藤田 隆様
- 地域 : 兵庫県あわじ市
- 作物・作業 : たまねぎ
「あの整形機は刑部社長から紹介を受けたんやが、ほんまにええなぁ~。まず一番に効率がええこと。それからタマネギの活着が、慣行と比べて非常にええ」と、ズバリ言い切ってくれたのは、兵庫県南あわじ市の藤田隆さんだ。牧草3haとタマネギ1.6ha、水稲2.3ha(WCS含む)、他に搾乳・育成併せて和牛を70頭ほど育てておられる。
2015年の展示会の後、2軸整形ロータリーRWA140SKを導入いただいた。
藤田さんは同機にベタ惚れだ。その理由に南あわじ市のほ場環境や栽培事情がある。そんな藤田さんに実際に2軸整形ロータリーを使用されて気に入られた理由と導入の効果をうかがった。
藤田さんに話を聞くと、「農家の仕事は時間のロスが大敵や。例えば、タマネギを植えるにははじめにいくらかの面積を軽くすいておかないといかん。でその後、表土を細かくするためにロータリーで耕うんして、また倉庫に帰って整形機に付け替えて、ほ場に戻ってうねを立てる。そして、いざ植えよう思った頃に雨が降ってきたら、もうあかん。けどあの整形機は最初に軽く耕しておけば、あとは1うねずつ耕うんしながら整形できるのが一番の魅力」と、大絶賛だ。
次に気に入っていただいたのが、同機で立てたうねの、活着の良さだ。
「植えた後、慣行のうねと比べてみたら、うねの活着が早かった。どこのほ場で使っても、この機械で立てたうねの活着の良さは間違いない!」と、立て続けにうれしいお話しを聞かせてくれた。
藤田さんは、その活着の良さを証明するかのように「今シーズンのウチのタマネギは、初期生育が良かったので順調に育っとるよ。見たら分かるけど、人並み以上に良くできとる」と、胸を張る。
取材に同席いただいた刑部社長が「そりゃ良かった!全滅や~って言われたらどうしよう…と、心配やったんですわ」と、笑わせると、藤田さんが「それは絶対大丈夫やわ!活着が早いから、新芽が出るのも早いもん。上から下まで全部粗い慣行のうねと、表土だけを細かくして、下部を粗くした2軸整形のうねとで活着を比べたら、慣行より2軸整形のうねのほうが3日ぐらい早い」と、具体的に説明してくれる。
さらにうねの質で気にいっていただいているのが、稲株が1つも上がってこないことだ。
「稲株がうねの上の方にあったら、機械植えができんからね。どうもうねの底の、土の粗い所へ持っていっとるみたいやな」と、藤田さんがいうと「実際に掘ってみたら出てきますよ」と、刑部社長。
活着の良さだけでなく、移植もしやすいということだ。さらにこの点は排水性の良さにもつながっているかも知れない。
いずれにしても、今年の収穫時期が楽しみだ。
このほか藤田さんは、同機を使ううちに、いろんなことに気付かれた。そのひとつが、排水性の高さだ。
「去年、うね立て後に雨が降ったんやが、他のほ場のうねはほとんど水に浸かって、溝が水路になっても、ウチのほ場は大丈夫やった。この整形機は両横を囲って締める。それで上の4・5cmぐらいはフワッと細かくして、下の土の粒は大きく仕上げるから、水の引きが良かった。どんだけ雨が降っても活着はまず間違いない」と、話に熱がこもる。
藤田さんには、このほかにも溝の広さがもたらしてくれる、意外なメリットについてお話いただいた。
そのひとつが、作業のしやすさだ。
淡路ロータリーは、センター培土式なので溝幅が一定だが、2軸整形ロータリーは、溝幅が少し広くなる。これを逆に考えて『うね数が減る=収量が減る』と嫌がる方もおられる。しかし藤田さんは作業性の高さを良しとされている。
「溝の幅が広いから、消毒作業がしやすいんや。うね数についてはワシも気にしとったんやが、実際にやってみると、うね数が少ないほうが収量は高い。たぶん作柄がええからやと思う」。
結局は、秀品率が上がれば良いということなのだ。つまり「うね数を増やすと、うね自体も狭くなって密植気味になるから、タマネギは大きくなりにくい。ところがうねも溝も広いと風通しも良くなって、タマネギ自体が大きくなる。
結局、総重量が一緒なら(うね数は)関係ないですもんね。作物も育ちやすいし、作業もしやすいし、病気にもなりにくい。良い方に向いていくんですよ」と、刑部社長が解説してくれた。
最後に藤田さんは「この整形機は、これからもっと普及すると思うで。この機械を使いよったら、大勢見に来るもん。気になるから。この前も6人くらい来たかな?それで『こりゃええのぉ~』って言うて見ていく。ワシはかなり宣伝しとるんじゃ(笑)」と、冗談ぽく語ってくれた。
省力化の夢も叶い、ゆとりをもって作業ができるようになった藤田さん。これからもお元気で、甘くておいしい淡路タマネギをつくり続けてほしい。
上面を細かく、下層を粗くした野菜の生育に理想的なうねをつくる