合同会社上田農園
代表取締役社長
上田 輝司様
- 地域 : 福井県大野市
- 作物・作業 : 水稲(約50ha) / 麦・大豆(約30ha)
- 密苗実証面積 : 約50ha
合同会社上田農園
代表取締役社長
「密苗にしたのは、ずばりコストと手間を省くのが最大の狙いです」と語ってくれたのは、福井県大野市、合同会社上田農園の代表取締役社長、上田輝司さんだ。7名のスタッフと、80ha強(水稲約50ha、麦・大豆約30ha、そのほかじゃがいも、さといも、そばなど)を作付けしておられる。
「田植機に乗る人を減らす、苗を減らす。密苗をすることによって例年8,000枚から9,000枚播いていたのが半分になりました。毎日ほ場へ持って行く苗の枚数も400枚から200枚で済む、少ない人数で対応できる、田植えの忙しいときに管理がしやすいことが非常にメリットでした。これまでは、午前中に苗を積み込んで、午後も苗積みをしていましたが、今は、朝、苗積みをするとそれで1日分が足りてしまうので、作業がやりやすかったですね」と、密苗のメリットを振り返る。
「育苗も田植えも慣行のときと変わらない感じでした。欠株についてもゼロではありませんでしたが、従来もあった程度の欠株ですんだと思います。収量に関しては、全く問題ないと考えています。」
また上田農園では密苗とICT(GNSSガイダンスシステム+自動操舵補助システム※)の組み合わせを採用されている。驚くのはその相乗効果だ。
「今までは、苗つぎに1人必要だったので田植えは2人作業でしたが、GNSSガイダンスシステム+自動操舵補助システムを付けて密苗にしたことで、苗つぎは減ったし直進は機械に任せられるから余裕が生まれ、田植えが1人でできるようになりました。それで手の空いた1人に先に代かきを任せて、その後を順に植えていくようにしたんです」。つまり人員を配置転換し、さらなる省力化を実現したのだ。これは直接的な相乗効果だが、間接的な相乗効果もある。
「GNSSと自動操舵だけだと苗つぎは減らない。そして密苗だけだと、苗は減っても手放しはできない。なのでどちらか一方だと、人員削減やスピードアップは実現しなかったでしょうね」。去年の田植えは2人がかりだったので、結局、人員が少ない代かきに追いついてしまい、田植え要員が待ちになってしまったという。「代かきのスピードを上げるには、人員を増やさないといけない。そこで今年は密苗にして、田植機にGNSSガイダンスシステム+自動操舵補助システムを付けることで1人作業を実現しました。で、手の空いた1人を代かき作業にまわしたらスムーズに終えることができたんです」。
さらにほ場の管理も楽になったという。同社のほ場は、全部で約400筆で、田植えを行うほ場は約250筆もあり、それを1人で全部管理するため、これまで植え忘れなどもあったが、今の体制になってからは代かきの後に田植機が追従するため、植え忘れが発生しなくなったという。そうなると、たとえばこれまで昼休みもバラバラで迎えに行っていたのが、近くで作業するため、まとまって車で帰ることができる。いろんな面で仕事が回しやすくなったという。
現状を視野に入れながら、未来を見つめ、迷わず新しい技術を取り入れていく意欲的な上田さんの姿が印象的な取材だった。
※GNSS(Global Navigation Satellite System / 全球測位衛星システム)は、GPS、GLONASS、Galileo、準天頂衛星(QZSS)等の衛星測位システムの総称です(出典:国土地理院HPより)。
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