お客様事例紹介

株式会社エンドウファーム 遠藤 直道様・遠藤 誠様〈密苗〉

株式会社エンドウファーム
代表取締役社長

遠藤 直道様

専務

遠藤 誠様

  • 地域 : 茨城県つくば市
  • 掲載年 : 2021年
  • 作物・作業 : 水稲/作業受託
  • 密苗導入面積 : 40㏊

密苗は規模拡大において最高の技術。省力化や収量アップが図れて、密苗様様です!

乾籾300gの多さに驚き!毎年、ムレ苗にならず成長しています

茨城県のシンボル・筑波山のふもと、つくば市。ここで2013年に父の跡を継いで農業を営むことになった遠藤直道さん。翌年には、同じく実家の農業を手伝っていた旧友の遠藤誠さんも家業を継ぐことになったため、共に農業経営を行うことになった。「2人で力を合わせて地域の農業を守っていこう」と、大きな志と希望を胸にスタートし、翌年には、株式会社エンドウファーム(以降、同社)を設立された。

そんなお二人が密苗と出会ったのは、法人化と同じ2015年。茨城県農業総合センターから、省力・低コスト技術のひとつとして取り組んでいる「高密度播種育苗栽培技術(ヤンマーの密苗)実証事業」に参画しないかと打診があり、ヤンマーから実演機を借りて試験的に取り組まれた。そして翌年には、所有されていた8条植え田植機にオプションの密苗キットを装着して、本格的に密苗に取り組むようになった。

当初、この実証試験に携わる普及センターの担当者と一緒に播種作業を行ったとき、ヤンマーから「育苗箱1枚の播種量は乾籾300g」と聞き、種の多さにお二人は驚いたという。「それまで120gしか播いていなかったですから。当初は、種を300gも播いてうまく育苗できるのか、ムレ苗にならないかと心配しましたが、何の問題もなく成長したのでびっくりしました。密苗を続けて、ムレ苗になったことは1回もないです」と直道さん。

「地域農業を応援します」と格納庫の看板にも大きくアピール。目指す農業の夢を語り合う遠藤直道さん(左)と遠藤誠さん(右)
「地域農業を応援します」と格納庫の看板にも大きくアピール。目指す農業の夢を語り合う遠藤直道さん(左)と遠藤誠さん(右)

試験では限界にも挑戦。育苗箱3.5枚でも8俵を確保!

これまで積極的にトライ&エラーを重ねて独自の技術を身につけてこられたお二人。密苗の試験でも、「ヤンマーさんが推奨しているのは10a当たり、乾籾270~300gで8枚ですが、せっかくならどこまで枚数を減らせるのか挑戦したいと思い、乾籾250gを7枚、乾籾300gを3.5枚、そして慣行の乾籾120gを14~15枚を、3つのほ場にわけて生育や収量を比較してみました」。

試験の結果、10a当たりの収量が最も少なかったのは、慣行120g、14~15枚の7俵。最も多かったのは、250gの7枚で8俵超え、次に300gの3.5枚で8俵となったそうだ。「植えたのがコシヒカリで分げつが旺盛な品種ということもあるのでしょうが、密苗にすると育苗箱数を3.5枚まで減らしても8俵もとれる技術なんだと知った時、これからは間違いなく密苗だと思いました」と力強く語ってくださった。

しかし、さすがに育苗箱3.5枚は欠株も出て植付状態は見た目がよくなかった。周囲の農家さんから「あの植え方はなんだ」といった声もあり、「育苗箱が少なくても収量がとれることを知ってもらうには、ちゃんと植えるようにしないといけない」と思い直されたそうだ。その後も育苗箱数を4枚、5枚、6枚と順に増やしてテストを継続。最終的には「一番きちんと植わり、浮き苗も少ないのは、やはりヤンマーさんが推奨する、コシヒカリで270~300gの8枚に落ち着きました。現在は270gで播種しています。いろいろ試させてもらったおかげで、密苗技術について詳しく勉強させていただきました」。現在は40㏊すべてで密苗を実施されており、その結果、「省力化が図れて、収量もこれまで慣行では7俵だったのが、今年は9俵近くもとれました」と喜ばれている。

植えてしまえば慣行苗と同じ。特別な管理が不要なのも密苗の魅力

では田植え後の管理はどうされているのだろうか。
「密苗だからといって特別なことは何もしていません」と口を揃えるお二人。「密苗もほ場に植えてしまえば慣行と同じ。生育過程で特別なことを考えてもいないし、ただ普通に見守っているだけです。そこが密苗の良さだと思っています」と強調する。

追肥も、コシヒカリは行わずに、最初の元肥一発肥料のみ。以前と違うのは育苗器を使用したことぐらいだそうだ。それまでは、播種した育苗箱を育苗ハウスに積んでおいて3~4日経って芽が出たら育苗箱を広げておられたが、それだと出芽不良やカビが出てあまりいい結果が出なかったという。「育苗器に入れたら苗の出芽不良が格段に減りました。これは密苗でも慣行苗でもそれほど変わりはないでしょうが、密苗にしたら箱数が減るので育苗器に入れる量も半分で済み、楽になって大助かりです」と直道さん。

誠さんも、「密苗は、育苗箱をハウスに並べるときが一番楽ですね。枚数が少なくなったし、ハウスも何棟も要らなくなるので、コスト削減につながっています。作業を手伝う5人のアルバイトさんからも、枚数がとても少なくなり、ラクになったと喜ばれています」と笑顔を見せていただいた。

密苗+可変施肥にもトライ。1.7俵の収量アップに

そして今年、新たに取り組まれたのが、可変施肥による田植えだ。数年前からヤンマーに依頼してドローンを飛ばし、リモートセンシングで地力などのほ場のデータを集めておられるが、そのデータをもとに試験的に実施された。「可変施肥をしなかった区画は収量が11俵でしたが、可変施肥をしたほ場は12.7俵とれました。可変施肥田植機を使った方が1.7俵も多かったんです。収量アップだけでなく、生育中のほ場の状態も見るからに良好で、植えられた苗の葉色が一定に揃うんですよ。米作りの先進技術としては、まだ密苗しか導入していませんが、今後はこうした新しい技術を導入していかないと、収益増加に繋がりません」と、可変施肥田植機の導入に意欲を見せる直道さん。

将来の規模拡大にも密苗で対応し、地域の農業を守っていく!

同社は、近い将来、農業が直面するであろう課題への対応も考えられている。「例えば10年後、現在農業に従事されている方々の状況を予想すると、農地が集約されて面積が100㏊近くまで増えてくると思います。そうなれば、当然人も雇わないといけない、機械も揃えないといけなくなります。この地域のほ場を未来永劫守っていきたいので、これからも密苗を続けていきたいと思っています。

密苗による一番の成果は育苗箱の枚数が減らせることです。将来、規模拡大することになっても、密苗ならやっていけると思っています。省力化してくれる密苗は規模拡大にはなくてはならない最高の技術です。まさにうちは密苗様様です」と、満面の笑みで語る直道さんと目を合わせて大きくうなずかれる誠さん。お二人の先進的な取り組みに、地域の農家からの注目もますます大きくなっていくことだろう。

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