アグリテック(山形県JA新庄もがみ管内、沖の原機械利用組合)
代表
佐藤 勇様
- 地域 : 山形県最上郡舟形町
- 作物・作業 : 水稲(約100ha)/山菜など
- 密苗実証面積 : 約60ha
アグリテック(山形県JA新庄もがみ管内、沖の原機械利用組合)
代表
短期の苗づくり、苗つぎも飛躍的に楽になる「密苗」を取り入れて、時短&低コストを実現した農家グループ(アグリテック(沖の原機械利用組合)〈山形県JA新庄もがみ管内〉)に新技術の魅力をうかがいました。
(家の光、2018年4月号より転載)
米づくりの中でも、なかなか省力化が難しく、その作業が楽にならなかったのが育苗と田植えに関わる労力と労働時間。そんな中、「日本の田植えを変える」と注目されているのが、農林水産省の「最新農業技術・品種2016」を受賞した「密苗」という移植栽培技術です。
育苗箱に、従来よりも2倍以上、ぎっしりと高密度に播種することによって「使用する育苗箱数が減る」「育苗コストが減る」「管理や苗つぎの時間が減る」など大幅な省力・低コスト化を実現する栽培方法。この「密苗」を、平成27年から実証試験を行い、平成29年には60haの栽培面積で導入したのが、山形県最上郡舟形町の農業グループ「アグリテック」代表の佐藤勇さんです。
「初めて播種したときには『こんなに分厚く播くんだ』と驚きましたが、管理方法はほぼ同じ。育苗箱の枚数が減る、播種や管理の時間も減る。収量も遜色ない。なにより、箱数が半分以下に減ることによって、移植時の運搬などの労力が大幅に軽減されることが、ありがたかったですね」
と、話します。労力軽減にこだわったのは、妻の徳子さんが股関節の手術を受けたことも背景に。
「苗の水やり、苗の運搬など、もっとも体を酷使する作業をかみさんやじいちゃん、ばあちゃんにやってもらい、元気のいい人間が機械の上でハンドルを握っている。そんな不合理はない、と常々思っていました。この先、高齢化も進んでいく。田植えにかかる作業の軽減は農業者の希望です」
近年、大区画ほ場が増え、この25年で佐藤さん宅も栽培面積が5倍に。
「面積や作業量が増えたとはいえ、人材を増やすのは難しい。しかし、密苗の場合は田植機に育苗箱を積んだら、一区画3ha、直線距離240mのほ場も余裕で往復できます。さらなる規模拡大にも対応していける、という心強さがありますね」
と、佐藤さん。徳子さんも、
「夫は、農繁期には暗いうちから家を出て行き、家族が寝静まってから帰ってくるようなことも。密苗で省力化が叶うことで、夫の体の負担が減ってくれるといいなと思います」
と、にこやかに話します。
高密度に播種することから、育苗箱の数が3分の1に。水を含むと1箱6〜7kgの重さの育苗箱。持ち運びの作業の労力が減り、疲労や腰痛も軽減されました。
育苗箱や培土など、育苗に必要な資材費が減ることでコスト削減に。利益アップにつながりました。
育苗中の水やりや苗の運搬は、かなりの重労働。育苗箱の数が減るために、これらの作業にかかる時間がぐっと減り、孫とゆっくり過ごせてうれしいです。と、徳子さん。
密苗の育苗は、期間が10日ほど短くなる以外は、ほぼ従来通りのやり方でOK。収量も従来同様。余った時間は別の作業に当てられます!と、息子の勇士さんも、大満足。
栽培のポイントやよくあるご質問など、初めて導入する方にもこれまで経験のある方にも役立つ情報をご紹介
4~8条まで、密苗にベストマッチな田植機