お客様事例紹介

Green Field 足立 雄一郎様〈密苗〉

Green Field

足立 雄一郎 様

  • 地域 : 兵庫県朝来市
  • 掲載年 : 2024年
  • 作物・作業 : 水稲(15ha)/四季野菜(15a)
  • 密苗導入面積 : 15ha
  • 栽培品種 : コシヒカリ、あきだわら

密苗で苗箱数が1/2に!労力とコストを抑え安定した経営を実現

低コスト化と省力化に期待して約10年前からスタート

兵庫県の中央部に位置する朝来市は、湿田が多く水稲が盛んな地域。この地で水稲と季節野菜の生産を行うGreen Fieldの足立雄一郎さんは、約18年前に脱サラし就農された。「約13年間、林業に携わりましたが、自分で何かやりたいという思いが強くなり農業を始めました」と足立さん。当時は家族の反対を押し切っての就農だったと振り返る。
足立さんが高密度播種栽培を知ったのは約10年前。ヤンマーが密苗技術の提供を始めるより以前になる。「高密度播種することで苗箱数を減らせ、省力化とコスト削減になると聞きチャレンジしました」と情報も少ない中、手探りで始められた。

特別なことは何もしない。慣行と変わらない管理でOK

米はコシヒカリと加工用米のあきだわらの2品種を栽培する。コシヒカリは4月頭に播種して、ゴールデンウィーク頃から田植えを始め、9月5日頃から収穫。あきだわらは4月10日頃に播種し、5月20日頃から田植えを始め、9月27日前後から収穫する。
4月初頭に播種する苗はハウスで、少し気温が上がってからの苗は露地で育苗する。「密苗だからと特別なことはしていませんが、水やり作業を省力化するため、手かん水からプール育苗に変えました」と足立さん。「高密度播種する密苗は細くて柔らかいので、ムレ苗に注意するようにと聞いていました。けれど、そんなに神経質にならなくても、ハウスの風通しさえ気を付けておけば大丈夫。また、徒長しやすいとも聞いていましたが、これまで徒長苗で悩まされたことはありません」と、慣行とほとんど変わらない管理で問題ないそうだ。

良い苗を育てるポイントは追肥のタイミング

密苗に取り組む中で、足立さんが重視されているのが強い苗を作ること。「高密度で播種する密苗は肥料が早く切れます。肥料切れがおこらないように、慣行よりも少し早めに追肥するのがポイント。追肥は播種してから15日前後と、田植えの5日~3日前の2回行います。田植え前に追肥することで、その後の活着がよくなります」と足立さん。
田植えの適期の見極め方については、「育苗期間は約25日。暖かくなってくると20日前後で植えています。根の張り具合を見ながら、苗丈が13~14cmくらいまで伸びたら移植のタイミングです」と、長年の実践から得たポイントを教えてくださった。「それから、田植機は密苗田植機を使うのが絶対いいです。4年前に密苗田植機のYR7Dを購入したのですが、それまでは慣行用の田植機を使用していて、欠株するのが悩みでした。YR7Dにしてからは浮き苗や転び苗がなく、きれいに植わります」と評価をいただいた。

重労働だった田植え作業が驚くほどラクになった!

密苗の効果をお聞きすると、「慣行では催芽籾140~150g/箱だった播種量を、倍の280~300g/箱に増量できました。その結果、苗箱数を約3000枚から約1500枚の削減に成功。慣行ではハウス2棟で育苗していたのが1棟になり、何よりすべての作業がラクになりました」と、手ごたえを感じておられるご様子だ。
特に効果を感じておられるのは田植え作業においてだそうだ。「慣行では10a当たり20枚必要だった苗箱が、10枚でいけるようになりました。苗の運搬や苗継ぎの回数が減って田植えの効率がアップし、ほかの作業に時間を使えるようになったのがいいですね。以前は野菜の収穫をしてから苗を積み込んで田植えに行き、終わったら耕うんや代かき作業をしてと、とにかく作業に追われていました。田植え時期を苦痛に感じることもありましたが、密苗にしてからは余裕ですね」と笑みがこぼれる。

省力化と低コスト化に成功!密苗の効果は期待以上

密苗効果に喜んでいるのは補助者も同様だそう。「軽トラックに最大100枚の苗箱を載せられるので、10枚/10aで植えられる密苗になってからは、1回の運搬で1haの田植えができるようになりました。運搬や苗継ぎの回数が減って効率が上がっただけでなく、疲労感も全然違います。作業を手伝ってくれているパートさんや妻も、すごくラクだと言ってくれています」と足立さん。作業時間が短縮され野菜の生産作業との両立も難なくできるようになったと語る。
さらにコスト面にも効果があったようで、「苗箱数が半分になったことで、培土のコストも半分に削減できました。金額にするとけっこう大きいので、密苗はスゴイです」と足立さん。期待以上だったと、密苗の効果に太鼓判を押していただいた。

面積が増えても密苗なら対応できると確信!

収量にも満足しておられ、「この辺りの平均収量が約500kg/10aなのですが、同じくらいの量は毎年穫れています。慣行よりも減るということはないですね」と足立さん。密苗にしてからも慣行と変わらず、安定した生産ができているそうだ。
最後に、今後の展望について伺った。「この地域は耕作者がどんどん減っています。これからも、頼まれた田んぼはできる限り引き受けたいと考えています。このような現状の中で、省力化ができる密苗は本当にいい技術。密苗で地域の農業を守っていきたいですね」と使命感をにじませる足立さん。農業の担い手として、これからの活躍が楽しみだ。

写真左から 富田農機㈱足立智彦さん、足立雄一郎さん
写真左から 富田農機㈱足立智彦さん、足立雄一郎さん

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