JA丹波ひかみ 営農経済部農機センター
センター長
前田 克美様
- 地域 : 兵庫県丹波市
- 作物・作業 : 土づくり
JA丹波ひかみ 営農経済部農機センター
センター長
兵庫県丹波市と言えば、丹波大納言小豆や丹波黒大豆、黒枝豆、丹波栗、山の芋などで知られる産地だ。そんな同市の生産農家の間で、ベッドマイスター(ハウスロータリー)※の導入が、じわじわと増えてきているという。
JA丹波ひかみ 営農経済部農機センター センター長の前田克美氏を訪ね、その実態を探ってきた。
※取材当時の商品名はハウスロータリー。以下、ベッドマイスターで表記。
「ウチの管内では、特産物として丹波大納言小豆(以下、小豆)、丹波黒豆や野菜なんかを生産する農家が多いんですけど、そんな中で最近、小豆栽培を中心に高うねによる排水対策に力を入れる農家が増えています」。お話しいただいたのは、JA丹波ひかみ営農経済部農機センター長の前田克美氏だ。排水対策に力を入れるのは、近年増えている異常気象やゲリラ豪雨などがその要因だ。
「たとえば特産の小豆は、7月の梅雨明け前後が播種時期なんですけど、その時期は、耕うんも播種も除草もしないといけない大変な時期なんです。ところが近年、ちょうどその頃に雨が長引くことが多くなって、ほ場に入れないことがある。たとえ播種ができても、雨が降って湿害で発芽不良になることが多くなって『きちんと排水をしよう!』ということになったんです」と、経緯を語ってくれた。そこで、ベッドマイスターを含む内盛整形機の導入が増えだしたのだ(図1)。「なんせ最近は、湿害にあうと、収量に影響がでてくる。3~4年前には播種時期に洪水の被害にあったこともありました」。なるほど深刻だ。
さきほど『ベッドマイスターを含む』と書いたのは、当地では①近年増えた平高うねへの2条植え、②慣行の1畦1条植え、③平うねの密植など、栽培体系がいろいろあるうえ、その後の管理作業(使用機械)の都合や栽培規模、営農方針、地域性などさまざまな要因によってうねの立て方が変わるからだ(図2)。ベッドマイスターをお使いいただいているのは主に小豆、野菜、黒豆、花卉、薬草などの生産農家だ。
ところで生産農家の方たちは、ベッドマイスターのことをどう思っているのだろう?
「排水性はもちろんのこと、トラクターにもよりますが、うね立て機で、同じようにきれいなうねを立てるのはなかなか難しいけれど、整形機だとしっかりと立てられるというところが良いですね」と、前田氏。うねを整形するとうね上面の幅や高さが一定になるので播種がしやすいという。またベッドマイスターは、小豆以外にも、野菜や花卉など汎用的に使えるため、複数の作物をつくっている農家には、もってこいだ。
当地では、従来の特産物に加えて、昨年から、にんにくの産地化を目的とした法人が、農家のにんにく生産を推進。マルチを使った栽培体系のため、ベッドマイスターも数台導入されている。
前田氏は、お客様がどういう作業をされるか?どんな栽培体系か?ほ場状況は?などを丁寧にうかがって、1人ひとりのお客様に相応しい機械をおすすめする。これからも丹波の農家をサポートしつつ、ベッドマイスターの提案に頑張っていただきたい。
最大430mmの高うね整形で湿害回避。増収・品質向上に貢献