個人専業農家
伊藤 章様・さつ子様・智樹様
- 地域 : 秋田県山本郡
- 作物・作業 : 水稲
- 密苗実証面積 : 2.4ha
個人専業農家
秋田県で農業を営んでおられる伊藤さまは、今回2.4haの密苗に挑戦された。
密苗を知ったきっかけは「ヤンマーさんの展示会で田植機のところに展示してあるのを見ました。その秋の種苗交換会でも見たんですが、こんなに種を播いて植えるなら、普通の田植機じゃ無理だろうなと思いました」とは、ご子息の智樹さん。「育苗箱の枚数も減らせるし、作業が楽になるのかなと思いました。機械はないけど、まずは取り組んでみようと思いました」。
取り組んでみて、密苗でどれくらい苗箱が減ったかを聞いてみると、「慣行(乾籾135g)では60株で25~26枚/反でした。密苗は乾籾280gで50株、60株、70株の3種類を実施したんですが、60株で比べると10枚/反で終わったので15枚も減りました」。50株では約9枚/反、70株だと約12枚/反。結果、苗箱を半分以下に減らすことができたという。
「最初は、厚く播種するので徒長苗にならないか不安でしたが、実際にはそんなこともなく、順調に生育しましたよ」とはお父様の章さん。密苗導入によるメリットについて再び智樹さんにうかがうと、「箱数が少ないし、運搬も少ない。苗つぎも少なく、作業時間も早くなったので、非常に良かった」という。
また、補助者であるお母様のさつ子さんは、「苗つぎは私の役目で、いつも1往復したらすぐ苗つぎというのが慣行でした。密苗になったら、3~4往復してからの苗つぎになるので、すごくラクでした。苗運びも大変だったので、今回はラクでした」。伊藤様のところでは、プール育苗をされている。通常よりも苗箱が重い。「プール育苗だから1枚でも大変。だからラクさせてもらって本当に感謝です」と笑顔で話されるのが印象的だった。
密苗の植付けについて智樹さんに聞いてみると「慣行だと植えると青いという感じになりますが、密苗だと苗が細いので植えた後がうっすらと青くなる感じでした」植えた直後は大丈夫かなと不安もあった。しかしその後は順調に育ち、慣行に生長が追いついてきたので心配はなくなった。
今回は慣行と密苗、両方取り組まれたが収量については「慣行も少し良くなかったのですが、密苗は慣行よりもほんの少しだけ劣るという感じで、問題ない収量でした」。密苗栽培の取り組みやすいところは収量が慣行と同等というところにある。労力やコストが軽減され、慣行と同等の収量ということで取り組む方が増えている。
最後に章さんに今後のことについてうかがった。
「初めての試みだったら周りの人は注目しているようでした。自分としては、これからもずっと密苗を続けたいと思います」
補助者のお母様がとてもラクになったと顔をほころばせていただける、そんな密苗でこれからもずっと、元気に農業を続けて欲しいと思った。
栽培のポイントやよくあるご質問など、初めて導入する方にもこれまで経験のある方にも役立つ情報をご紹介
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