株式会社只野農園
只野 貴士様
- 地域 : 北海道岩見沢市
- 作物・作業 : 水稲(約33ha) / 麦・そば(約10ha)
- 密苗実証面積 : 約87a
株式会社只野農園
北海道でも密苗技術は通用するだろうか・・・。本州では盛んに行われるようになった密苗栽培を北海道でも試験すべくお願いしたのが岩見沢市で農業をされている只野農場の只野さんだ。只野さんとヤンマーの付き合いは古い。そんな中で「『密苗』という技術に興味があったし、昔からお世話になっているヤンマーさんから密苗という新しい技術の試験を一緒にやってくれないかと声がかかったから」だということで、今回、約87aで密苗の試験にご協力いただいた。
移植が終わったところで、育苗管理はどうだったかをたずねると、「通常と同じように育苗器に入れて芽出ししてからハウスに並べました。途中の管理としては1日くらいは普通にかん水し、その後はシルバーポリでトンネルをつくって、ほとんどかん水なしの状態で2週間育苗して移植をしました」。従来とかわらない管理方法で問題なかったようだ。
では、密苗のメリットは実感いただけたのだろうか。「従来は25枚/10aの苗箱を使用していましたが、密苗だと10枚弱でいけました。やっぱり反当たりの苗箱の枚数が少なくなったので、一回田植機に苗を搭載してからの作業効率がアップしましたね。それにやっぱり苗をほ場に運ぶ手間が非常に少なくなりました」という。苗箱を運ぶ手間は規模が大きいほど大変だ。北海道のような栽培規模の大きなほ場では、本州以上にメリットを感じていただけるのかもしれない。
また苗箱の減少には他にも大きなメリットが考えられる。「うちは育苗ハウスの面積が限られていまして、やっぱり移植面積をこなすとなると今のハウスを増設しなくてはいけません。密苗を導入することで同じハウス内で面積を増やすことができるんで、将来規模拡大したときに移植する面積が増えれば密苗も視野に入れて検討していきたいなと考えています」育苗スペースが少なくてすむことも規模拡大される方にとっては大きなメリットになる。
「実は近隣の方や隣の地域の方も密苗ほ場を見せてくれと見学しに来られます。やっぱり苗箱の枚数が減らせたり、ほ場面積が増やせるということで興味があるみたいですね」と周りの農家の方の反応について答えてくれた只野さん。
今後、北海道で普及する可能性についてはどう考えられているのだろうか。「今年はまだ収穫していないのでわからないんですが・・」とご自分のほ場を眺めながら「見る限りでは生育も追いついてきたようですし、苗箱枚数を10枚と決めるのではなく、12~13枚に変えたりと、自分なりに変更していけば北海道でもやっていける技術だと思います」。まだまだ工夫は必要なものの、育苗にも生育にも問題なしということで安心して北海道の稲作農家の方にもおすすめできると実感させてくださった。
栽培のポイントやよくあるご質問など、初めて導入する方にもこれまで経験のある方にも役立つ情報をご紹介
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