ベストファーム下番
代表
藤野 雄次様
- 地域 : 福井県あわら市
- 作物・作業 : 水稲(41ha) / 大豆(40ha) / 大麦(26ha)
- 密苗実証面積 : 80a
- その他 : 慣行栽培
ベストファーム下番
代表
ベスト・ファーム下番の代表藤野さんはご家族を中心に、福井県あわら市で米づくりを中心に品質にこだわった大規模経営をされている農業者だ。インターネット上で〈あらしき屋〉の屋号を持ち、水稲41ha(食用米・もち米・酒米)、大豆40ha、大麦26haなど、家庭用から業務用まで全国に向けて通信販売している。おいしくて安心安全に配慮した農産物をつくる同ファームは、福井県指導農業士(県知事認定)や福井県認定エコファーマーの資格も持つ篤農家で、こだわりの特別栽培米が人気だ。
しかし環境や品質によりこだわった特別栽培米は、たいへん手間がかかる。もちろん慣行栽培においても、可能な限りこだわって生産しているが、慣行栽培でもこだわりの部分とは影響のない、手間や作業スピードが低減され、さらにコストダウン効果も期待できるならありがたい。ということで、苗箱枚数が約1/3に減る(条件による)という驚きの導入効果のある密苗の取り組みがはじまった。
「ヤンマーのセールスマンの方が、苗箱が10a当たり7~10枚で移植ができるっていうんで、『これは面白いな!』と思って取り組みました」。興味を持たれた藤野さんは、さっそくモニター栽培への取り組みを決断。4月28日に播種された。
播種作業自体は、特に気づかったことはなく、慣行と同じように行われたが、今回の取り組みでは作付面積が80aで、枚数が少なかったことから失敗しないように慎重に育苗されたという。「とにかく播種後17日間は、失敗しないように気を使いましたね。特に育苗ハウス内で苗箱の置き場所を移動させて、苗の草丈を揃えるように気をつけました。タチガレ病とかムレ苗にならないために、こまめに環境を整えましたよ」。さすが、〈苗半作〉を旨とする米どころ北陸の篤農家だ。
また藤野さんに移植時の状況を振り返っていただくと「苗つぎの回数がかなり少なくて、効率良く田植えができました!」と、晴々とした表情。これまでの慣行栽培では苗箱枚数が16~18枚/10a必要だったのが、密苗では約7枚/10aに減った。苗箱の運搬も少なく、実際の移植作業では「苗つぎの回数が少なくて、効率良く田植えができた。止まっている時間がない分、移植スピードも早かったね」と、藤野さんも満足そう。
さらに補助者の人の声をうかがうと「『苗つぎがないので楽』ということでしたよ。まぁ、田植機側から見ればヒマそうに見えるけどね」と、笑う。これなら個人農家でも十分にメリットはあるはず。十分に手応えを感じていただけたようだ。
これまでに紹介した多くの農業者がそうだったように、藤野さんも、密苗の移植後の管理では特に気を使った点や問題点はなかったという。管理面で慣行とほとんど変わらないということは、取り組む側からすると大きな安心につながるし、メリットとしても大きい。
今回の取り組みを振り返って藤野さんは「育苗箱の枚数が10a当たり7枚と、かなり減ったので、手間もコスト面でもかなり良かったし、条件さえ揃えば導入してみたいね。作業を見にきていた人も『枚数が少なくて、いいね!』と言ってましたよ。(密苗は)周りの人にもすすめられる技術だと思います」と、うれしいお言葉。さらに「セールスの方にも話したんですけど、コシヒカリだけでなく晩生品種や早生品種でもやってみたい」と、とても積極的だ。
密苗のメリットをご実感いただいた藤野さん、できれば条件を整えて本格導入いただき、これからも、こだわりの農産物を全国のご家庭に届けてほしい。
栽培のポイントやよくあるご質問など、初めて導入する方にもこれまで経験のある方にも役立つ情報をご紹介
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