなわち流体継手と同様の機構が内蔵されているため、トルクも大きく、回転数制御も可能。ポンプ駆動用原動機に適しています。
1軸式・2軸式ガスタービンの特性
2軸式ガスタービンは、フリーパワータービン方式とも呼ばれ、出力タービンが、圧縮機と圧縮機駆動タービンで構成されるガス発生機から分離独立しているため、出力軸の回転はガス発生機の回転と無関係となり、低速域でのトルクが大きく、燃料供給量を増減させるとガス発生量が変化し、トルクが増減します。このため、クラッチや流体継手は不要です。
トルク特性
2軸式ガスタービンはポンプ直接駆動にふさわしい特性をもっています。起動はガス発生機の起動だけでよく、起動時・低速時のトルクが大きいので、出力軸とポンプの間にクラッチや流体継手は必要ありません。
タービン入口温度を一定にしたときの出力軸のトルク特性は、図のように低回転時に高トルクとなり、トルクコンバータと同様な特性を示します。
ポンプ駆動用原動機として利用の場合は、2軸式ガスタービンの特長を生かした使い方をするため、販売会社とご相談のうえ選定してください。