お客様事例紹介

個人専業農家 山根 朋和様〈密苗〉

個人専業農家

山根 朋和 様

  • 地域 : 鳥取県八頭郡
  • 掲載年 : 2024年
  • 作物・作業 : 水稲(20ha)/白ねぎ(55a)/作業受託(10ha)
  • 密苗導入面積 : 20ha
  • 栽培品種 : コシヒカリ、星空舞、きぬむすめ

苗箱数が半分になり作業効率が大幅アップ。毎年5haの拡大に成功!

水稲の栽培面積拡大を目的に密苗を導入

鳥取県の東部に位置する八頭郡八頭町で、水稲と特産品の白ねぎを生産する山根朋和さん。親戚の白ねぎ栽培を手伝ったことがきっかけで、農業の面白さを知り、25歳で脱サラして就農された。農作業は父の祐一さんの手を借りたり、繁忙期にはアルバイトを雇用するが、ほとんど1人でこなしておられる。
密苗導入の経緯をお聞きすると、「今、水稲の面積拡大に取り組んでいます。人手が限られているなかで、目標実現には作業の省力化や効率化が欠かせません。そこで着目したのが苗箱の削減でした。自分なりに播種量を増やしてみるなど試行錯誤しましたが、思うような成果は得られませんでした」と振り返る。何か良い方法はないかと農業雑誌やインターネットで情報を収集していた時、ヤンマー担当者から密苗を提案された。「とにかく苗箱数を減らしたかったので、『これだ!』と思いましたね。挑戦することに不安はありませんでした」と、迷うことなく導入を決められた。

写真左から 父の山根祐一さん、山根朋和さん
写真左から 父の山根祐一さん、山根朋和さん

密苗開始時の5haから4年で20haに拡大成功

栽培面積は水稲20haと白ねぎ55aに加え、水稲の作業受託が10ha。品種はコシヒカリと県のブランド米の星空舞、きぬむすめを栽培しておられる。「密苗は2020年に5haの面積から始めました。以来、年に5haのペースで拡大しています」と山根さん。「苗箱数削減に成功し、作業効率が向上したことで、順調に目標を達成できています」と笑みがこぼれる。
作型についてお聞きすると「できる限り作業期間を短縮したいので、品種に関係なくすべて一気に進めます」と説明してくださった。5月1日に播種をして、3週間後に移植を始め6月2日~3日までには終わらせる。その後、収穫は9月10日から始め1ヶ月以内には刈り終える。

育苗管理では失敗もあったが、コツをつかめば問題なし

育苗管理を行う中で山根さんが特に注意されているのが、緑化期から硬化期へ移る際の被覆材を剥がすタイミング。「育苗は露地で行っています。基本的な管理は慣行と変わりませんが、被覆材を剥がすタイミングの見極めを厳しくしました。苗が2〜3cmになったら被覆材を剥がすのですが、慣行では多少大雑把でも密苗ではそうはいきません。剥がすタイミングが遅れると硬化が遅れひょろひょろ苗になってしまいます。毎日、朝晩様子を見て適期を逃さないように注意しています」とポイントを教えてくださった。
また、焼け苗の対策には潅水がポイントになると語る。「晴天の日は苗が焼けやすいので小まめに潅水します。その際は土に水を浸透させるのではなく、葉水をやる程度にすること。葉の表面を潤わせることで、焼け苗は防げると思います」と山根さん。加えて、徒長しそうになったら育苗ローラーで苗踏みして、強い苗づくりに取り組んでおられる。

苗箱数が半分になり、コスト削減にも効果あり

密苗の効果についてお聞きすると、「苗箱数が半分になって、期待以上です」と山根さん。「播種量を乾籾160g/箱から280g/箱に増量し、慣行では10a当たり16枚必要だった苗箱が、半分の8枚ですむようになりました」と喜んでくださっている。
「苗箱数が半分ですむので、面積が増えても苗の育苗スペースがコンパクトに抑えられています。培土や苗箱にかかるコストも同様ですね。年々、面積が増えているので、慣行のままだったら全部が倍近く必要だったのかと思うと、密苗にしてよかったと強く思います」と、密苗のメリットを実感してくださっているようだ。

重労働だった田植え時期の疲労が軽減

さらに、苗箱数が削減できたことで、田植え作業の苗の運搬や苗継ぎ作業が格段にラクになったそう。「管理しているほ場は20a前後が多いので、使用している田植機YR6Mだと苗継ぎなしで植えきれるところがほとんど。苗継ぎをしても1回でいいので、私を含め補助者の疲労が軽減できています」続けて、「作業効率が良くなった分、田植えにかかる時間が短縮できました。空いた時間は、次のほ場の準備に使えています」と満足してくださっている。
また、田植えを行う際の工夫をお聞きすると、「慣行と比べて少し浮き苗が気になるので、ほ場にためる水を少なくしています」と山根さん。水面から土が少し見える程度にするのが、ポイントだと教えて下さった。「慣行は田植え直後からほ場全体が青々していて、それに比べると密苗は寂しい印象はありますが、1週間もすれば見劣りしなくなるので大丈夫。活着や生育も慣行と変わりません。収量は400kg~550kg/10aと、こちらも慣行と変わらないです」と太鼓判を押してくださった。

「農業は面白い」、だから規模拡大を目指す

密苗を導入したことで、白ねぎの生産にも良い影響があった。「白ねぎは4月から5月に定植し、11月から3月にかけて収穫します。田植えを行う6月頃は畑の土寄せなど、管理作業が重なる時期なのでとても助かっています」と山根さん。密苗にすることで水稲作業の効率が向上し、白ねぎの管理作業との両立に役立っていると笑顔で語ってくださった。
最後に今後の展望についてうかがうと、「1年毎に面積を拡大し、ゆくゆくは100haを目指しています。そのためには人手も必要なので、法人化し通年雇用の従業員を雇う予定です。拡大を目指すのは離農者が増えているというのもありますが、何よりも農業が面白いから。農業は自分が手をかけた分だけ、成果として収量に現れます。栽培面積もそうで、技術や経験を積むことで今の自分を越えられる。こんなに面白いことはありません。こうやって面積を拡大できるのも、作業効率の良い密苗だからこそ。密苗なくしては、私の目標実現はありません」と力強く答えてくださった。

写真左から ヤンマー藤木、山根朋和さん
写真左から ヤンマー藤木、山根朋和さん

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