有限会社 山内農産
山内 勝様
- 地域 : 青森県つがる市
- 作物・作業 : 水稲
- 密苗実証面積 : 17ha
有限会社 山内農産
青森県の山内農産、山内さんは2年前、爆弾低気圧によりハウスが1棟倒壊してしまったという。それが密苗に取り組むきっかけとなった。
「ハウスの見積もりをお願いしたら、100万円はくだらないということでした」そのときに密苗栽培というものがあると聞き、取り組もうと勉強された。「コストが1/3まではいかなくても、半分くらいになるんじゃないかなと思いましたね。新しく田植機(YR8D)を購入しても絶対助かるなと思いました」。慣行では17ha当たり3,850枚(22.5枚/反)の苗箱を使用されるという山内さん。「結構少ないほうだと思うのですが、それでも管理が大変なので、半分以下にできればいいと思いました」。密苗を導入された結果「苗箱数が約1,660枚(9.5枚/反)ぐらいになりました」計算どおり、苗箱数が半分以下に減ったという。
播種作業や育苗について、気を使った点をうかがった。
「播種ではロックウールマットを使いました。ヤンマーの説明では使わないほうがいいと言われていたのですが、5~6年ずっと使ってきたのでたぶん大丈夫だろうということで実施しました」。ロックウールマットについては、軽量で保水力が大きいなど、育苗培土とは異なる特性があるため推奨はしていないが、播種前のかん水や覆土を多めにするなど、注意すれば十分に対応できる。やはり山内さんも一番気をつけたことは、水分量だったという(※)。
また、田植えについては「今年は田植えと同時に側条施肥をしたんです。そのおかげなのかわかりませんが、例年以上の収量が穫れました」というからうれしい。
密苗導入のメリットはやはり省力化と低コスト化。まず、慣行のときは「苗運びに3人、苗つぎに2人、運転手の6人体制でやっていました」それが密苗にして、「苗運びは3人で一気にやりました。朝、苗コンテナに苗を載せて昼まで田植え、また昼に苗コンテナに苗を載せてと、3人でやれました」それでも時間が余ってしまったという。「密苗にしてうちの従業員が暇な時間が多いので、冗談で『タバコ代をくれないか』と言っていましたよ(笑)。それぐらい密苗にすると暇な時間ができる。だから苗箱の整頓や隅々の補植とかができるので、補助者も疲れというのがほとんどないと言っていましたよ」6人から3人へ、こちらも約1/2の省力化である。
また低コストの効果としては「育苗、田植機の経費をすべてひっくるめると、昨年よりは50~70万円の経費節減になっています」というから驚きだ。
※現在は、ロックウールマットは推奨しております。
田植え後はどうだったのだろうか。「植える前の代かきを丁寧にやるということはもちろんですが、植えた後の水張りを遅らせました。それでも雑草は発生しないので、十分対応できました」。収量は前述の通り例年以上。これは地区平均か、あるいはやや上の結果だったという。
周りの反応は「最初は失敗するんじゃないかと言われましたよ。でも、石川県やヤンマーのデータを参考にして、密苗はいけると判断しました。そうしたら、周りの意見に反して収量も生育もすばらしいものになりました。そうすると見学者が増えて、周りからは1俵くらい不足しても経費削減により同じくらいの収入が得られるんじゃないかと言われました」。
また、これから密苗を継続していきますかという質問に対して「継続というより、密苗が主流になっていくんじゃないかなという気持ちがあります。ただ、まだこれからの改善点はあると思います。津軽は津軽、南部は南部、東北は東北の育苗というものを確立しないと必ず失敗するときがくるので、ヤンマーさんが音頭をとって、県や市に指導を仰ぎながら、密苗育苗の津軽バージョン、南部バージョンを確立していって失敗しないようにしていけたらいいと思います」
栽培のポイントやよくあるご質問など、初めて導入する方にもこれまで経験のある方にも役立つ情報をご紹介
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